それではご覧ください。
ついに夏休みが到来だーーー!
ボッチにとって一番と言っていい最大最高行事の長期休暇、summer vacation!一日中クーラーの効いた家に籠り、一日中ぐうたら。もう体格が良くて、面倒見がいい甘党な男子が担がない限り、一歩も外へ出たくも、布団から出たくもない。
一度起きたが、再び夢のトビラへと誘われるように、目を閉じた。
「お兄ちゃんいつまで寝てるの!もう昼過ぎだよ!」
ドアがバンと勢いよく開く音と、妹の激高の声によって、トビラが閉まり、現実世界へと戻されてしまった。
「あと10時間。なんなら24時間」
「馬鹿な事言わないの!布団干したいから出た出た」
「ヤダ」
「なにをぉ!・・・・こうなったら、とりゃぁ!」
「ぐえ!」
小町に全身プレスをくらわされ、布団からはじき出された俺は、次の安眠場所であるソファに横になった。
「お兄ちゃん。いくら何でもだらけすぎじゃない?」
粗方家事を終えた小町が、ため息をつきながらそう言ってきた。
「いいんだよ。ボッチにとって学校というのは、気の抜けない日々なんだ。今までの疲労をすべて癒す。休みなのだから」
「全くこのごみいちゃんは・・・。ほら、誰か来たから行ってきて」
「あーい」
おそらく宅配便だろう。うちのインターホンを鳴らす人なんてそれくらいしかいないからな。
「はーい」
「比企谷君♪」
ガチャン。
何でいるのあいつ。思わず閉めちゃったけど。そもそも何しに来たんだ?この間うちにきて、何もない事が分かっているはずなのに・・・。
「誰だったの?」
「い、いやぁ、誰もいなかったぞ。全く、ピンポンダッシュなんて迷惑だぜー」
「ちょっと!何で閉めるの!」
取り敢えず、誰もいなかったという事にしておいて、後で事情を話そうという作戦だったが、太宰にドアを開けられ、呆気なくも散った。
そして、太宰と小町、初対面。
「お、お兄ちゃん・・。その女性は何やつで・・・」
あー、おそらくテンパって口調が変わってしまったようだ。
「あー、ほら。前に話しただろ。こいつが太宰春歌だ」
「太宰春歌です。えーと、妹さんでいいのかな?」
「あ、ああ。これはどうもご丁寧に。妹の小町です!兄がお世話になっておりまする!」
普段の、そして俺の真の理解者である小町だからこそ、こういうキャラ崩壊が起きている。小町の目の前に広がっている光景が、天変地異でも起きるんじゃないかというくらい、ありえないのだから。
「はぁ、入っていいぞ。折角来たんだしな」
「お邪魔しまーす。小町ちゃんでいいかな?よろしくね♪」
「はい!こちらこそよろしくです!春歌さん!ささ、どうぞこちらへ」
小町は太宰をリビングへ誘導し、女子同士で話したいことがあるという事で、男の俺は追い出されましたとさ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
また明日。