捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女 作:ローリング・ビートル
アンケートお答えいただいた方々、ありがとうございます!まだしばらくは受け付けていますので、気が向いた方はよろしくお願いします!
それでは今回もよろしくお願いします!
作業は滞りなく進んでいった。他の高校からもそこそこの人数が集まっていたので、どの作業にもきっちりと人員を割り振る事ができた。今日の分の作業は早く終わりそうだ。
「はろはろ~」
聞き覚えのある挨拶が聞こえた。
「比企谷く~ん」
雪ノ下陽乃さんが笑顔で手を振っている。
軽く頭を下げ、それに応えた。
「聞いたよ、今は生徒会に入ってるんだって?」
「ええ、それよりどうしてここに?」
まさかスタッフじゃなかろう。
「千葉の大きなイベントだからね。先を見越して雪ノ下の家もある程度は出資してるんだよ」
「ああ、なるほど」
「しっかし、なんか雰囲気変わったね~」
雪ノ下さんは、俺を上から下までじろじろと見回す。やだ何恥ずかしい。
「姉さん。暇なら手伝って」
雪ノ下がその視線に割り込むように、姉を叱りつける。
「ごめんねぇ~、主催者側の人達に挨拶してこなきゃ」
それを躱すように、雪ノ下さんは向こうへすたすたと歩いて行ってしまった。
「はちま-ん!ちょっといい?」
「おう」
戸塚に呼ばれ、駆け出すと同時に、何やら入り口が騒がしくなる。
どうやらイベントの主役達がご到着のようだ。
*******
スタッフ一同集合して、スクールアイドルからの挨拶と労いの言葉をかけられ、男子達は色めき立つ。待機時間になると、どの子がタイプかを話し合っている奴等もちらほらいた。
「あ、比企谷君だ!」
高坂さんが声をかけてくる。南さんと園田さんもそれに続く。
「本当だ~」
「比企谷君も生徒会なのですか?」
「ああ、そんなとこだ」
「え!?え!?比企谷君も生徒会なの!?」
鮮やかな金髪のポニーテールが揺らしながら、絢瀬さんが物凄い勢いで近づいてくる。
「せ、生徒会に関してわからない事があったら、何でも聞いてね!?力になるから!」
「は、はい……」
近い近い!仕事熱心すぎるだろ。あと無防備すぎる。
「エリチ」
「はっ……皆さん、今日はよろしくお願いします」
「よろしく~」
「最近の絵里、色々おかしいでしょ。どうしたのよ」
東條さんと矢澤さんもやってきた。おい、童貞風見鶏。東條さんの胸見すぎ。絶対気づかれてるからな。
しかし、そのようなゲスい視線には慣れているのか、東條さんは男子連中に柔らかく微笑み、
「あ、戸塚先輩!」
「星空さん、ようやく着いたんだね。明日楽しみだよ」
「応援よろしくにゃ!」
「もちろん」
「材木座さんと戸部さんも久しぶり」
「ふむ」
「おーう!」
星空と西木野も既に戸塚達と話していた。
じゃあ、近くに……
「八幡さん」
俺が探すより早く、背後から声がかかる。
「花陽」
振り向くと、いつもと同じで、それでいてどこ違う雰囲気を身に纏った彼女がそこにいた。
その優しい微笑みにはどこか力強さがあり、出会った頃の気弱さは欠片も見えなかった。
その姿につい頬が緩む。
「よろしくお願いしますね」
「……ああ。明日、見てるから」
「じゃあ、私も見つけますよ」
お互いに手を握ろうと伸ばした手を止める。
その代わりにじっと見つめ合った。
「…………」
「…………」
『…………』
「…………何だよ」
気がつけば総武高校のメンバーが、こちらを疑わしげな目でがっつり見ていた。
読んでくれた方々、ありがとうございます!