捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女 作:ローリング・ビートル
ラブライブ!サンシャイン第5話キターーーー!!!
それでは、今回もよろしくお願いします。
「お母さん、おかわり!」
「は~い」
「…………」
フードファイターの如く白米を食していく(もう4杯目)花陽を横目に、俺は自己暗示をかけていた。
落ち着け俺。女の子の家で食事をするという一大イベントが発生したが、よくよく考えてみれば、ただ飯食ってるだけだ。そこに特別な感情など存在しない。
ここで普通のラブコメだったら……
『○○ったら、最近家では○○君の事ばかり……』
『もう、お母さん止めてよ~!』
なんて会話が発生して、お互い顔を赤らめながらも、少し距離が縮まるものだが、孤高のぼっちたる俺の手にかかればそんなイベントは……
「花陽ったら、最近家ではμ,sや比企谷君の事ばかり」
「もう、お母さん止めてよ~!」
おぉう…………。
危うく変な声出そうになった。自分の顔が熱くなるのを感じながら、花陽の方を見てみる。すると、花陽はこっちを見ていたのか、ばっちり目が合う。
「~~!」
そして音がしそうなぐらい、さっと目を逸らした。きめ細かでとても柔らかそうな頬は穏やかな赤に染まっていた。
やばいよやばいよ!何か嫌われそう!
動揺を必死に隠そうとしていると、花陽が口を開いた。
「せ、先輩って……おもしろいから……」
少し言い訳するような口調で告げると、花陽はさっきよりハイペースで白米を平らげた。
「これを……私に?」
「ああ、正式にスクールアイドルになったお祝いだ。小町と俺から」
「あ、ありがとうございます!」
ふぅ、色々ありすぎて忘れるところだった。
それにしても、俺の小遣い前借りで買ったのに、小町と連名で渡す。これって八幡的にポイント高い!
「あの、開けていいですか?」
「ああ」
中身は俺も知らないんだけどね。
花陽は丁寧に包装を剥がしていく。
「これは……」
「リストバンドか」
特に柄のないシンプルなリストバンドが入っていたノだが……
「2つありますね」
色違いでピンクと黒がある。花陽ってあまり黒のイメージない気がするが。
「あ!じゃあ、先輩……」
「よかったな、2つ入ってて」
「あ、えーと、はい……」
「じゃ、俺そろそろ帰るわ」
「そうですね……、電車なくなっちゃうし……」
花陽の声のトーンがほんの少し暗めになったのに、気づかないふりをしながら、花枝さんにつげる。挨拶してお暇した。
「先輩!」
エレベーターを待っていると、花陽が走ってきた。
「あ、あの、あのあの……」
「お、おう……」
「今日はありがとうございました!これ、大事にします!」
その手首には、先程渡したピンクのリストバンドがある。
「ああ、いいんじゃないか」
降りてくるエレベーターの階数表示をカウントダウンのように感じながら、精一杯の言葉を吐き出す。
「ありがとうございます」
花陽は柔らかく微笑んだ。手を伸ばしたい衝動をピリピリと指先に感じながら、そいつを押さえつけ、俺はエレベーターに乗り込んだ。
「じゃあな」
「はい、帰り気をつけて」
エレベーターの扉がゆっくりと閉まる。だが、目を逸らそうとしない花陽を見ていると、先程の衝動がまた暴れだし、何故かボタンを押して、扉を開けていた。
見えなくなりそうだった花陽と再び対面する。
「先輩?」
花陽は首を傾げる。まあ、これはあれだ。旅の恥はかき捨て的な?花陽には滅多に会わないから、まあ……その……
「は、花陽」
「は、はい……」
「眼鏡はずした方が……何かいいな」
「え……」
俺はすぐにドアを閉め、1階のボタンを連打した。
先輩が乗り込んだエレベーターが1階まで降りても、私はエレベーターの扉を見ていた。
先程の言葉を思い出し、頬が熱くなる。家に帰ってきてから、何回目だろう。
嬉しかった。
口元が自然と緩む。凛ちゃんがいたら、からかわれたかも。
それと同時にリストバンドの事を思い出す。あれを買ってきたのは小町ちゃんで、黒の方はきっと先輩のだろう。察しが悪すぎるのかわざとなのか……。
「先輩のばか…………」
そう呟きながらも、口元は緩んだままだった。
リストバンドを2つ共、花陽に渡したと報告したら、小町にものすごく怒られた。by比企谷八幡。
読んでくれた方々、ありがとうございます!