捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女 作:ローリング・ビートル
日もだいぶ傾き、空は朱く染まりま始めていた。街も少しずつ彩りを失い、暗く統一されていく。
そんな中、我が家のリビングは日頃見かける事のない華やかな彩りに染まっていた。
「まさか、6人なんて大人数で俺の誕生日パーティーをやる日が来るとは……」
うん、照れくさい。まあ、こう、あれだ。意外と嬉しいものだ。テーブルに並べられたフライドチキンやおにぎりやピザなどのパーティー料理の匂いがいい感じに空腹を刺激してくる。花陽……おにぎり見すぎ。現在、テーブルを俺、花陽、小町、星空、西木野、戸塚の順に、時計回りに囲んでいた。
「いや待て八幡。お前さっき俺に気づいてたじゃん。何で話数変わったらリセットされてんの」
材……何とか君が素に戻って何か言ってる。
「はあ……お前いつからいたんだよ。何でいるんだよ。つーか誰だよ」
俺の質問に対し、材木座とやらは「バーッハッハッハ!」と高笑いをする。うぜぇ。小町と花陽と戸塚は苦笑して、星空と西木野は珍しいものを見る目を向けている。動物が動物を捕食するグロテスクなシーンを見るような感じだろうか。
「駅で戸塚氏と偶然出会ってな。聞けば貴様がこの世に生を「ああ、もういいぞ。わかったから」
「八幡、ごめんね。連絡しようとしたんだけど、材木座君がサプライズも大事だって言うから……」
材木座はドヤ顔をしている。ああ、サプライズサプライズ。色んな意味で。嬉しいものばかりじゃねーもんな。
俺と材木座を静めるように、小町が手を叩く。
「お兄ちゃーん!ロウソクに火をつけたよ~!」
「お、おう……」
小町の言葉を合図に、戸塚が部屋の明かりをを消してくるた。まだ日が沈みきっていないので、真っ暗にはならないが、これはこれで、少しノスタルジックないい雰囲気が作られている。
「じゃあお兄ちゃんに「フーッ!!」
ロウソクの火が一瞬にして消え、部屋はさらに暗くなり、誰の表情も見えなくなる。
俺は感慨深い気持ちで、部屋の明かりをつけた。
「……どうした?お前ら」
皆が一様に呆れたような苦笑を浮かべている。こう……空気読めよ的な。
「はあ、ゴミぃちゃんはこれだから……」
「あはは……」
「先輩何やってるにゃー!」
「八幡……」
「さすがの我も引くぞ……」
「意外と空気読めないのね」
はい、総スカン頂きました-!!いや、恥ずかしいじゃんか!慣れてなさ過ぎて!
「いや、すまん。なんか照れくさくてな……」
「まあ、そんな捻デレもお兄ちゃんらしいから許してあげる!あ、今の小町的にポイント高い~♪」
「あ、ああ」
「八幡さん」
花陽がいつもより、確かな輪郭を持った声音で言う。
「お誕生日おめでとうございます!」
それを合図に皆が騒がしく、俺におめでとうを言ってくる。タイミングの合ってない合唱のような騒々しさはあるが、決して不協和音ではなかった。
「……ありがとな」
自分が思うより、小さなボリュームに絞られた声だが、それでも全員がその音をひろい、小さく笑ってくれた。