捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女   作:ローリング・ビートル

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ベビーフェイス

 μ'sのステージははっきり言って、俺の想像を遥かに超える盛り上がりだった。その磨かれたパフォーマンスは明らかに場の空気を変え、観衆の目を釘付けにしていた。

 天使のコスプレをした花陽に見とれながら、祭りの雰囲気に酔いしれる。そんな最高の時間が過ぎていった。

 

 *******

 

「お疲れ」

「八幡さん!」

 

 控室前で花陽が駆け寄ってきて、がばっと勢いよく抱きついてきた。

 

「お、おい……」

「ふふっ、嬉しくてつい……」

「そうか……」

 

 言いながら、そっと抱きしめ返す。花陽の小さな体が、すっぽり腕の中に収まるのを感じながら、甘い香りを吸い込んだ。

 

「他のメンバーは?」

「学校の友達と話してますよ」

「そっか……花陽はぼっ「違います」はい」

 

 他愛ないやり取りをしながら、花陽から手招きされて、控室の中に入る。

 ドアを閉めたら、街の賑わいがさらに遠くなった。

 自然と引き寄せられていく。

 

「…………」

「…………ん」

 

 唇を離し、見つめ合うと、その潤んだ目が本当に可愛くたまらなくなり、また温もりが重なる。

 

「…………っ…………!」

「…………んん…………っ」

 

 もっと重ねたい。もっと花陽の事が知りたい。

 それだけで体が動き出す。

 

「…………んっ」

 

 舌が触れ合う瞬間、花陽は驚いたようだが、すぐに受け入れ、舌が絡まり出す。

 ざらついた感触を味わいながら、深く深く、互いの温もりを確かめる。

 

「…………!」

 

 唇が離れた瞬間、うっかり滑って後ろに倒れる。花陽はこちらの胸に強く飛び込んできた。

 

「だ、大丈夫ですか?」

「ああ、悪い」

 

 使われていないマットやクッションのようなものが敷かれており、痛くはなかった。

 とりあえず体を起こそうとする。

 

「ひゃうっ」

 

 花陽が可愛らしい悲鳴を上げ、びくんと跳ねた。

 よく見ると、花陽は膝の上に跨がり、膝には柔らかい感触が……

 

「わ、悪い……」

「もう、八幡さん……いやらしいです」

 

 顔を真っ赤にして体を火照らせた花陽は、今度は自分から唇を重ね、舌を入れてくる。濃厚な甘い香りに部屋全体が包まれている気がした。

 

「…………っ…………!」

「…………んんっ…………んっ」

 

 思考回路はとろけて、本能が剥き出しになり、ただひたすら求め合う。

 花陽の手が俺の肩を探るように撫でているのを感じながら、俺の手は花陽のくびれの辺りをなぞるように滑り、今度は丈の短い衣装で露出している太股の辺りに手を伸ばした。

 

「…………っ!」

 

 花陽がまたびくんと跳ねたので、手を引っ込める。だが花陽は、耳元で囁いてきた。

 

「八幡さん、いいですよ」

「…………?」

「私は……八幡さんになら……何だって……」

 

 こちらが反応する前に、また激しく唇と舌が絡み合い、湿った音が耳朶を撫で、自然と手が動く。

 また、花陽の太股に触れ、柔らかさを確かめ……

 

「花陽、ここですか?」

 

 全てをリセットするように、ガチャッと誰か入ってくる。

 姿を見せたのは園田さんで、彼女はこちらを見て、瞬時に顔を真っ赤にし、テンパりだした。

 

「は、は、は、花陽、ひ、ひ、比企谷君……何を……!」

「「…………」」

 

 俺と花陽はその様子を、何をするでもなくポカンと眺めていた。というか動く事ができなかった。体が半分、夢の中にいるような気分だった。

 

「……きゅうぅ……」

 

 そのまま園田さんは気絶してしまった。

 




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