俺はクロノスとの約束の時間に、アルトリアを連れて校門前に来た。
すでに待っていたクロノスとセイバーに挨拶する。
「おはようございます」
「おはよう。じゃあ、サーヴァントを交換しようか」
俺はアルトリアを見る。
いつもよりおとなしいが、いつになく心の中に殺意を溜め込んでいる気がする。
朝に見た夢のせいだろうか。
でも、会話の意味は多分わかっているはずだ。
「ほら、アルトリア。クロノスのところに行って」
「GRrrrrrr……」
何か、やる気に満ちている。
本当に、アルトリアを預けて大丈夫なんだろうか。
「……クロノス。アルトリアは預けるだけですよね。アルトリアに何かあったら怒りますよ」
俺が確認する。
「もちろん。護衛してもらうだけだ。約束通り、戦いに向かわせたりはしないさ」
「……わかりました」
セイバーを置いていくんだし。おそらくクロノス一人でアルトリアを殺すことなんかはできないだろう。
逆にアルトリアが突然クロノスに襲いかかったとしても、クロノスは死なないと思う。
……でもなぜか。食堂を破壊されたことが、計画のうちだったんじゃないかなどと考えてしまう……。
早くサーヴァントと戦いたくて目をギラギラさせながら、クロノスの方に歩いて行った。
……すごく、心配だ。
「じゃあ、セイバー。間森くんを頼んだよ」
「はい、マスター」
クロノスは俺を見た。
「セイバーなら、好きに使ってくれて構わない。……もし、私に何かあったら、セイバーのことは頼んだよ」
「は、はい」
それだけ言うとクロノスは去って行った。
意外にもおとなしくアルトリアもついていく。
クロノスに従った方が戦える確率が上がることをわかっているのだろう。
残された俺とセイバーが、それを見送った。
セイバーと俺の目が合う。
今日もジョギングしやすそうな格好に、ポニーテールにした赤い髪をキャップで隠している。
「……よろしくお願いします」
俺はなぜか慌てて言った。
「こっ、こちらこそ」
なんでだろう。緊張する……
「えっと、俺、これから授業なんだけど、セイバーさんはどうする?」
「ご命令していただければ、どこででも待機いたしますが」
なんて扱いやすいんだ!
感動を覚える。
「私は霊体にもなれますし、授業中もお側にいた方がいいかと……」
「あ、そっか……。じゃあ、うん。そうしよう! 来て」
俺はセイバーさんを連れて講義室に向かった。
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