ラブライブ!サンシャイン!! Another 輝きの縁   作:伊崎ハヤテ

87 / 96
 ポメラだけを持ってスタバで一時間ちょっとで完成しちゃいました。誘惑するものが少ないと効率いいね。さて曜編二話目です。


2話:船出の支度は唐突に

「お、お邪魔します……」

「いつもおれの家には入ってるだろ。何そんなに畏まってるんだよ」

「だ、だって……」

「変な奴」

 むー、と頬を膨らませる曜を余所に、内心おれはドキドキしていた。この間曜を家に泊めた時に滅茶苦茶ドキドキしたんだ、あれが数日間続くと考えただけでもどうなるかわかったもんじゃない。理性を崩壊させて、気まずくなりたくないからな。出来る限り今まで通りの態度でいよう。

「あ、櫂。着替えとかどうしよう……」

 曜の困った表情と声に、おれは顎に手を当てて考えた。

「もう夕方で遅いから服とかは明日買うことにしよう。それで今日だが――、よければおれの服を貸すよ」

「櫂の、服を?」

「母さんの服は殆ど家にはないからな。イヤなのはわかるが、我慢してくれや」

 苦笑いするおれを、曜はすごい勢いで顔を横にブンブンと振った。

「イヤなんかじゃないよ! こっちはお世話になる身だもん、ワガママ言える立場じゃないし。それにーー」

 曜が顔を赤くして視線を落とした。おれが「それに?」と続きを聞くと、「なんでもない! バカ!」と言われた。お世話になる身がバカとか言っていいのかねぇ。でも、曜がどこか可愛らしいと思えたのだった。

 

 

 が。

「ほら、挽き肉のこね方が甘いよ!」

「火加減に注意してって言ったでしょ!」

 本来の目的であるお料理教室になった途端にその可愛らしさは虹の彼方へと行ってしまった。今いるのは同居人渡辺 曜ではなく、スパルタ鬼教官渡辺 曜だ。

「ほら、まだ中が赤いよ! 火が通ってない証拠だよ!」

 出来上がってはハンバーグを割ったり味見をする。そして改善点やらを指摘してはおれに作り直しを要求するのだ。

「も、もう勘弁してつかぁさい……」

「もうへばったのか? 情けないぞ紫堂訓練生!」

「少しは休ませて下さいよ渡辺教官殿……」

「この曜、容赦はせん! こうなったら櫂には大勢の人を満足させる料理人になってもらうんだから!」

「そこまでの腕前になろうとは思ってないっす……」

「この曜ちゃんに教えを請うとはこういう意味だ!」

「ルビィちゃんが泣きながら泳いでた理由が解ったよ……」

「何か言ったかね!?」

「サーなんでもありませんですサー」

「ならばよろしいっ、早速次のハンバーグを焼くのだ!」

「へーい」

「返事はサー!」

 ぷんぷんと怒る曜を余所に、おれは台所へと戻った。

 曜に教わった通りに出来るだけ近いやり方でハンバーグを焼く。ひっくり返して丁度良い焼け目になっていたので蓋を被せてもう少し待つ。待っている間に曜の事を考える。

 曜の奴、よっぽど中身が赤くない限りおれの作ったハンバーグは残さず食べてくれてたな。そんなんで体重とか大丈夫なのか? 友人というよりは、Aqoursのマネージャーとして心配してしまう。おれのせいで太ったりして、スクールアイドルとしての、飛び込みの選手としての曜を駄目にしてしまうんじゃないかって。

「っと! そろそろか!」

 おれは慌てて蓋を外してハンバーグの様子を見るのだった。

 

 

「うん、今までで一番いい出来だよ。片面がちょっと焦げてるのを除けば、ね」

「ああ、ありがとう」

 そんなことを考えながら作ったハンバーグは渡辺教官に一番良い評価を貰えた。

「それじゃああと少し。次位で良いものが作れると思うからっ」

「ま、まだ作るのかよ!?」

「当然っ。櫂には料理上手くなって欲しいから」

「何も一日で上手くなろうと思っちゃいねーよ。それにさ、成り行きとは言え、同居することになったんだ。時間はまだまだあると思うぞ」

 おれの言葉に曜ははっとした。

「あー、それもそっか。ごめんね、櫂」

「いや、それだけ真剣に教えてくれてるんだ。礼を言いたいのはこっちの方だ。でも、いいのか? こんなに食べて?」

 「何が?」と首を傾げる曜。おれは思い切ってさっき生じた疑問を彼女にぶつけてみた。

「何も今まで作った失敗作全部食べなくても良かったんだぞ? それで身体壊したりしたら元も子もないし」

「失敗作なんかじゃ、ないよ」

 曜の声色が真剣さを増していた。おれがその声に彼女を見つめると、幼なじみは柔らかな笑顔をおれに向けてきた。

「櫂の作ってくれたものだもん。櫂自身がどう思ってようと私にとっては全部ごちそうだよ。櫂の作ってくれたごちそうなら、幾らでも入っちゃうんだから」

 その言葉に、急激に体温が上昇した。いかん、曜にそう言って貰えたのが妙に嬉しい。おれが言葉に詰まっていると、曜の顔面もみるみる真っ赤に染まっていく。

「そ、それにね! それを見越して今日はいつも以上にハードに練習したんだ! だから実質プラスマイナスゼロだよ!」

「そ、そっか! じゃあ問題ないよな!」

「そう! 問題ないんだよ! よ、よーし! じゃあ今度はこの渡辺教官自らが手本を見せるとしよう! シェフ曜ちゃんのハンバーグに酔いしれるといい!」

「おぅ、楽しみにしてるぞ!」

 まかせとけー!と言って曜は台所へと消えていった。曜の姿が見えなくなると大きく息を吐いた。こんなんが数日間も続いたら、どうなっちまうんだろうおれ。

 

 

●●

 ジューっと焼けるハンバーグをじっと見つめる。言っちゃった。ホントのこと。櫂が作ってくれるってだけですっごく嬉しかった。だから幾らでも食べれたし、テンションもあがって、ちょっと厳しめにしちゃったかな。その後誤魔化すように話を持っていっちゃうのが、曜の悪い癖だなぁ。もっと素直に言えればいいのになぁ。櫂の言うとおり、時間はたくさんあるんだ。出来るだけもっと素直に、櫂に気持ちを伝えるんだ!

「うわっ!」

 なんて考えてたら焼く時間を設定するの忘れてた! そのハンバーグの出来は、櫂は絶賛してくれたけど私的には納得のいかない内容でしたとさ。




 GWに黒豆さんとお友達と一緒に沼津内浦の観光に行きました。声優さんのサインを色々な場所で見てキャラを本当に好きなんだなって感じ取れました。
 それで、内浦を見て回って思ったこと。こんなとこにJKなんて素敵な生き物が住んでる訳がねえ!
 失礼しました。次回も曜ちゃんの可愛い所を書いていきますよ。一人のキャラだけを書いてると、むしょーに他の子書きたくなるのはここだけの話。

 ご意見ご感想お待ちしております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。