Fate/Scramble   作:DF946

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消えるサーヴァント

「いやー、あの間森くん、いいこと言うなー。緋咲さんも見習うべきだよ!」

 

 すっかり夕方になった道を歩きながら、シンジは前を歩く緋咲に言った。

 

「そんなに呑気にしてていいわけ? あの畔野巣って男、あなたを殺すって言ったのよ」

 

 緋咲は呆れながら家に帰る道を歩いていく。

 

「?」

 

 

 ふと、緋咲は異変を感じて振り返った。

 

 

「どうしたんですか?」

 

 シンジが聞いてくる。

 

 

 何かがおかしい。

 

 緋咲は辺りを見回して身構えた。

 

 

(ーーーー結界の気配だ)

 

 

 緋咲は走り出していた。

 

「ぁわ、ちょっと待ってくださいよー」

 

 

 

 

 

 緋咲がたどり着いたのは家の近くにある、郊外の公園だった。

 夕暮れでもう子供たちはいない。

 

 この近くが結界の中心だ。緋咲にはわかる。

 魔術師が使う、サーヴァントに人の魂を吸わせる為の魔法だ。

 

「あ、ここの公園は……」

 

 シンジが楽しそうな声を出す。こんなときによく呑気にいられるものだと緋咲は焦る。

 

 

「!」

 

 

 緋咲は公園の中に入ると、その光景を目の当たりにした。

 

 

「あれは……」

 

 シンジも目にしたものに動揺する。

 

 

 公園の中では、何人もの人が倒れていた。

 間違いない、敵のサーヴァントの仕業だ。

 

 みんな生命エネルギーを抜かれている。

 

 

「おい! 大丈夫!?」

 

 シンジが倒れている男の子を揺する。ぐったりとしたゴムの人形のようになっている。

 

「ついさっきよ。ここにサーヴァントがいたんだわ」

 

 

 その時、「うぐっ……」という呻きが聞こえた。

 

「緋咲さんあそこ!」

 

 緋咲がとっさに振り返ると、遊具の後ろで倒れている人が動いている。

 

 まさか! まだ生きている!?

 

 緋咲は駆け寄ると、絶句した。

 

 

 

 そこに倒れているのは、甲冑を着た戦士だった。

 

 東洋風の顔の若い男。おそらく中国の武人だろう。長い槍を持っている。

 

「サーヴァント……」

 

 緋咲が呟く側で、シンジはその男にも駆け寄った。

 

「どうしたんだよ! 大丈夫か?!」

 

「うっ……」

 

 男は立ち上がらない。

 みると、腹から大量に出血していた。刺されたようだ。

 

 

「もう無理よ。助からない」

 

 緋咲が言うと、男は彼女を見上げた。

 少しづつ消えかけている。

 

 

「     、    」

 

 男は消える中、何かを言ったように口を動かしたが、声は出ていなかった。

 

 

 

 

 

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