ラブライブ!サンシャイン!! Another 輝きの縁 作:伊崎ハヤテ
善子回です。
艦これは夏イベがスタートしました。その時の僕の心情『艦これよりもスクフェスのイベントじゃ!』
どうやってイベントで5万位以内を目指せって言うんだ…。自然回復では限界なのか……
波の音が、この砂浜に木霊する。そして後ろから聞こえる足音。ふと後ろを振り返ると青みがかった黒髪を海風にたなびかせた一人の少女がいた。津島善子である。
また、捕まったか。だが本人であることは確認出来た。この間の花丸ちゃんのような失態は繰り返さずに済む。
善子の瞳が悟ったように俺を見つめる。さて、前回やらかした分、思いっきりやらせてもらおう。
「どうした、『福音』はまだ鳴ってはいないぞ?」
はっと息を呑む音が聞こえる。どうやら気に入って頂けたようだ。
「勘違いしないで頂戴。これはただの気まぐれよ。堕天使たるヨハネの力を持ってすれば、貴方を見つけることなど容易いわ」
「ふっ、つくづく俺たちは縁(えにし)があるようだな」
俺は立ち上がり、彼女を見つめる。すると善子は顔に手を当て、不敵な笑顔を向ける。
「どうやらそのよ、んぶっ!」
カッコいい台詞を言おうとした途中に、チラシが彼女の顔面を直撃した。パタパタと紙が揺らめき、沈黙が訪れた。
が、善子はチラシを剥ぎとった。
「もうっ! どうしてこんな時にチラシにぶつかるのよ!」
「ぷっ」
思わず吹き出してしまった。すると善子は顔を赤くして俺を指差した。
「ちょっと笑うことないじゃない!」
「悪い、ちょ――」
俺が何か言おうとすると今度は俺の顔にチラシが直撃した。
「……」
俺は黙ってそれを剥がした。そして再び訪れる沈黙。
「ふっ、貴方も相当不運――」
今度は善子の顔にビニール袋がかぶさった。彼女は黙ってそれを外し、浜辺にあるゴミ箱へ入れた。
「ぷふっ」
「ははっ」
そして互いに吹き出してしまった。
「もう、これじゃあイカした台詞言ってもあんまり意味ないな」
「それも、そうねっ。あははっ」
一しきり笑って、興奮が覚めると俺達は改まって向き合った。
「改めて始めましてだな。津島善子さん」
「善子って――、まあそうね。『器』としての私と会うのは初めてよね」
『器』って、そういうことか。今彼女は善子として俺に向き合ってくれているんだな。本来(と言ったら本人に怒られそうだが)の自分を今俺にさらけ出してくれているんだ。何故か少し嬉しかった。
「『器』としてのあなたに会うのはこっちも初めてね。紫堂櫂、先輩?」
一応俺が目上の人だからか、先輩をつけてくれるのか。そういう礼儀はあるんだな。そんなに気負わなくてもいいのに。
「べつに俺のことは先輩つけなくってもいいよ。好きに呼んでくれ」
「じゃあルシフェ――」
「それだけは堪忍してください」
むう、と膨れる善子。ちょっと考えたのかその瞳がキラリと光った。
「それじゃあ……あなたのことは『シドー』と呼ばせてもらうわ!」
なるほど、『紫堂』だから『シドー』なのね。なんともそれらしい名付け方だ。俺は少しスイッチを入れると礼儀正しくお辞儀をした。
「その字名、確かに受け取った。『堕天使のヨハネ』」
「っ!! うん!!――じゃなかった!」
彼女は嬉しそうに返事をするが、すぐに思い直しそれらしいポーズをとった。
「このヨハネに名をつけられることを、光栄に思うのね。リトルデーモン」
「勘違いするな。まだお前の配下になったつもりはない。俺とお前は共犯者。そうだろ?」
気が付くと、悪寒めいた台詞が出てしまう。どうしてだろうな。そうすることで、彼女が、善子が喜んでくれることが嬉しいからだろうか。
嬉しそうな顔をする善子はふっと笑った。
「ええ。そうだっ――」
そして二人を直撃するチラシ。俺たちはそのチラシを丸めると、ゴミ箱へスイングした。
「さて、善子。一つ提案があるのだが」
「奇遇ね。ヨハネも同じことを考えていたの」
風が強く俺たちを吹きつける。俺たちは互いに微笑んだ。
「帰るか……」
「ええ……」
これ以上、チラシとかゴミとかがぶつからないためにも、俺たちはそれぞれの家へと足を進めたのだった。
●●
シドーと別れて一人砂浜を歩く。頭のなかに浮かぶのはヨハネに傅くシドーの顔。それを見たら、ヨハネの心の臓がドッキドキしちゃった。この気持ち、なんだろう?
そっか、シドーがリトルデーモンになったことが嬉しいんだ。シドー本人は認めてないみたいだけど、いつかヨハネの魅力に気づかせて、本当のリトルデーモンにしてあげるんだから!
おまけ もしも前回振り向いて花丸ちゃん以外の人だった時の各ヒロインの反応
千歌:櫂ちゃんなにしてるのー?
曜:すっげぇ悪い笑顔してくる。録音される。
梨子:苦笑い。
果南:大丈夫、ハグしよ?
ダイヤ:貴方、頭大丈夫ですの? とマジに心配される
鞠莉:Oh! ファンタスティック! もう一回やって! と傷口に塩を塗ってくる
ルビィ:うるうると泣きそうな眼でこっちを見てくる。
ちょっと次回何書くか、ツイッターでアンケとって見ますね。
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