FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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すいません。
だいぶ遅くなってしまいました。
ちょっとずつ書いて行きますのでよろしくお願いします。


第110話 亜人の子供たち 中編

クスコの依頼、亜人たちの孤児院を襲う賊を討伐して欲しいという依頼を受けたハルトたち。

さっそく動こうとしていると思いきや………

 

「いくよー!!ナツお兄ちゃーん!!」

 

「おう!!!どんどん来いやー!!!」

 

「かっ飛ばせー!!ナツ兄ちゃーん!!!」

 

ナツは子供達と野球をしており……

 

「アイスメイク……シップ!」

 

「すごーい!」

 

「キレー!」

 

グレイは造形魔法で様々なものを作り、子供たちに見せていく。

 

「2人はどんな魔法使うのー?」

 

「どんなどんな?」

 

「私はサポート系の魔法を使うの」

 

「僕は水系の魔法かな」

 

「強いの!?」

 

「そのヤリってどう使うの!?」

 

「えぇっと……」

 

「あはは……」

 

年が近いウェンディとレインは一緒に子供たちから質問されていた。

 

「エルザお姉様!つぎは何したらいいですか!!?」

 

「なんでもします!!」

 

「そうか…なら次は一緒に綺麗な花を探しに行こう」

 

『はい!!』

 

エルザは女の子たちにお姉様と呼ばれ、憧れの眼差しを向けられており、エルザと一緒にいるだけで子供達は楽しそうだ。

その頭には女の子たちが作ったであろう花の王冠が乗せられていた。

 

「ひゃんでせっひゃふぁちはほんなへひ」

 

「はひ……」

 

「なんで私もよ!!

 

「いいじゃん、いいじゃーん」

 

「ねこちゃーん♪」

 

「かわいいー♪」

 

マタムネたちは孤児の子たちの中でも特に小さな子たちにもみくちゃにされていた。

 

「ねぇねぇ!ルーシィお姉ちゃんってコイビトはいるの?」

 

「えぇっ!?あ…アタシには……」

 

「好きな人はぁ?」

 

「うえっ!?そ、それはぁ……」

 

「ハルトお兄ちゃんでしよ!!」

 

「バレてる!!?」

 

ルーシィは子供達にいいようにからかわれていた。

そして少し離れたところでハルトとクスコはその様子を見ていた。

 

「ありがとうハルト。この孤児院には滅多に客なんて来ないからあの子たちには良い体験になるよ」

 

「礼ならアイツらに言ってくれ。ここの子供たちと触れ合いたいって言い出したのはアイツらなんだ」

 

クスコは楽しそうに遊ぶ子供達を優しく見守っている。

この孤児院は亜人の子供を中心に保護された孤児院のため滅多に人が寄り付かない辺鄙なところにあるのだ。

 

「やあ君たち。かわいい耳をしているね!」

 

「かっこいいー!!」

 

「お名前は何て言うんですか?」

 

「僕はロキ。ルーシィの星霊さ。さっ、僕と遊ばないかい?」

 

『はーい!!』

 

ルーシィが呼び出したロキは子供(女の子中心)の心を掴んだ。

 

「ロキお願いねー!」

 

ルーシィはとりあえず根掘り葉掘り聞かれる状態から脱出し、一息つくとスカートの裾を引っ張られた。

引っ張られた方を見るとハルトと対峙したおさげの少女レジーが立っていた。

 

「どうしたの?」

 

「………私に魔法を教えて欲しいの!!」

 

ルーシィが質問するとレジーは力強くルーシィに頼み込んだ。

 

「魔法を?どうして?」

 

ルーシィが不思議そうに聞くとレジーは悔しそうな表情になる。

 

「ここ……村の人たちからよく嫌がらせをされるの。ひどい時なんか私たちに暴力を振るってくるし……みんなを守るために力が必要なの!!」

 

レジーは真剣な顔でルーシィに懇願する。

それを聞いたルーシィは快く引き受けようとするが……

 

「わかったわ!アタシに任せて「ダメだ」……え?」

 

それをいつのまにかルーシィたちの側にに立っていたクスコが止めた。

 

「クスコさん!?いつのまに……」

 

「なんでよパパ!!」

 

「魔法なんて覚える必要はないよ。もっとお菓子作りとか女の子らしいことを……」

 

「私はそんなの興味ない!みんなを守れるように強くなりたいの!!

 

レジーの怒鳴り声に周りで遊んでいた子たちも動きが止まり、心配そうに見守る。

 

「ダメだ……君をあんな危険な世界には……」

 

「……っ!もういい!!!パパはいつも魔法はロクなものじゃないって言うけど私をいじめたいだけなんでしょ!!!パパなんて大嫌い!!!」

 

クスコが言葉を続けようとするがレジーはそれを遮ってどこかに走り出しってしまった。

 

「レジー……」

 

「あの、アタシ見てきます!」

 

クスコが申し訳なさそうにレジーの名を呟き、ルーシィはレジーを追った。

その場が静まり返り、気まずい空気が流れるが子供たちがクスコの周りに集まった。

 

「先生ダイジョウブ?」

 

「レジーお姉ちゃんも言い過ぎだよ」

 

子供たちはクスコを励まし、クスコはそれを笑って答えた。

 

「大丈夫だよ。ありがとう……さあもう少し皆さんと遊んできなさい」

 

子供たちはまたナツたちと遊びに戻った。

クスコはそれを見届け、後ろにいたハルトの方を向く。

 

「ハルト、少しいいかい?」

 

 

レジーは孤児院の裏手にある崖に来て座っていた。

そこは山の裏手にある海が一望できる場所であり、レジーは落ち込むことがあればここに来ていた、

 

「レジーちゃん」

 

「っ!……ルーシィお姉ちゃん」

 

レジーを追って来たルーシィはレジーの隣に座る。

 

「……連れ戻しに来たの?」

 

「ううん……レジーちゃんが心配になってね」

 

しばらくの間レジーとルーシィは何も話さず、海を眺め続けているとレジーが口を開いた。

 

「パパね……私たちを守るために麓の村の人たちにヒドイこと言われても我慢してるの。怪我してる時なんてあるくらいなんだよ?」

 

ルーシィは黙ってレジーの言葉に耳を傾ける。

 

「私は孤児院の中では1番お姉ちゃんだし……パパの本当の子供なんだから私がパパを守らないといけないのに………パパを傷つけちゃったぁ……パパと離れ離れになっちゃうよぉ……」

 

レジーの目が涙でいっぱいになり、泣きそうな表情になる。

レジーは腕で涙を拭うがそれでも涙が溢れて止まらない。

今度はルーシィが話し出した。

 

「なんとなくレジーちゃんの気持ち、わかるかな……アタシとパパ、仲が悪くてさ。ついこの間まで絶縁してた状態だったんだ。パパはアタシの気持ちなんかわからないんだって思ってたけど……最後は心が通じ合ったような気がしたんだ」

 

ルーシィはつい先日のアカリファの事件を思い出しながら話す。

その時ルーシィは今まで心が通じ合うはずがないと思っていた父と少しだけ心が通じ合った気がしたのだ。

 

「喧嘩しても、傷つけちゃっても親子の絆ってそんな簡単になくったりしないと思うの。クスコさんだってレジーちゃんのこと考えてあんなこと言ったと思うよ?」

 

ルーシィに慰められたレジーは涙を拭いた。

 

「うん……これからパパに謝りに行く」

 

「うん!そうしましょ!レジーちゃん」

 

「レジーでいいよ!ルーシィお姉ちゃんともっと仲良くなりたいもん!」

 

目を赤く腫れさせながらもにこやかに笑うレジーにルーシィも釣られて笑顔になった。

 

 

レジーが離れたころ、クスコがハルトを連れて屋敷に戻り話をしていた。

 

「なんであの子に魔法を教えないんだ?お前ほどの魔導士が……」

 

ハルトはクスコに向かってそう言うが、クスコは悲しそうな表情でハルトに振り返る。

 

「僕みたいな人間が人に教える資格なんてないよ…………それより今回の依頼のことで話したくてね」

 

「………あぁ、いつ盗賊たちを討伐したらいいんだ?」

 

「実は奴らの拠点はもうわかっていてね。あとは強襲をかけるだけなんだ」

 

「よく盗賊の拠点がわかったな」

 

「昔の職業柄、かな?」

 

クスコのおどけた笑みにハルトも肩をすくめる。

 

「じゃあ強襲は夜でいいのか?」

 

「うん、奴らも襲われるとは思わないだろうから今日だね」

 

「わかった」

 

「………ところでハルト。あの娘はいったい誰なんだい?エミリアに瓜二つじゃないか。初めて会った時顔に出さないように頑張ったよ」

 

クスコはルーシィを思い出し、ハルトに尋ねるとハルトはやっぱり聞いてきたかと思った。

 

「ルーシィは別にエミリアとは関係ねぇよ。全くの別人だ」

 

「そうかい?世界には自分にそっくりな人が3人いると聞いたことがあるけどねぇ……………そういえばハルト、エリオの話を聞いたかい?」

 

「エリオ?……いやあの時以来会ってもいないよ」

 

「そうかい……」

 

「エリオがどうかしたのか?」

 

「………最近嫌な噂を聞いてね。エリオが闇ギルドで活動している、って」

 

「エリオが?」

 

ハルトは驚いた表情になる。

 

「まぁ、噂だからね。確証は何もないけど……さて、そろそろ食事の用意をしないとね。ハルト、手伝ってくれるかい?」

 

「あ、ああ……」

 

ハルトはエリオの事が気になったが、とりあえず頭の隅に追いやった。

 

 

そのあと戻ってきたレジーはクスコに謝り、クスコもそれを許し、みんなが和気藹々として、食事となった。

食事が終わり子供達は遊び疲れたのか、早々に風呂に入り、寝てしまった。

そして妖精の尻尾のメンバーとクスコたちは子供達が寝たのを確認し、山を降りていた。

 

「眠みぃーなぁ……」

 

「あぃ………」

 

「仕事しにきたんだろうが」

 

「ここからが本番だ気を引きしめろ」

 

眠いとこぼすナツとハッピーにグレイが叱咤し、エルザは気を引き締める。

 

「妖精の尻尾での初仕事だね!頑張らないと!!」

 

「うん!頑張ろうレイン!!」

 

「zzzzzzzz」

 

「起きなさいよ!!」

 

初仕事に気合いが充分なレインとウェンディ。

 

「眠いでごじゃる……」

 

「これからが本番なのよ!頑張らないと!!」

 

「気合いが入ってるでごじゃるな………」

 

「レジーと約束したからね!」

 

ルーシィとレジーはあの後すごく仲良くなり、本当の姉妹のようだった。

そしてルーシィはレジーと盗賊をやっつけることを約束したのだ。

 

「妖精の魔導士なんだから一度約束したからには守らないとね!」

 

「Z〜Z〜」

 

「寝たー!!?」

 

ルーシィが気合いを入れてガッツポーズを作るが、マタムネも寝てしまった。

 

「ハハッ……これから戦いに行くのに楽しい人たちだ」

 

「頼もしいだろ?」

 

クスコはこれからの戦いに赴くのに気合い充分な皆を見て、頼もしく思った。

そして山を抜け崖にたどり着いた一行の下には洞窟が見え、クスコが指差す。

 

「あそこです。あそこが盗賊たちの拠点です」

 

いよいよ戦いが始まろうとしていた。

 

 

その頃孤児院では子供達が寝静まっている中、1人がトイレに行きたくなり、ノロノロとおぼつかない足取りで廊下を歩いているとその先に人影が見えた。

 

「先生……?」

 

眠い目をこすりながら目を凝らすが暗闇に隠れて姿がよく見えない。

その人影がゆっくりと近づいてくる。

そして月明かりでその男が持つナイフが怪しく光った。


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