捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女   作:ローリング・ビートル

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愛のしるし

「ありがとうございましたー!」

 店を出て、買った物をポケットの中に入れる。

 丁寧に包装してもらったから、あとは明日までこの状態を崩さないようにさないといけない。細心の注意を払い、家までゆっくり帰ろう。

 そう。明日は花陽の16歳の誕生日だ。

 

 そして翌日……。

「花陽ちゃん!お誕生日おめでとう!!」

 μ'sのリーダー、高坂穂乃果のお祝いの言葉に続き、パンパンとクラッカーが鳴らされる。その賑やかな破裂音は夕暮れの街に響き渡りそうなくらい、明るく弾けた。

「あ、ありがとうございます!!」

 西木野のご厚意により、西木野家で誕生日パーティーを開いている。ありがたや、ありがたや。

「花陽ちゃんも立派になったねぇ~」

「穂乃果も少しは見習って欲しいものです。」

「むぅ~!私、ちゃんとしてるもん!」

「この前、1限目から4限目まで通しで居眠りしていたのは誰ですか?」

「そ、その分、寝る子は育つもん!」

「どこがですか!」

「私、海未ちゃんより胸大きいもん!」

「なっ……」

 園田さんは割とガチでショックを受けていた。

「まあまあ、二人共」

「まったく何くだらない言い争いしてんのよ」

「にこちゃんみたいに諦めたら楽にゃ~」

「つ~ね~る~わ~よ~」

「痛いにゃ~」

「ふふっ、仕方ないんだから」

「エリチ……もうええの?」

「ええ、もう絵里ルート始まったから」

「何言うてんの?」

「亜里沙編もそろそろ始まるよ?」

「亜里沙?」

「ちょっと……今日の主役が置いてきぼりになってるわよ」

「あはは……」

 μ's全員の怒濤のやり取りに花陽は苦笑している。

「あの……あたし、本当に来てよかったの?」

「もちろんだよ♪」

 川崎が不安げに聞くのに対して、南さんがほんわかした笑顔で答える。

「μ'sだ~!」

 川崎の妹、川崎京華は南さんに抱き着く。尊い。

「こ、こらけーちゃん。ダメでしょ?」

「大丈夫だよ♪ふふっ、可愛い♪」

 南さんは川崎妹の頭を撫でる。尊い。

「お姉ちゃんといつもμ'sの歌を歌うの~♪」

「け、けーちゃん!」

 愛しの妹からの暴露に、川崎があたふたとあわてだす。さすがはシスコン。

「アンタ、殴るよ?」

「いや、何も言ってもないんだけど」

「何か言いたそうな目してる」

 まあ、目は口ほどにものを言うしな。ばれても仕方ないのだろう。

 総武高メンバーからは、他には戸塚と材木座と戸部も来ている。材木座がさっきから落ち着かないのが鬱陶しい。

「いやー、新年早々めでたいわー」

「そうだよね。小泉さん、これからも八幡と仲良くね」

「はい、ありがとうございます!」

 戸部と戸塚の言葉に、花陽は笑顔でお礼を言う。

 俺は、ポケットの中のプレゼントをいつ渡すべきか、機会を窺っていた。

 

 




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