今週バイトが結構入っていて、少し疲れ気味。ストックしてあるから無問題。
それではご覧ください。
財布の中は豊かになり、小町が見繕ってくれた服を纏い、多少はマシになった俺は、集合場所である駅前の時計下に、集合時間より30分前に来ていた。
「比企谷君、おはよう!」
俺がここにきてまだ数分なのに、今日一緒に行動する太宰が。俺に手を振りながら、こちらに走ってきた。
「おう、おはよう。やけに早いな」
「遅刻しないように早く家を出たの。そう言う比企谷君こそ、まだ時間じゃないよ」
「俺も遅刻しないように早めに出たんだよ」
俺がそう言うと太宰は短くそっか、と笑顔でそう返した。彼女の服装は白スキッパーシャツにカーキのフレアスカートだ。今の笑顔とよく似合っていて、とても可愛らしい。
「その服、似合ってるな」
当然心の中で思った感想は口に出せるはずもなく、無難な褒め方をした。けど、彼女は気にも留めず、嬉しそうに笑った。
「ありがとう♪比企谷君も、結構オシャレだよ」
「おう。ていっても、妹がやってくれただけなんだけど。それで、これからどこに行くんだ?」
「まずは映画!」
そんなわけで、駅の近くにある映画館にやってきた。今回見る作品は、少女漫画が実写化された恋愛ものだ。男の俺でもこの作品は知っている。小町に借りて読んだことがあるからな。
「何か食べる?」
「いや、俺は飲み物だけでいいかな」
「じゃあ、私もそうしよう」
ドリンクを購入し、指定された席に座る。
「うぅ~、よかったね」
映画が終わり、隣を見ると見事に感動の涙を彼女は流していた。凄い感情移入してたんだな。
でも確かに、俺も途中はちょっと目頭が熱くなったし、面白かった。
「ほら、これ使え」
「うん、ありがとう・・・」
ポケットに入っていたハンカチを太宰に渡した。
「お腹すいたし、どこかで食べよう」
「そうだな。どこがいいか?」
「行きつけの喫茶店があるんだ♪そこに行こう」
太宰はそう言うと、いきなり俺の手を引っ張って、その喫茶店へと足を運んだ。
「いらっしゃいませ~。あ、春歌ちゃん」
「こんにちは~」
店に入ると、店員の女性が、太宰に気兼ねなく話しかけている。行きつけだって言ってたから、知り合いなんだろう。
「あら、もしかして彼氏連れ?やるじゃない春歌ちゃん」
「いえ、違いますよ。友達です」
「でも手繋いでるじゃない?」
「え?・・・あ、ごめん比企谷君」
「あ、いや、別に気にしなくていいぞ」
太宰は何も気にしなくていい。俺は終始緊張してたけどな。けど、一つ分かったことがある。女子の手って柔らかいんだなぁ。はちを
「ふふ、それじゃあ席を案内するわね」
俺と太宰を見てからずっとニコニコしている女性店員は、奥の窓際席を案内した。
「ここのパスタ美味しいんだよ!おすすめはコレ!」
「じゃあ、俺はそれにしようかな」
「私も決めた」
それぞれパスタと飲み物を注文し、しばらく談笑に入った。
「比企谷君って、映画よく見に行ってるの?」
「いや、俺はあんまり外出ないからな。でも映画は好きだぞ」
「好きなジャンルとかは?」
「そうだなぁ。基本何でも見るが、ホラーとかミステリーが好きだな」
「へぇ、私もミステリーとか好きなんだぁ。あとSF」
SFか。偏見になるが、女子高生でもそう言うのは見るんだな。さっき俺がホラーと口に出した瞬間、太宰の肩がピクッと反応したのは、おそらく俺の気のせいだろうな。
「もちろん恋愛も好きだけどね。さっきのやつは感動したな~」
「すげぇ泣いてたもんな」
「あはは、私涙もろいんだよ」
「感受性が豊かでいいじゃねえか」
「う~ん、そうなのかな?でも、なんか褒められた気分♪」
感受性って褒め言葉かどうか定かではないけど、まぁいいや。・・と、話していたら、注文した料理が運ばれてきた。
「うん、美味しい♪」
「ああ、本当に美味いな」
その後も、パスタの味に舌鼓を打ちながら、映画の話で盛り上がりましたとさ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
展開的には、8月の上旬に八幡と太宰春歌を結ばせます。
また明日。