捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女 作:ローリング・ビートル
それでは今回もよろしくお願いします。
「か、かよちんが…………かよちんが熱愛発覚にゃあーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「ち、違うよ!違うよ凛ちゃん!」
慌てて凛ちゃんの口を塞ぐ。せ、先輩と熱愛なんて……嫌じゃないけど…………嫌じゃないけど、私はスクールアイドルになったばかりだし…………
「んー!んー……」
気がつくと、凛ちゃんの体から力が抜け始めていた。思った以上の力が出ていたみたい……。
「ご、ごめんね、凛ちゃん……」
凛ちゃんはゼェゼェと息をしながら、すぐに立ち直る。
「かよちん!この眼の腐…………濁った男の人は誰にゃ!?」
あれ?今一瞬だけ腐ったと言おうとしてたのかな?小町ちゃんがよく言ってるけど、そこまでかなぁ?
ひとまず凛ちゃんの質問に答える。
「……え、えと、お友達……かな?」
「凛に聞かれてもわからないにゃ…………」
「そう…………だよね」
うーん、今まで考えたことがなかったけど、私と先輩の関係って何だろう?
「か、かよちんは……この人の事、す、好きなの?」
「…………うーん」
先輩は同じ事聞かれたら、何て答えるだろう?
「え!?好きなの!?」
でもいきなりそんな事聞けないし…………。
「そ、そうなんだ……。凛はまだ恋愛の事はよくわからないけど、かよちんが本気なら応援するよ……」
凛ちゃんが何か小声で呟いている。どうしたのかな?
「じゃあ、そうと決まれば教室で作戦会議にゃーーーーーーーー!!!」
凛ちゃんが私の手を引いて、いつもの通学路を走り出す。
「ど、どうしたの?凛ちゃん!ダ、ダレカタスケテェ~~~~!」
少し暖かくなった空の下に私の叫び声が響いた。
…………作戦会議って何だろう?
あれから少し時間が経ってゴールデンウィーク…………の終わり頃。イベント?ぼっちにそんなのねぇよ。一流の社畜たるウチの両親は、当たり前のように仕事をしているし、一流のハイブリッドぼっちたる小町はリア充もぼっちも満喫している。そして一流のぼっちたる俺はぼっちしている。適材適所だ。何か違う気がするけど。
ちなみに花陽はスクールアイドルの仲間と合宿だ。ネットを通して着々と人気もついてきているらしい。聞くところによると、メンバーで作詞をしたり、衣装のデザインをしたり、ピアノを弾いて作曲をしたり、ダンスの指導をしたりしているらしい。何そのチート集団。
そういやこの前、雪ノ下のパソコンを借りて、こっそりμ,sの動画を見ていたら、二度と使えなくなったな。何でも犯罪者になるのを未然に防ぐ為とか。まったくやれやれだ。
そんな事を考えながらゲームをしていると、呼び鈴が鳴る。
仕方ない。未来の専業主夫の仕事くらいしておくか。
インターフォンのカメラの映像を確認する。
「おぉう……」
気持ち悪い声が漏れてしまう。
そこに映っているのは、キョロキョロと挙動不審な花陽とその背中を押しているμ,sのメンバー、星空凛だった。
1年もそろそろ3分の2が…………。
読んでくれた方々、ありがとうございます!