捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女   作:ローリング・ビートル

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 黒澤ダイヤ様が女神すぎる!!!!!!!

 それでは今回もよろしくお願いします。


ロビンソン

「ほ、本当に八幡さんですか?」

「うす」

 軽く手を上げ、花陽に返事をする。まだ現状が飲み込めていないような顔をしている。ちなみにそれは俺も同じだ。何でここまで来たか、正確に説明できる自信はない。

「ラブライブの事、聞いた」

 この程度しか絞り出せない。

「そう……ですか」

「…………」

「…………」

 沈黙が流れる。不思議と気まずさは含まなかった。

 花陽は俯いた顔を上げ、ようやく悲しげな口元を笑みに変える。

「あの…………場所を変えませんか?」

 

 道路を挟んで向かいの公園へ移動する。そして自販機でなるべく甘そうなコーヒーを選び、先にベンチに座った花陽に渡した。

「あ、ありがとうございます」

 遠慮がちに受け取るの見て、自分も程よい距離をとりながら座る。

 あとはコーヒーを飲みながら、花陽が話し出すのを待った。

 そして、それはすぐにやってきた。

「小町ちゃんから聞いたんですか?」

「ああ、メンバーが倒れたって……そんで、予選を……辞退したとか……」

「はい。穂乃果ちゃん…………あんなに頑張ってたのに…………」

「…………」

「皆も…………あんなに練習したのに…………」

「…………」

「私…………何も…………できなくて」

 花陽の震える肩を見ながら、こんな時にかける言葉を持たない事の虚しさを感じる。

 すると、花陽が距離を詰めてきた。

「ごめんなさい……少しだけ……」

 そのまま俺の左肩にもたれかかる。それと同時に俺は花陽の頭を撫でた。自分が考えるより自然に…………。

 花陽は俺と目を合わせた後、すぐに目を閉じ、再びもたれかかった。

 しばらくの間、世界は2人だけだった。

 

 完全に日が沈み、星が夜を飾り始める頃、少しウトウトしかけていた花陽は立ち上がって、俺に頭を下げる。

「す、すすすいません!」

「…………気にすんな」

 こっちも立ち上がり伸びをする。実は俺も眠くなり始めていた。

「あの、今日はありがとうございました!」

「だから、気にすんな。俺は何もしてねーよ」

「でも…………来てくれました」

「…………もう、帰った方がいいんじゃないのか」

「ふふっ。そうですね」

 どちらからともなく並んで歩きだすと、花枝さんがマンションの入り口に立っていた。

「2人共、おかえり~」

「あ、お母さん、ただいま」

「…………こんばんは」

 当たり前のようにおかえりと言われたので、うっかりただいまと言いそうになった。

「ごめん、遅くなっちゃって……」

「大丈夫よ~。ベランダから2人が見えてたから」

「え!?」

 花陽の驚きに答えるように花枝さんは公園を指さす。…………まじか。

「じゃ、俺帰るわ」

 ここはクールに去ろうとした時、花枝さんに肩を掴まれる。

「比企谷君も上がって♪」

 何故か圧を感じる。てかこの人ぽわぽわしてるけど、力強ぇ。動けないんだもん。

「いや、俺ははやく帰らないと、可愛い妹が待ってますので……」

「小町ちゃんからは許可をもらってるわ♪」

 何の許可でしょうか。それにいつの間に2人は知り合ったんでしょうか。え、何?実は裏で皆が何か仕組んでんの?トゥルーマンショー的な。だったら俺がぼっちなのも昔フラれたのも親父が俺を敵視するのも納得。

 俺は花枝さんに手を引かれ、花陽に背中を押されながら、マンションの中へ入った。

 花陽…………お前もか。





  読んでくれた方々、ありがとうございます!


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