ついに最終日だー!長いようで短かった。ついに完結です。後書きは最後まで読むことをお勧めします。
そしてすいません。最後の最後で2000文字超えてしまい、掟を破ってしまいました!
それではご覧ください。
旅館に戻った俺は、海の潮水でべとべとになった身体を洗うべく、浴場へ向かった。右が男湯、左が女湯。
「混浴じゃないんだね」
ニヤニヤとしながら俺の顔を覗き込む形で言ってきた。
「そうだなー。残念だー。春歌の裸見たかったなー」
やってやったぜ!と心の中で小さくガッツポーズをした。その瞬間、予想外の返答に焦ったのか、かあっと顔を赤くして
「じゃ、じゃあ、あそこの、家族、風呂に」
と別の場所にある家族風呂の暖簾を振るえている指で刺した。
「待て待て!悪かった。俺が悪かったから正気に戻れ」
「っ!・・・・八幡のバカ!」
はい、本日二回目のバカをいただきました。
「悪かった。ほら、入ろうぜ。また後でな」
「うん」
「ふぅ、気持ちよかった」
「うん。さすが旅館の浴場」
風呂上りはやっぱりマッカン。火照った身体に冷えたマッカンは最高の気分になる。春歌はブラックコーヒーだ。何でそんな苦いものが飲めるんだ・・・。
渋った顔でその無糖コーヒーを見ていると、ふふーんと自慢げにどや顔された。悔しい。
部屋に戻ると同時に、女中さんが食事を持ってきてくれた。やはりよく見るやつだな。1人用の鍋が2つに和食がずら~り。お?ジュースもついてくるとは。太っ腹だ。見てるだけで食欲が湧いてくるほど美味そうだ。
「早く食べよう♪」
「そうだな」
各々飲み物を注ぎ、乾杯とコップをぶつかり合わせた。俺はコーラだが、春歌のは透明だからよくわからない。ただの水だろうか?それか三ツ矢?
特に気にすることもなく食事を進める。やっぱり家とは違うなぁ。どうしたらこんなに上手く、そして美味く茶碗蒸しができるのだろう。天ぷらもサクサクとして、魚はパサパサしてなくジューシー。鍋のキムチ鍋うどんも最高だ。程よい辛みが癖になる。
特に会話もなく、箸の音と咀嚼音だけが部屋に響く。
「何か話そうよ」
ついに沈黙が耐えきれなくなったのか、春歌が口を開いた。
「そうは言っても、何話すんだ?」
「今後の夏休みの予定とか」
「今後か・・・・。春歌が決めてくれ。俺常に暇だから」
「いや、いつも暇って。少しはプライベート時間欲しいでしょ・・・・?」
「別に。春歌と一緒にいられるなら、プライベートなんていらねぇよ」
溜息交じりの適当な返事をしたら、急に俯き始めた春歌。
「どうした?」
「いや、嬉しいなぁって。プライベートより私といた方がいいって思ってくれて」
若干頬を染めて、満面の笑みを浮かべている。俺何か言ったっけか?
『春歌と一緒にいられるなら、プライベートなんていらねぇよ』
・・・・・やっちまったぁ!何言ってんの俺?そもそも無自覚でこんな事言えてたっけ俺?春歌と付き合ってから俺の中が変化したのか。だったら、この調子で目の腐りも消えてほしいくらいだ。
「もう1回言って」
「やだ」
食事も済ませ、花火まで時間があるため、特にすることもなく座る。やっぱり旅館と言ったらお茶の茶菓子だろ。
お茶を注ぎ、春歌の前に置いた。・・・ん?なんかおかしい。春歌は礼儀を分け前るため、こういう時はどんな相手にも礼を言うんだ。ちょっと顔を窺うと・・・・、え?
顔をほんのり赤く、どこか虚ろで目が垂れている。・・・・・おい、この現象見たことあるぞ。
茶菓子が並んでいるトレーに目を向けると、何個かの袋が開封されていた。・・・・・・アルコール入りのお菓子。
こいつ酔っぱらってやがる!?ていうか、何でアルコール菓子があるんだここに!
「お、おい春歌?」
「なに?はちみゃん」
あ、ダメだこれ。
「暑いなぁ~、ちょっと脱ごう」
「待て待て待て!俺がいるから!」
「はちみゃんになら見られてもいいよ~」
「それはありがたい・・・。じゃなくて、脱ぐな!」
春歌の両手を急いで掴む。こいつ、酒に弱すぎる。お菓子でここまでなんて・・・。大人になっても俺と一緒にいあるとき以外、酒は飲ませたくない。完全に飲まれるタイプだ。
そんなこと考えていたら、こくん、と首に力を入れなくなった。寝ちまったよ・・・。俺に覆いかぶさったまま。幸い布団の上だから助かったが。
花火は残念だが、起きる気配がないため、俺も寝ることにしよう。起こさないように、そっと春歌を退け、隣の布団に移動する。
あれ?いつの間にか寝てた。固まった身体をほぐすべく、腕と背中を伸ばし、窓を見ると、朝になっていた。ああ!花火見てない!た、楽しみにしてたのに・・・。
八幡の方に目を向けると、何故だか地味にはだけている。・・・・あれ?よく見たら、私もだ。ちょっと胸元開いちゃってる・・・。
男女の着物がはだけてる、気付いたら朝、隣に八幡。・・・・・・・・ま、まさか!
いやいや、八幡に限ってそんなことないよ。ヘタレだし。・・・・そうだよね?
「あ、おはよう春歌」
「お、おはよう・・・。は、八幡。私が寝てるとき、何かした?」
「(寝てるとき?いや、2人でほぼ同じ時間に寝たし。ていうか、逆に俺がされたんだけど・・・)」
え?何で黙るの?もしかして本当に・・・・。
「お前、覚えてないのか?」
そう言われて、取り出されたのは、お菓子の袋ゴミ。
「お前、このアルコール入りのお菓子食って、酔っぱらってたんだよ。着物がはだけてるのも、その証拠だ」
・・・・え?酔った?という事は、これは自分で招いた事?
・・・・恥ずかしい!さっきまでよからぬこと考えてた私を殴りたい!
「それより、この後どうするんだ?」
「この後・・・。帰りながら色々回っていこう」
「そうか。じゃ、飯食ったら帰る準備だな」
「うん。鴨シー行きたい♪」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ついに、これにて終わりです。読んでくださった方、お気に入り登録、投票してくれた方、ありがとうございました。
毎日投稿、できましたね。自分でも不安でした。危ないときもあったけど。
それでは!ありがとうございました!
To Be Continued???