Fate/Scramble   作:DF946

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暴走フラストレーション

 俺はアルトリアを連れて学校に来ていた。

 

 また昨日と同じように食堂でアルトリアを待たせ、授業終わりに迎えに行く。

 

 

「間森くん」

 

 

 俺が食堂までの道を歩いていると、声をかけられた。

 

 出待ちしていたらしい。クロノスだった。

 

「あ、クロノスさん。……おはようございます」

 

 俺は怪しみながらも挨拶をする。

 クロノスは一人で、いつも通り真っ黒なコートに身を包んでいる。

 

「やあ、元気かい」

 

「……何か用ですか?」

 

 少し不安が声に出てしまった。

 

「いやいや、私の用事は君が学校にいる間、敵から君を守ることだからね。特に用事はないよ」

 

「そうですか……」

 

「ただ、昨日、敵のサーヴァントが活動していたみたいだ。知ってるかもしれないが学校職員が何人か意識不明で病院に送られたんだ。私はアサシンのサーヴァントの仕業だと思っている。だから、君も気をつけて欲しい」

 

「学校の中にサーヴァントですか……」

 

 俺は昨日の出来事を考えた。

 やっぱり、そうだったのか。

 

 

「もしかしたら学生の中にマスターがいるのかもしれない。君もマスターだとバレたら狙われるだろうから、くれぐれも行動は隠密にね」

 

「わかりました」

 

 

 俺はクロノスと別れると、アルトリアの待つ食堂に向かった。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 食堂のある建物の前まで着くと、何か騒がしい。

 何かが起こったようだ。

 

 ガラスが割れる音が聞こえる。

 

 何人かの女子学生がきゃーっと叫びながら建物から走って逃げている。

 

 何が起こったんだ?  まさかーーーー

 

 

「アルトリア!」

 

 

 

 俺は走ると、食堂の中に駆け込んだ。

 

 ーーーそこは、大変なことになっていた。

 

 椅子やテーブルが投げ出され、壊れているものもある。

 

 窓や蛍光灯も割られ、怪我人も出ているらしい。

 

 

「グァアアッァアアアァアアア!!!!!」

 

 

 叫び声と共に暴風が吹き荒れる。

 

 アルトリアが、大剣を振り回していた。

 

 

「アルトリア!!」

 

 俺が叫ぶと、彼女が俺を見る。

 

 その目は理性を完全に失っている。

 

 やばい。何があったんだ!

 

 

 逃げ遅れていた人たちもみんな逃げ出し、食堂には誰もいなくなった。

 

 アルトリアが暴走し、大声を出しながら物を破壊していた。

 

「やめろアルトリア!! ストップだ!!!」

 

 

(令呪を使わなきゃ)

 

 そう思った矢先、彼女は俺に向かって剣を振り抜いてきた。

 

 距離は離れているが、剣先から衝撃波のような風が打ち出され、俺を吹き飛ばし壁に叩きつけた。

 

「っがぁ!」

 

 全身打撲の痛みに動けなくなる。着ていた服が風に切られてズタズタにされた。

 

「アルトリア!」

 

 

 俺の叫びも聞かず、アルトリアが飛び出していく。

 

 窓ガラスをサッシごと吹き飛ばすと、彼女は建物の外へと出て行ってしまった。

 

 まずい。追いかけないと!

 

 

 俺は立ち上がって、彼女の後を追って走り出した。

 

 


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