捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女   作:ローリング・ビートル

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恋する凡人 ♯2

「あれが自由の女神ですか……」

「写真で見るよりすごいにゃ~!」

 いつもは落ち着いている海未ちゃんも、はしゃいでいるように思える。両手を広げ、喜びを表現する凛ちゃんもいつにも増して元気一杯だ。最初はどうなるかと思ったけど、皆徐々に開放的な気分になってきている。

「かよち~ん♪」

 背後からいきなり胸を掴まれる。

「ぴゃあっ!」

 振り向くと、希ちゃんがニヤニヤしながら、手をわしわしさせていた。

「やっぱりアメリカンサイズいくかもしれんね」

「希ちゃん!な、な、何が?」

「そりゃあ、もちろんかよちんの……」

「い、言わなくて大丈夫だよ!」

 もう、希ちゃんったら…………。

「ふふっ、かよちんも楽しまないと損やよ!」

 手を引かれ、皆で写真を撮ることになった。身体を寄せ合うと、いつもより温かい。

 こうやってμ,sの思い出を作る機会を与えてくれた神様に感謝せずにはいられなかった。

 

「……で……だから、よろしくにゃ!」

「え?比企谷君が?うん、わかったよ!頑張る!」

「穂乃果、あなたが頑張る必要はないのですが」

「え?比企谷君来てるの!?どこ!?」

「エリチ、声が大きいよ」

「だって絵里編が中々更新されないじゃない!」

「エリチ、メタいよ」

 

「お兄ちゃん、花陽ちゃんへのプレゼントは決めたの?」

「ああ」

「さっすが!準備がいいね!で、どんなの?」

 俺は自信満々に自分の胸に右手の親指をトントンと当てる。

「俺がプレゼントだ」

「「「……………………うわぁ」」」

「家族3人でドン引くの止めてくんない?何で話に入ってなかったのに親父までリアクションとってんだよ」

「あんた……花陽ちゃんに変な事してフラれないようにね?」

「…………」

 母ちゃんと親父がジト目で見てくる。花陽のは可愛くてたまらんのだが、両親のは可愛くも何ともなく、イラッとしかしない。俺の発言が原因なのだが。

「大丈夫だよ。今から買うから」

「今から?」

「せっかくアメリカ来たんだから現地調達の方がいいだろ」

「まあ、確かに……」

「つーわけで俺はこの辺りうろついてるから」

 集合時間と集合場所だけ決めて、俺はプレゼント探しを始めた。

 

 ひとまず店を決めようと思い、その方向性を考えていると、左肩に軽い衝撃を受けた。どうやら誰かとぶつかったようだ。

「あ、ごめんなサイ」

 カタコトっぽい日本語で謝られる。どうやら外国の方のようだ。

 短めの銀髪が印象的で、どこか雪をイメージしてしまうような儚げな美少女だ。俺より年上かもしれない。

「あ、こちらこそ…………」

「…………」

 何故かじぃっと見られている。目が合うとかじゃない。覗き込まれている。顔が赤いのは何故でしょうか?

風邪でしょうか?

「あなた…………素敵、デスネ」

「は、はぁ?」

 落ち着けハチマン!これは罠だ!ここはアメリカだぞ!

 俺は美少女から距離をとる。いい香りなんて気にしない!

「アナスタシアさん」

 無駄に格好いい声が背後から聞こえたので振り向くと、身長190はあるんじゃなかろうかと思える大男がいた。しかも顔が端正ながらもかなり厳つい。

 や、やばい…………。

 俺が戦々恐々としていると、その大男は俺をチラ見しただけで、美少女へと駆け寄る。

「ここにいたんですか」

「あ、プロデューサーさん、ごめんなサイ」

「撮影が始まりますので」

「ワカリマシタ」

 その美少女は大男(プロデューサー?)に促され、スタスタ歩いていく。

「…………♪」

 振り返りざまに軽くウインクされた。

「…………何だったんだ」 




 アメリカ人にも、と思ったら、やはりロシア人だったというオチです(笑)。遊び心です(笑)。

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