捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女 作:ローリング・ビートル
それでは今回もよろしくお願いします。
一通り作業が終わり、解散になった。もう、外は既に雪がパラパラと降り始めていて、明日は早朝から雪かきの可能性が高い。
さて、皆はどこに行った?とりあえず、色々と報告はしておかなくてはならない……いかん、まだ高校生だというのに社畜になってしまっている。
歩いていると、目立たない部屋からざわつきが聞こえてきたので、覗いてみる。
総武高校の男子生徒達がホワイトボードの前に集まって、何やらガヤガヤやっている。
「あ、やべっ。ヒキガヤ君来た!」
「何だよ……」
「いや、なんつーか」
そんなに俺には見せられないものなのか。ここに来てのけ者とか……べ、別に寂しくなんかないんだからね!
すると、大岡と大和が照れくさそうに笑う。可愛くない。
「い、いや……あはは」
「その……」
二人につられてホワイトボードを見ると、そこに書かれていたのは……
『魅惑のバストグランプリ』
うわぁ……。
そこには、μ'sVS総武高校などと大きく書かれてある。
「はぁ……」
「い、いや、これは、お近づきの記念というか」
「つ、つい」
大岡と大和が慌てている。仕方ねぇ……。
「ふぅ……手伝ってやるよ」
何故かわぁっと歓声があがる。ふむ、悪い気はしない。
もちろん、この後の地獄など知る由もなかった。
*******
「1位は東條さんだ。異論は認めん」
「うんうん」
「それと大和。お前は胸見すぎだ。あの人、異常に鋭いから、間違いなく気づかれてるぞ」
「え!?」
「2位は平塚先生だな。年の割に張りがある」
「すげー!流石比企谷君、俺らが絶対に言えない事を言ってのける!」
「そこに痺れる、憧れるゥ!」
「3位は絢瀬さんだ」
「わかるわかる」
「とにかく形は良さそうだ。PVで何度も見た」
「比企谷……彼女に怒られなかったのか?」
「正座させられた。小一時間説教もされた」
「…………」
「4位は……由比ヶ浜だな」
「だな」
「ほふん。中々立派なものを持っておる」
「5位は花陽だ。いや、俺が育てる事を考えれば、まだ先がある」
『…………』
「何だよ」
「6位は川……何とかさんだ」
「八幡、名前くらい覚えようよ」
「7位は城廻先輩だ。多分脱いだらすごい」
「何となくわかる」
「大和。お前食いつきすぎ」
「8位は三浦だ。多分寄せて上げてる」
「隼人くん。そーなん?」
「いや、知らないから」
「あとは大差ない。どんぐりの背比べだ」
「へー、そうですか」
恐ろしく殺気立った低い声に、体がビクンと跳ね上がる。
振り向くとそこには……修羅達がいた。
「比企谷くーん、ウチを1位にしてくれてありがとー」
「比企谷……年の割に評価されて私は嬉しいよ。年の割にな」
「ひ、比企谷君。その……気持ちは嬉しいの。でも、あなたには花陽が……あ、でも少しくらいなら……」
「男子サイッテー!!まじありえない!!」
「あんた達……」
「比企谷君、やっぱり君って最低だね♪」
「隼人……何で止めなかったの?」
「お、俺?」
μ'sメンバーも
「これだから男は……」
「あはは……」
「てゆーか、何で私が暫定最下位とか書かれてんのよ!」
やばい。一秒でも早く逃げなくては……花陽にばれる前に。
すると、モーゼの有名な話のように、集まった女子の群れが割れ、そこをゆらりと歩いてくる御方がいた。
「ハチマンサン」
「はい……」
足が動かない。やばいやばいやばい。
「ナニヲオオキクスルンデスカ?」
あ、死んだ。
「……ん。八幡さん」
「……花陽?」
気がつけば、休憩所の机に突っ伏していた。
「ええ。皆が呼んでますよ」
「やべっ。俺どのくらい寝てた?」
「10分くらいです」
1時間とかじゃなくてよかった。
「じゃ、行くわ」
「あ、八幡さん」
「どした?」
「何を大きくするんですか?」
「…………」
「大会が終わったらゆっくり話しましょうね?二人きりで」
わあ。めっちゃニコニコしてる。なのに目が笑っていない。
「……は、はい」
俺は何通りもの言い訳を考えながら仕事に戻った。
100話目にしておバカ回(笑)。
読んでくれた方々、ありがとうございます!