戦闘シーンが短くごめんなさい
それとコレは本編の3話の前半に当たります
後半も頑張って書きますのでよろしくお願いします
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誤字修正を適用しました(osero11さん毎度ありがとうございます)
「一か月たったが…かみあわんか…」
それは翼の響に対する確執が原因だったようだが、もう一つは〈バルムンクの少女〉の言った言葉も原因だと思われた。
あの時初めて接触し対話をしたが、弦十郎は直観的に敵対組織の所属ではないと確信していた。
今も、別の所にもノイズの出現が確認されていたが、別の装者によって解決していた。恐らく彼女のおかげだろう。
彼女は、自分が止めに入ろうと思った二人の装者の争いに介入し翼と戦った。そして、対話した際に弦十郎が「なぜあの時絶唱を使ってまでなぜ二人を助けた?」と聞いた時に返ってきた答えは、少なくとも敵ではないことが分かるような答えだった。
「全く…『死ぬのが判っている人を助けるのはいけないのですか?』か……。それで自分が瀕死になってるんじゃ、何も言い返せないよな…」
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私は少し怒っていた。
確かに、奏さんの代わりに戦うと言った響ちゃんの一言は、不快になっても仕方がないと思った。
だけど…ただ「気に食わない」という理由で装者同士で戦うのは許せなかった!!
そんなに喧嘩がしたいのなら私が相手しよう……
私は歌う。今までの気持ちの全てを、そして今此処にいる事に対する怒りを!!
風鳴さんに剣を向けた時に響ちゃんが「やめてください!同じ人間同士で!!」と言って私たちを止めようとしてくれたけど、響ちゃんには悪いけど退場してもらう為、大剣でふっ飛ばした後、拘束魔法をかけて邪魔されないようにした。
風鳴さんは私が剣を向けた事が意外そうだった
「なぜ私に剣を向ける!!あなたはこの子に用があったのではないのか?」
と私に刀を向けて説いたけど、私は声をジークとヒルデに頼み
「そうね…その子とあなたに用があったのだけど…今はあなたと戦いたくて来たわ」
と、私が言った時に風鳴さんの表情が怒りに変わるのを見た…。だってその筈、今の声は…
「なぜ!!奏と同じ声をしている!」
私は奏さんの声に替え話しているのだ
これは私なりの挑発だ
響ちゃんはただ巻き込まれただけの一般人だったのに「戦う覚悟もない遊び半分で戦おうとしているあなたに奏の何を受け継いでいるの」と言っていたけど…
受け継いでいなければ女の子を助けながら戦うなんてしていない。
「本当は、見学するつもりだったのだけど…そんなに戦いたいなら私が相手になるわ」
私は、ジークとヒルデに魔法による補助は、いらない事を告げたが二人は分かってくれたみたいだ。
私は、この場で初めての心の歌を歌う。
その歌詞は、自分が孤独ではない、こんな不器用な私でも優しくしてくてた人たちがいる、
その優しい人達を悪意から守り抜きたいという誓い。
そしてそんな優しい人たちを守れなかった自分に対しての怒りとその悪意に対しての怒り
そしてもう二度と
私の挑発に係わらず、風鳴さんは冷静だった
私の実力を測る為なのか初めは剣同士の剣劇から始まった
やはり実戦がない私と比べて、風鳴さんは遥かに格が違った
どうにかして風鳴さんの剣を受け流してはいるけど…なんでだろう?この違和感は…
私は前世で護身術と言われ(明らかに護身術ではないレベルの格闘技)をバイト先の店長に、友人達とともに無理矢理教えてもらったことがあった。
その時の友達とも店長と嫌々で試合をしたことがあったけどその時は、男友達と大親友のあの娘は遊び半分だったけど真剣に取り組んでいたのは私の幼馴染だ。
彼には妹がいた。
かなり自分自身が不遇な体験をしたため妹にも同じ思いをさせたくないと思っていたらしい。
その為か私たちの中では一番強かった…私も彼と試合をした時にその思いが伝わった
[目の前の大切なものを守りたいと思う]という気持ちが
だけどなんで?風鳴さんの剣はそれが感じられないのだ…そしてシンフォギアからの歌もそうだった。
私のバルムンクがいまだに持っているのはそのおかげだった。
試しに私は、風鳴さんから離れバルムンクを構えなおした。
風鳴さんは好機と見たのか無数の青い光が降り注ぐ技を出してきた。
これはさすがに避ける事は出来ない!バルムンクを盾にして防御したとしても大きな隙が出来るのは分かっていた。
私はすべての光を全て切り払うイメージをバルムンクに込めて振るった。その時にバルムンクの刀身が刃の付いた無数の鞭に変化して、光の雨を薙ぎ払っていた。
バルムンクは私の歌に応えてくれていた。
どうやら迎撃出来たのが意外だったらしく、風鳴さんは刀を空に投げて巨大化した剣を蹴り私の方へ放ってきた
私は大剣に戻し風鳴さんのその技をかわさずに、巨大な剣が私に届く前にバルムンクを振り、そのままバルムンクで両断しようとしていた。
私の思いに応えてくれたのか、刀身が赤黒く変わっていきイメージとしては集束砲撃の一撃を放つ事になっていた。
その時、私の目の前であり得ない事が起きていたのだ。
背が高い大きな男の人が巨大な剣に正拳突きを食らわせていたのだ!!
その後、道路に亀裂が走りその男の人がいた地点から中心にクレーターみたいに変形していた。
水道管が破裂し噴水のように噴き上がっている
私はあわててバックステップして回避したけど、明らかに装者以上の戦闘能力を持ったあり得ない人間がここにいる為、前にあの気配を感じ取ったスーツの若い男の人もいるかもしれなかったので、警戒の為大剣を構えていた。しかし…その人から出てきた言葉は意外な一言だった。
「ったく……なにやってんだ…お前達?この靴高かったんだぞ…」
とその後「映画何本借りられると思ってんだ」とその男の人は、ぼやいていたけど……え?もしかしてこの人って関係者?
「すまなかったな、身内の問題に巻き込んでしまって…。俺一人で来ているから警戒しないでくれ」
となんかフレンドリーに言われたけど……もしかして私って余計な事しちゃったかな?
〔マスター……警戒は解かない方が良いかと思います。あの方の戦闘力は明らかに脅威です〕
とヒルデから警告されたけど、私は念話で「心配はいらないわ」と言ってバルムンクを地面に刺し警戒を解いたことを示した
こんな事になった後にどう話していいか迷っていると「なぜ、邪魔をしたのですか!叔父さま」と風鳴さんが抗議し始めた。「いきなり響ちゃんと口喧嘩した(一方的な逆恨みで)あなたも悪いわ!!」と突っ込んで言いたかったけどあえて黙った(私も感情的になっていたのもあって反省してるからだけど)。「奏君の恩人に剣を向けた事は良い気はしないな」とその男の人は言っていたけど…そうか、奏さんは生きているんだと少し安心した。
男の人が「失礼。待たせてしまって」と言った後、私は気にしていないと首を振って応えた
「自己紹介が遅れた。俺は特異災害対策機動部二課の責任者の風鳴弦十郎だ。改めてあの時の礼をさせて欲しい…。あの時君がいなければ観客を含めた多くの人が亡くなっていただろう。」
この言葉を聞けた事で私は安心出来た…
〈ジーク、ヒルデ、私の声を元に戻してくれないかしら…。このままだとあの人に失礼だから〉
〔本気ですかマスター!!私は賛成出来ませ…〔いいじゃねえかヒルデ…過保護過ぎるぞ〕〕
私は念話で二人に頼んだけど、やっぱり私の事を心配した為か、揉めたみたいだ。けど、その後のジークの〔ヒルデだってばれるようなヘマはしないだろ?〕の一言で渋々だったけど元に戻してくれた。
まず、響ちゃんに掛けている拘束魔法を解いて彼女に謝ったあと、目の前にいる…えっと、弦十郎さんに謝罪した。
「いえ、私も余計な事をしてしまってすみませんでした…」
私が別の声に替えて話していることに少し不快に思ったのか風鳴さんが何か言ってるけど無視した。
「謝る必要はないさ。君も止めようとしたけど翼の事が許せなかっただけだろうしな」
やっぱりこの人…いい人だ
私は始めは警戒をしていたけど……悪意を感じないのだ
それと、まず私にあのライブ会場の事でお礼を言ってくれた事も、彼がいい人だからだろう
本来であれば私は貴重なシンフォギア装者で未知な力も使える為、最優先で捕縛するのが普通だろう
今、探知魔法は使ってはいないが本当に一人で来ているのがわかる
私は「ありがとうございます」と感謝した後に自己紹介をしたかったけど、訳ありなので偽名を使うことにした
「自己紹介したい所ですが、本名を言ってしまうと私も普通の生活が出来なくなってしまうので、『グラム』とお呼びください。」
「そうか…ではグラムと呼ばせてもらおう。戦闘に介入した理由はわかるが、なぜ君は今になって出てきたのか理由を知りたくてね」
と弦十郎さんは聞いてきたけど…本当は「響ちゃんが心配だったから」とは言えないから、別の理由を素直に言おう
「先日のノイズが現れた時に、新たな装者も同時に現れたのでどの様な人なのか見に来たのですが……その際に、あの時の重傷者が装者となったのを知りました。追跡しようとしましたけど……ばれてしまっていたので、その時は断念しました。彼女が無理矢理あなた方に従っていたのであれば救出しようとしましたけど、今の彼女を見て安心しました。」
少し嘘をついてはいるけど弦十郎さんは納得してもらえたようだった。
「彼女は一方的になってしまったが協力を許可してくれたのでね。君もあの時に出て来て絶唱を使用しなければ奏君は助からなかったが……なぜあの時絶唱を使ってまで二人を助けたのだ?おそらくその後、君は体の負荷で数週間は動けない程の重傷だったはずだ…。そこまでした理由を聞かせて欲しい」
この質問は私は自分でも驚くぐらいに即答していた。
「死ぬのが判っている人を助けるのはいけないのですか?奏さんはあの時死を覚悟していました…そんな彼女を私は死なせたくはありませんでした(本当は響ちゃんを助けてくれた恩返しなんだけどね……そのおかげで入院したけど後悔はない)。彼女は…奏さんは生きているのですね?」
私が言った事に弦十郎さんは少し固まっていたけど「ああ、生きている…今はリハビリ中だが近い内に退院できるだろう」と答えてくれた。よかった、生きていてくれて…だけどなんで少し固まったんだろう?変な事言ったかな?
その後、私はあえて無視していた風鳴さんの所まで行った。
やはり先ほどの戦闘で奏さんの声を使った事が気に食わなかったみたいだったけど、私も疑問に思った事を言おうと思っていたのだ
「先ほどは不愉快にさせてしまった事は謝罪します。奏さんに失礼な事は致しましたけど、あなたはなぜ彼女を認めないのですか?あなたが彼女に言った言葉をお返しします。『あなたはなぜ戦っているのですか?』」
「それは全人類の為の
私はそんな事を聞きたかった訳ではなかった…
「質問を替えます…『あなたは何のために歌うのですか?』」
私はそれが聞きたかったのだ……
自分勝手な理由だけど、私があの時絶唱を歌ったのは、響ちゃんと奏さんを救いたかったからだ
今の理由は、只「友達を助けたい」と「今の日常を守りたい」……それが、私が戦う理由だ
響ちゃんが戦う理由はおそらく、ただノイズと戦う力があるのなら…今も口癖になっている「人助けの為に使おう」と思ったからだろう。
奏さんは分からない……けど命を落としてでも守りたい物があるとわかったから歌おうとしたのだ…あの体で絶唱を使ってでも守ろうとして
しかし、風鳴さんはそれが無いのだ。
確かに彼女は私より遥かに強い人だけど、戦っている時に思ったのだ……「なんでこの人は寂しく歌うのだろう」と
風鳴さんは私の問いに応えなかった……いや、応えられないのだろう
「そこの装者はまだマシな方だと思うわ…だって戦う理由があるのだから…。奏さんは命を落としてでも守りたい物があるからだとわかったけど、『あなたには何も感じない』。あなたはなぜ戦っているの?それと……」
私が言いたかった事はすべて言った。最後に一言を付けて
後、私はその後響ちゃんに対して「奏さんの代わりに戦う事は良いけど言葉を選んでください……大事な人の代わりなんていないのだから」と言っておいたけど…きつい一言だったかな?
私はシンフォギアからヒルデのバリアジャケットに変更した。長くここに留まってしまったがおそらくここには現場検証の為多くの捜査員が来るだろう。
「私はここで失礼させていただきます…。ご迷惑をおかけしました」
私はここにいた三人に深く礼をした後その場から立ち去った。
ジークが追手が来ない事を報告してくれたけどヒルデが心配だったのか幻影魔法を展開していたけど、それは杞憂に終わった。あの人はわざと見逃してくれたのだろうか?
寮の近くの人気のない場所でバリアジャケットを解除しこっそりと自分の部屋へ戻る事が出来たけど、今回はちょっとやり過ぎたかな?
風鳴さんにもきつい事言っちゃったけど…なんでいまだにアーティストをしているのかが疑問だった。
ノイズと戦う為なら学校も音楽活動なんてしなくてもいいじゃないのかな?と思ったのだ
それでも活動しているのは歌う事がやはり好きなのだろう…
だけど今はその感情を殺しているように思えたのだ、
「はぁ…上手くいかないわね人間関係って…」
私と響ちゃんの今の関係を思い出し自己嫌悪し、この後ジークとヒルデに慰められた。
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翼は
「それは翼が悪い」
翼からその一部始終を聞いた後の、奏の感想だった
あのライブ会場での戦闘の際に現れた『バルムンクの少女』と戦闘をした事と、その後に弦十郎に戦闘を止められたことを呆れられたのだ。そしてあの少女が言った質問に翼は答えられなかった…
あの少女の言った言葉は、今でも翼の耳に残っていた
「今のあなたの歌は少し寂しいように聞こえるわ……」
寂しいなどの感情は、すべてあのライブでの戦闘の後に捨てていたはずだった。
あの時自分が未熟だったから奏を最後まで守り切る事が出来なかった
あのグラムと名乗った彼女がいなければ、確かに今こうして奏と会話することは出来なかっただろう。
その自負の念から
響との共闘だけは出来なかった。
翼は許せなかっただけだった。あの厳しい訓練と制御薬LiNKERの過剰投与の結果、奏がようやく手に入れた力を、ただ成り行きで戦う事になっただけでふるっている響と協力することが出来なかったのだ。
奏の声で挑発され
それは、奏と彼女に同じ覚悟があった証拠でもあった
「私はとっくに気がついてたさ、翼が寂しがっていることも…それでいて私の事を気にしすぎて先に行けないのも」
奏ではいつもの通り翼をからかうように言うが〈奏での事を気にしすぎて先に進めない〉と言ったが翼は理解が出来なかった。
翼は「気にしすぎてるってどうゆう事なの?」と聞くが、奏は「それは自分で解決しないと翼の為にならないな」と答えた。どうしても教えて欲しいと言ったが「私だけじゃないと思うぞ?答えを知っているのは…」と言って教えてはくれなかった。
翼は「やっぱり、奏は意地悪だ…」と少しむくれるが、奏は笑いながらも真剣な顔で当時の事を語りだした。
「あの時、私は助けようとしたわけじゃないんだ。ただ、思いっきり歌いたいだけだったんだ、私の命を懸けて…。だけどそれは
奏がノイズと戦っていた理由は家族の敵討ちだった。
厳しい訓練と制御薬LiNKERの過剰投与で、血反吐を吐いて手に入れた時限式の力を使い、様々な闘いをしてきた
しかし年月が経つうちに敵討ちであった戦いが別の気持ちに変わっていく事に気がついた。
「翼はずるいよな…私も
奏は明るく笑いながら言った。奏の体はまだ完治とはいかなかったが、日常生活はおくれるぐらいには回復したからだ。
翼は「無理をしないで」と心配するが、奏にももう一つ心配事があった。
「そういや翼…緒川さんに聞いたけど海外での活動を断ったのは本当なのか?」
翼は少し動揺するが「うん…だって私は人類守護の剣だから…」と言って黙ってしまった
看護師に面会時間の終わりが近い事を言われ翼は名残惜しそうに出て行った
「弦十郎の旦那も苦労するねえ…翼も我が儘になってもいいと思うんだけどな…」
奏は翼が自分の気持ちを殺して今の務めを果たしている事を知ってはいたが……自分が抜けた後はもっと酷くなったのを感じたのだ。
それはあの時、奏を守り切れなかった自負の念があったからだ。
自分のガングニールを受け継いだあの娘ならあの翼の心をどうにかなるかと思っていたが、溝が深まるばかりだった。現在の翼のマネージャーでありエージェントでもある緒川 慎次にも話は聞いたけど、海外進出の事も断った事とその時の会話も聞いていた。
「剣に感情なんて必要ない……だから
奏は少し苦笑しながらつぶやいた
「感情がなかったら歌う事なんて出来ないのにな…」
その一言は、感情をなくし剣であろうとする翼を見て緒川がつぶやいた言葉と同じだった
次回 エピソード4「友達でも言えない事ってあるんだよ」