ラブライブ!サンシャイン!! Another 輝きの縁   作:伊崎ハヤテ

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 梨子ちゃん書いている内に愛着が湧いてくる。彼女とくっつく光景は浮かんでいるのでそこまでの過程を書くのが楽しみ。


3話 出会いは温もりと共に

●●

 私は海を見ていた。波が波止場へと打ち付ける音が周囲に響く。周囲に人はなく、まるで私一人取り残されたような。

 深呼吸を繰り返し、心の準備を整える。私がここに来た理由、海に飛び込む為に。別に死にに来たワケじゃない。ただ、海の声が聞きたいからだ。

 覚悟を決め、ブレザーをそっと近くに置く。ブラウスのボタンを外し、最初から着ていた前の学校の指定の水着になる。あとは飛び込むだけだ。

 私が助走をつけ飛び込もうとすると、不意に後ろから声が響いた。

 振り向いたと同時にその声の主は、私に抱きついた。私を説得している所からして、私を自殺願望者と勘違いしたみたいだ。

 混乱していると足がもつれ、私とその子はそのまま海に落っこちた。

 海水の冷たさに思わず身体が芯から震えた。4月なのにこんなに冷たいの?! もがいて岸に戻ろうとするけど、冷えつつある身体は言うことを聞かない。

――誰か、誰か助けて!!――

 そう心の中で叫んでいた。

 するとまた一人、人影が私たち目掛けて飛び込んできた。その人は私ともう一人の救助者らしい子の肩を抱き寄せると岸まで引っ張ってくれた。女の子とは違う、逞しい男の子の腕。私たちはそれに抱かれながら運ばれていった。

 気のせいか、心のどこかで温かさを感じる私がいた。

 

 

 

◇◇

「落ち着いたか?」

 俺は予め脱いでおいたYシャツを千歌に、ブレザーを女の子の肩に掛けた。女の子は小さくありがとう、と呟いた。

「千歌はもうちょっと冷静に物事を見ないとな」

「だってあれじゃ身投げしようとしてるみたいだったじゃーん!」

 千歌は俺のYシャツを少し震えながらきゅっと寄せる。

「よく考えてみろ。これから入水する人間が、わざわざ水着を着るか?」

「あー……、あはは……」

 俺の説明に納得したのか、笑いながら反省したように身を縮こませる。やれやれと俺は苦笑すると視線を女の子へと向けた。

「君も君だ。内浦の海は4月でもまだ寒いぞ。どうして、あんなことしたんだ?」

 女の子は申し訳無さそうに視線を落とした。何か言えない理由でもあるのか?

「無理に言わなくてもいいからな。別に――」

「海の声が聞きたかったの」

 柔らかで優しい声。それが第一印象だった。

「私、今海の曲を作りたくて、海の声を聞きたいと思って……。実際に潜ったら聞こえるんじゃないかって考えたんだけど……」

「んで、実際海に飛び込んでみて、どうだった」

 俺の問いに彼女の身体がガクガクと震えた。

「さ、寒い……」

「だろうなぁ。この時期だとちゃんとした装備がないと泳ぐのはキッツいからなぁ……」

 ちゃんとした装備、その言葉が頭の中で反芻する。

「櫂ちゃん」

 ふと千歌が俺のズボンの裾を引っ張った。私にまかせて、と言わんばかりの表情だった。

「それだったら私、丁度いいところ知ってるよ?」

「え?」

「私たちの幼なじみにダイビングショップをやってる子がいてね、その人にお願いしてダイビングして見たら?」

「でも、いいの……?」

 女の子は困ったように視線をこちらに向ける。ここで放っておけるわけないよな。

「ここで会ったのも何かの縁って奴さ。ここは一つ、こいつの提案にのってあげてくれよ。君の邪魔をしたお詫びも兼ねてさ」

「あなたも、ついていってくれる?」

「え? 俺も?!」

 その言葉に俺の表情が少し強張ってしまった。放っておけないと言ったが、その幼なじみのダイビングショップに行くのには少し抵抗があった。

「えー?! 櫂ちゃんも行こうよー!! 果南ちゃんも喜ぶよ!」

 その『果南ちゃん』が問題なんだよ。視線を女の子へと戻すと少し悲しそうな目で俺を見る。うう、そんな目で俺を見つめないでくれ。

「駄目、ですか……?」

 心なしか瞳が潤んでいる。やめてくれ、俺は女の子の涙に弱いんだ。

「わかった、わかったよ。その代わり、千歌が話をつけておいてくれよ」

「はーい!!」

「そういうわけでよろしくな。ええと――」

「梨子。桜内梨子。あなたは?」

「俺? 俺は紫堂櫂。こいつは幼なじみで妹分の高海千歌」

「よろしくねー」

 桜内さんが軽く会釈すると立ち上がった。

「じゃあわたし、そろそろ帰りますね」

「わかった。多分週末には準備が出来てるだろうから土曜日にここで会えるかな?」

 はい、と桜内さんは答えるとその場を去っていった。

 

 

 

●●

 海の声は聞こえなった。でも、温かい何かに出会えた気がした。それが嬉しくて、私は覚えかけの帰り道をぴょんと少し跳ねながら帰った。




 現在の各キャラのヴァンガデッキ事情。

千歌:未定
梨子:未定(一応初心者向けでゴールドパラディン?)
曜:アクアフォース
ルビィ:未定
花丸:グレートネイチャー
善子:ダークイレギュラーズ(当然)
マリー:オラクルシンクタンク(CEO軸)
ダイヤ:ロイヤルパラディン(アルトマイル軸)
果南:未定

 未定の子の誰かにバミューダ△をやってもらいたいとこ。ちなみに主人公は色々と変わる予定。(現在確定しているのはなるかみ ジェネシス かげろう ギアクロニクル)

 ご意見ご感想、お待ちしてます。

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