捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女 作:ローリング・ビートル
活動報告への返信ありがとうございます!
こちらは当分受け付けていますので、気が向いた方はよろしくお願いします。必ずプラスにします!
それでは今回もよろしくお願いします。
「どうだ?そっちは」
「やっぱりダメでした~。さすがにもう、バイトだったり、デートだったりで私の交友範囲では無理でした~」
朝の通学路。一色がわざわざ俺を見つけて残念な報告をしてくる。溜息を吐き、空を見上げると、今日は冬晴れの気持ちいい空だ。こんな日は家で惰眠を……いや、花陽を見習おう。
「せんぱ~い。聞いてます~?」
頬を膨らませ、あざとさ全開の一色に軽く頷く。
「むぅ~。μ'sの事ばっか考えてんじゃないですか?」
「それよか、とりあえず俺もあたってみる。今のところ、募集の効果も期待できそうもないからな」
「先輩友達いるんですか?」
「……いるよ」
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「八幡!」
教室に入り、席に着くやいなや、戸塚が駆けよってくる。
「おう」
「僕もやるよ」
何の事かは言わなくともわかる。
「いいのか?きつくなる可能性高いぞ」
「だからだよ」
戸塚の微笑みにつられるように、こちらも笑みが零れる。
「……ありがとな」
「ほふん。我もやってやろう」
「お~、面白そうじゃん」
材木座が尊大に、戸部が軽薄に了承してくれる。
「……すまん。いや、ありがとな」
「じゃあ俺、隼人くん達に声かけてみるわー」
「我は…………ふぅ…………」
材木座……無理すんな。悲しくなるから。
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「あ、比企谷君」
放課後。告知のポスターを掲示板に貼っていると、城廻先輩がとことこ歩いてきた。今日もほんわかめぐりんパワーが気分をゆったりさせ、疲れを少し吹き飛ばしてくれる。
「聞いたよ~。いきなりで大変だね」
「まあ、やれるだけやってみますよ」
「私も手伝うよ」
「え?」
城廻先輩は柔らかく微笑んだまま俺に向き合っている。
「いいんですか?」
「一般枠はこれから募集するんだよね?私も参加するよ。前にも言ったけど、もう推薦で大学は決まってるからね」
「……せっかくのクリスマスイブもクリスマスも重労働で潰れますよ」
「いいよ。私も最後まで学校生活を楽しみたいしね。それに……」
少し距離を詰めた彼女は、こちらの瞳をじっと覗き込んでくる。
「君は文化祭も体育祭も頑張ってくれたでしょ?」
「いや、別に……」
「少しくらいは先輩として、頼りになるところ見せないとね」
「……ありがとうございます」
可愛らしく、ぐっと拳を握る城廻先輩に、俺は感謝の言葉を告げた。
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「ねえ、あんた……」
「どした?」
ようやく全てのポスターを貼り終え、帰ろうとすると、今度は川崎が話しかけてきた。珍しくこんな時間まで学校にいたのだろうか。
「クリスマスのイベントのスタッフ……まだ、募集してんの?」
「ん?ああ」
「…………る」
川崎は俯き、何やらブツブツ言っている。
「何だって?」
「私もやるって言ったの!」
顔を赤くした川崎は、叩きつけるように言うと、さっさと靴を履き、あっという間に走り去った。
「……ありがとな」
見えなくなった背中に小さく声をかけ、下駄箱から靴を出す。
「…………」
誰かが視線を向けている事にも気づかずに。
読んでくれた方々、ありがとうございます!