ラブライブ!サンシャイン!! Another 輝きの縁   作:伊崎ハヤテ

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俺「アニメサンシャインは見ないぞ」
ツイ「梨子ママ奈々様だー!!」
俺(奈々様ファン)「っ…、屈したりしないんだから!」

 うん、時間の問題かな。


14話 『好き』の音色

「あれ、桜内さん?」

 いつもの分岐点に珍しい人が立っていた。声をかけられた彼女は俺を見つけると軽く会釈してきた。

「あっ、紫堂くん」

「一人で帰りなんて珍しいな」

「うん、今日はAqoursの活動はお休みなの」

 自然と肩を並べて歩き始める。

「そう言えばさ、海の曲はもう出来たのか?」

 俺の問いに桜内さんは柔らかい笑顔を向けてくれる。

「うん。自分でも納得のいく曲が完成したよ。紫堂くんのお陰だよ」

「俺は何もしてないさ。提案したのは千歌だしな」

 最初俺は果南ねえちゃんに会うのを渋ってたからな。けど彼女は首を横に振った。

「千歌ちゃんにも感謝はしてるけど、やっぱり紫堂くんがいたからだよ」

 嬉しいことを言ってくれるねぇ。あの時の彼女の言葉が脳裏に蘇る。

『あなたも、ついてってくれる?』

 何故彼女は俺にも同伴して欲しかったのだろう。丁度いいから聞いてみるか。

「始めて会ったあの日さ、どうして俺についてきて欲しかったんだ? 千歌と行っても何も問題無かっただろ?」

「それは……」

 桜内さんは少し視線をすぐに戻して笑顔を向ける。

「海に潜るのは始めてだし、少しでも一緒に潜ってくれる人が多ければ安心出来るかなーって」

「それもそうか。誰だって最初は緊張するもんな」

 それが理由か。ちょっと特別な意味があるんじゃないかと思ったけど、気のせいか。でもあの時の彼女の瞳、魅力的だったな。

「そうだ、完成した曲、聴きたい?」

「聴きたいね。音楽プレイヤーとかに録音してるの?」

 そう聞くと彼女はちょっと意味ありげに笑った。

「良ければ、紫堂くんが良ければなんだけど、わたしの家で聴かない?」

「桜内さんの、家で?」

 うん、と頷く桜内さん。マジで?

「いいのか?!」

「うん。良ければ、だよ?」

 良いも悪いもあるか。前から彼女の生演奏を聴いてみたかったんだ。こうしちゃいられない。

「じゃあちょっと急ごうか。後ろ乗れる?」

「あ、うん!」

 俺が自転車にまたがると、桜内さんが後ろにちょこんと座った。座り方もなんか大人しくていいな。他二人が大雑把なだけか。

「じゃあしっかりつかまってな!」

「きゃっ」

 小さな悲鳴を聞きながら俺は一気に緩めの坂を駆け下りた。自転車を漕いでいる間、桜内さんは俺の制服をきゅっと握っていた。

 

 俺が漕ぐのを止めると、千歌の家である旅館が見えた。後ろでは桜内さんが少し荒く呼吸している。

「ちょっと…、紫堂くん、速すぎ……っ」

「あー、ごめんごめん。早く曲が聴きたくてさ」

 自転車を降りて再び二人並んで歩き始める。が、桜内さんは息を呑んで足を止めた。

「桜内さん?」

 彼女の視線の先は千歌の家、旅館の前に置かれた犬小屋にある。そこには高海家の飼い犬、しいたけの姿が。長い髪をしたそこそこ大きい犬だ。

「うぉふっ」

「ひっ!!」

 しいたけがこちらを見て一吠えすると桜内さんは悲鳴をあげて俺に抱きついた。桜内さん、柔らかいなぁ。ってそうじゃなくて!

「桜内さん、犬が怖いの?」

「い、犬全般が駄目って訳じゃないけど、あの子は大きくて……」

 確かになぁ。しいたけは意外にデカい。けど人懐っこい。まぁあの大きさと目元が隠れている不気味さが怖がらせてるのかも。再びしいたけの一吠えに萎縮して俺に抱きつく桜内さん。

「紫堂くん、もう行こ……?」

 少しキツめな目がうるうると俺を上目遣いで見つめてくる。

「あ、ああ。行こうか」

 しいたけが見えなくなるまで、彼女は俺に抱きついたままだった。彼女の家の前に着くと自分の状態に気がついて顔を真っ赤にしたのだった。

 

「お、お邪魔します……」

 恐る恐る桜内さんの部屋に入る。女の子女の子してる、まさに女子の部屋って感じだ。壁には初めて出会った時の制服がかけられている。大事にしてるんだな。

「あ、あんまりじろじろ見ないでね。恥ずかしいから」

 後ろから桜内さんがコップを持ってきてくれた。

「はい、ウーロン茶で良かった?」

「ああ、ありがと」

 それを受け取り、喉に通した。少し緊張していた身体に程よい冷たさがさっと通り抜ける。

「それじゃあ、聴いてくれる?」

 俺が頷くと彼女は端にあるピアノの蓋を開けた。一瞬目を閉じて、再び開かれた眼はいつもの彼女とは少し違う、何かを感じ取れた。

 そして彼女の演奏が始まった。

 

 

「ーーっと、こんな感じなんだけど、どうかな?」

 彼女の演奏が終わり、表情が元通りになる。俺は自然と拍手をしていた。

「本当に上手なんだな。これ一から自分で作ったんだろ?」

 うん、と恥ずかしそうに頷く。恥じらう姿が何とも彼女らしい。

「紫堂くんから聴いて、何か案はあるかな?」

「案?」

「うん。実はこれ、まだ未完成なんだ。もう少し手を加えたいと思うんだけど……」

 あー、俺にそういったこと聴いちゃうかー。俺は申し訳無さそうに手を合わせた。

「ごめん、俺音楽は万年3でさ、正直どこをどうしたらいいのかってよくわからなくて……」

「そう、なんだ……」

 ちょっと残念そうに視線を落とす桜内さん。でも感じ取ったことは全部話してみようかな。

「参考になるかどうかよくわからないんだけどさ」

 俺の言葉に再び自分に視線が向けられる。俺の伝えたいこと全部受け止めて貰えるように、今度は俺が頑張る番だ。

「この曲、すっごい大事に作られていると思うよ」

 その言葉にはっとした様に彼女の目が開かれる。図星かな。

「大事にしてて、大好きだって気持ちが音に乗ってたって言うか、何て言えばいいか……」

「うふふっ」

 俺が言葉に困っていると、桜内さんから笑いが零れた。

「あははっ、紫堂くんって面白いね。そういったアドバイス貰うとは思わなかったよ」

「う、あんまり役に立たないアドバイスでごめん……」

「そんなことないよ、参考になりました」

 ありがとう、とお辞儀をした桜内さんの笑顔は、今までで一番可愛いものだったと思う。

 

 

「今日はありがとうね」

 桜内さんは手を降って俺を見送ってくれた。俺は一人、夕日に染まる空を見上げた。

「俺、桜内さんのこと、なーんもわかってないかもな……」

 音楽万年3の俺なんかじゃ役に立たないって思ってたら駄目だ。もっとよく知りたい。音楽のこと。そして桜内さん自身のこと。

 今度、花丸ちゃんから音楽の本のオススメでも教えて貰うかな。

 

 

 

●●

 紫堂くんが去った後、部屋に一人。空になったグラスを見つめる。さっきここに紫堂くんがいたんだ。

 ピアノの蓋を再び開ける。目を瞑り、さっきの旋律をもう一度奏でた。

 紫堂くん、ごめんなさい。わたしは嘘をつきました。

 この曲は海の曲じゃないの。海の曲は別にあって、Aqoursの曲にするつもり。この曲をどうしても聞いて欲しかったの。

 これは、この曲はわたしの『好き』を込めた曲。だから紫堂くんに見抜かれた時はびっくりしちゃった。

 まだ、『好き』を直接伝える勇気はないけれど、いつか絶対伝えたい。

 わたしのめいいっぱいの、『大好き』を。




俺「梨子ちゃんってさ、少し鹿島に似てない?」
梨子「それって艦これの鹿島さんですか?」
俺「そうそう。少しキツめの目、それに反する大人しく可愛らしい性格。鹿島にあってキミにないものを理解出来れば、もう少し人気が出ると思うんだ」
梨子「鹿島さんにあって、わたしにないものって?」
俺「それは――」
梨子「それは?」
俺「おっぱ――」
梨子(無言の腹パン)

 梨子ちゃんもっと人気出て欲しいなぁ。今んとこしいりことか流行ってんじゃん。獣姦ものとか出たら許さんぞ。

 ご意見ご感想、お待ちしてます。

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