俺の高校生活は、彼女によって変化が訪れる   作:”アイゼロ”

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はい、どうも、アイゼロです。

夏休みが始まりました。1日1話投稿、頑張りたいと思います。

それではご覧ください。



1日目

桜の花びらが、ひらりひらりと歩道に舞い散り、春の温かな風が体にぶつかってくる朝。しかし、俺、比企谷八幡は、こんな晴れ晴れとした気持ちと裏腹に、どんよりと目を腐らせ、負のオーラを纏っているおかげで、その雰囲気を見事にぶち壊している。

 

猫背になりながら、トボトボと、今日から通うことになった進学校、総武高校に向けて足を運んでいる。

 

そして、その高校に着くと、家を出た時よりも、気分が萎えていた。車に轢かれそうになった犬を助けたりとか、女の子をナンパしてたチャラ男どもを蹴散らしたりとか。少しでもイジメに対抗できるように、体を鍛えていたことが、ここにきて役に立ったな。そんなこともあって、入学式の時には、既に色々と参っていた。パトラッシュ、僕はもういろんな意味で疲れたよ。

 

なんて下らない事を考えていたら、入学式はとっくに終わり、新入生の皆は退場している。

 

 

入学式の後は、教室でしばらく待機との事だ。先生がいなくなった途端、一斉に話し声がわんさかと響いた。皆ボッチにならないようと、必死に話を繋げたり、合わせたり、携帯を取り出している。これだとおそらく1週間でグループ形成は終わるだろう。

 

え?お前はだって?作る気なんかない。仮面を被れない捻くれた俺に、そんなもんできるか。っつーかいらないし。話しかけてきた奴も、適当に携帯持ってきてないと嘘をついて追い返しました。

 

 

それから数分後、担任が戻り、HRを終わらせ、各々帰宅した。だが、俺以外教室を出る気配はない。お前ら凄すぎだろ、そのコミュニケーション能力。なんだ?会って3秒で友達って、座右の銘でもあるのか?

 

 

はい、入学式から2週間がたちました。周りはグループが完璧に形成されており、俺はボッチとなった。今日も今日とて、周りが騒がしい。そう、俺は、台風の目。

 

教室での静かさは林の如く、影の薄さは透明人間の如く、帰宅する疾さは風の如く。この高校で俺の新しい座右の銘が生まれた。

 

4限の授業が終わり、昼休みなった。その瞬間ケーズデンキに入るかのようにみんなが集合し、弁当箱を広げている。それに対して俺は、入学そうそう見つけた、いい穴場、通称ベストプレイスの段差に座り、先程購入したパンを頬張る。

 

「ねえねえ」

 

目の前にはテニスコートがあり、テニス部の人たちが汗を流しながら、ボールを打っている。ふむ、俺は人は嫌いだが、一生懸命な人は嫌いではない。

 

「ちょっとぉ?」

 

おーい、さっきから呼んでるんだから、返事してあげなよ。無視はダメだぞ。意外と傷つくんだぞ。実体験。

 

「君!」ポン!

 

「んぐ!げほっげほ!」

 

「ああ!ごめんごめん!そんなつもりじゃなかったの」

 

どうやらこの女子は俺を呼んでいたらしい。不意に肩を叩かれたため、あまりの驚きにむせてしまい、慌ててマッカンを口に含む。

 

「・・ああ、大丈夫だ。てっきり別の人を呼んでるのかと」

 

「いいよ、名前呼ばなかった私も悪かったし。あ、隣座るね」

 

「え?ちょっと・・・」

 

ええー!なにこの展開。ついに俺の青春スタートしてしまうの?しかも、こいつよく見ると、かなりの美少女だ。10人中8人は振り返るレベルの。

 

「名前教えてくれる?」

 

「え、ああ、比企谷八幡だ・・・」

 

急展開&緊張のせいで若干うわずいた声を出してしまった。

 

「私は太宰春歌(だざいはるか)、よろしくね」

 

しかし、この女子はそれを気にする様子も見せず、自己紹介をし返した。・・・ん?

 

「太宰?」

 

「あー、やっぱり反応した。そうなんだ、私の苗字はあの文豪、太宰治と同じなの」

 

「へぇ、すげぇじゃん。太宰ってペンネームなのに」

 

「そうかな?変だと思わないの?」

 

「いや、全然。俺は寧ろ太宰は好きだぞ」

 

「あら、いきなり愛の告白されちゃった。照れるじゃん♪」

 

「なっ!違う。太宰治の作品が好きって意味だ!」

 

「冗談だよ♪」

 

そう言うと太宰はペロッと舌を出し、悪戯が成功したかのような笑顔を見せた。その幼い動作に、不覚にもドキッとしてしまった。

 

「じゃ、またね」

 

「お、おう。・・ってまた?おいちょっと待て」

 

しかし、俺の異論を聞かないまま、去ってしまった。随分とマイペースで台風みたいな子だ。

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

情景描写練習中です。

また明日。

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