OVER LORD Gun Fist & Gun Head 作:丸藤ケモニング
広い部屋は、ほの明るい火のついたランプと〈 持続光 〉がかけられた照明器具によって、多少薄暗いながらも十分な明るさでもって照らされている。
その二つの明かりの中、キングサイズのベッドの上で、しなやかな影がゆらゆらと淫靡に踊る。
膝立ちの姿勢で、細いが鍛えられたしなやかな両腕を、まとめて頭の上で押さえられているのは、どこか物憂げな美貌のの美少女、名をティアと言う。アダマンタイト級と言う王国随一の冒険者パーティの一人であり、普段は物静かな鋭く冷たい青い瞳の忍者であり、冒険の場においては冷静沈着、氷の美貌を崩さぬ少女であったが、今は違った。その滑らかな肌を紅潮させ、半分脱げかけている忍者装束は、胸元を大きくはだけ、その慎ましくも美しい胸をさらけ出している。下に関しても膝までずり下ろされ、下帯の中にはしなやかな小麦色の手のひらが侵入し、怪しく蠢き淫猥なねちっこい水音を響かせている。
頤をあげて喘ぎ声をあげたその喉元に、小麦色の肌をしたダークエルフがすかさず唇を寄せると、厚くもなく薄くもない完璧な造形の唇から、卑猥にヌラヌラと輝く舌をつきだし顎の方へと舐め上げ、ティアの唇へと舌先を潜り込ませ、上から覆い被さるようにその唇を奪う。
シャイア·ブラックソーンは、リアルでも同性愛者である。そして、自他ともに認めるほどのSでもあった。そして、彼女が今なぶっている相手は、彼女の好み的にはドンピシャだった。最高の獲物だった。故に、いったいどうやって誘った上でベッドインして苛めようかと考えていたが、話を聞く限り、この少女も自分と同じ人種であった。あとは語る必要もなく、最初は軽いお触り程度だったが、火が点いたら止められないとはこの事か、気がつけば一時間近くもなぶられお預けしっぱなしだった。
ティアが体を小さく震わせる。その震えが最大まで大きくなる寸前、自在に動かしていた指を止め、今一歩のところで快感の波を止める。唇をゆっくり話すと透明な銀の糸が唇と唇の間で橋を架ける。それを名残惜しげに見ながらティアが目で訴えてくる。なんで止めるのか、と。それが更に彼女の嗜虐心を煽るのも知らずに。もしかしたら、分かってやっているのかもしれない。だとしたら、この子は相当な小悪魔だ。
「どうしたのかしらぁ、ティアちゃぁん?」
わざとらしく耳を甘噛みしながら聞くと、ティアはほどよく筋肉質な、汗で滑る背中を震わせ、快感の吐息を吐き出す。
「ちゃぁんと言ってくれないと、お姉さん、どうしたらいいか、分からないわねぇ」
耳に舌を差し入れ、穴と言わず耳たぶと言わずを唾液まみれにしながら、シャイアはサディスティックな笑みを浮かべ、更に問う。その間も、空いた右腕は休むことなくティアの全身を這い回り、その性感を高め続けて行く。
再度体が震えるが、最高潮に達する寸前に、腕の動きも舌の動きも止まり、その美しいダークエルフはティアの快楽に蕩けた瞳を覗き込んでくる。
「さぁさぁ、そろそろ焦らしプレイはやめましょうよ。ティアちゃんが一言、お姉さま、イヤらしい私めに慈悲を、って言ってくれたら、私の持てるテクニック全部使って、極楽に逝かせて上げるわよ?」
ティアは、実際のところ、もう限界だった。この一時間、味わったことのないような愛撫を受けてもう二十回も達しかけては引き戻されを続けられている。マトモな思考も成り立たない中、ただただ最高の快楽を求める部分だけが、熱を持って自己主張していた。
ごくりと唾を飲み込み、その桜色の唇を開いて言葉を紡ごうとした瞬間、狙ったかのようにシャイアの唇が押し付けられ、滑る舌が勢いよく口内に侵入し、歯を、歯茎を、舌を、口内の粘膜全てを蹂躙して行く。その間にも、右腕は怪しく素早く、慎ましい胸を、優しく撫で上げ、包み込むように揉み、頭頂部の桜色の突起を優しくねじり上げ、そのまま脇腹を経由し下腹部に至り、下帯を引き下ろすと、濡れて淫靡に光る秘部の中に侵入、ねじり、擦り、広げて閉じて、激しく前後し、決して自分でも届かないような所擦り上げる。
目の前に火花が散るような快感の中、口から漏れ出るはずの声は唇によって塞がれているため漏れ出ることなく、全身を走る快楽の震えは最高潮に達しようとした。だが、やはりその押し上げるはずの波は、全ての動きを止められて緩やかに引いて行く。
シャイアが、わざとイヤらしい音を立てて口を離すと、溢れた唾液がティアの胸元を嫌らしく濡らした。
「ハァ……なん、で、やめ、るの、、、?」
「まぁだ、お願いされてないからねぇ?さぁさぁ、何て言ったらいいんだっけ?さぁさぁ、いってみようよ、ねぇ?」
もう、我慢の限界だった。霧のかかったような思考の中、ティアは迷うことなく言葉を口にしていた。
「…お、お願い、しますお姉さま。イヤらしい私に、じ、慈悲をください」
「フヒッ♪いいよいいよ、お願い、聞いて上げようじゃん」
シャイアがなんとも言えない表情でそう言った瞬間、ティアは浮遊感を味わい、そのまま背中から柔らかいベッドの上に仰向けで転がされていた。素早くシャイアはティアの頭の方に移動し、ティアに跨がるようにして、その油の乗った素晴らしい脚線美の足を両手でつかむと、そのまま頭の方向へ腰を持ち上げる。
気がつけば、ティアは自分の秘部を自分で見ると言う、いわゆるマ○○○返しの姿勢をとらされていた。羞恥で顔を更に赤く染めるティアの顔を覗き込み、シャイアはにやぁっ、と口許を三日月の形に歪めて口を開いた。
「ところでティアちゃん、こいつを見てくれ、どう思う?」
そう言って、三日月状に歪んだ口許から出てきたのはヌラヌラと部屋の光を淫猥に反射する舌だ。しかし、その長さや太さには、さしものティアも息を飲む。長さは恐らく、本人はそのままで自分の胸を舐め上げる事が出来るほど長く、太さもちょっとした男性のモノほどはあるだろう。それが、まるで自らの意思を持っているように蠢き、もっとも敏感な突起を優しく激しく舐め上げる。そのまま、シャイアの顔がゆっくりと足の間に入っていくのを、ティアはなんとか押し止めようと言葉を紡ぐ。
「ま、待って……!そ、そんなの、入らない…!!」
その言葉に、シャイアの動きが一瞬止まり、ティアはホッと息を吐く。しかし……。
「ざぁんねんでしたぁ、止まりません♪」
秘部に、極太の舌が侵入し、ティアが獣のような喘ぎ声を上げた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ベッドの上で体を痙攣させて転がるティアを尻目に、シャイアは既にいつもの服装でワイングラス片手にくつろいでいた。
現在は最高の気分である。ティアと言う最高の素材を思う存分なぶって蹂躙して猥褻な行為を行ったのだ、気分が悪いはずなど無い。
とは言え、気がかりなこともあった。ティアが気づいていないようだったから、行為の最中は気にもしないようにしていたが、なんだか精霊が騒がしいような気がする。この世界に来て気がついた事だったが、〈 エレメントマスター 〉のクラスを所得している自分は、目に見えない精霊を関知し、悪いことを漠然と知ることが出来るようなのである。
無論、低レベルでしかクラスを所得していない自分では、それがどう言うものかは分からない。しかし、分からないなりに、なにか悪いことが起きているのだけは分かった。
「〈 精霊召喚第三位階/精霊喚起ネヌファ 〉」
嫌な精霊のざわめきを受け、シャイアは情報収集の時に使う風の精霊を喚起する。シャイアの呼び掛けに答え、部屋の中に一瞬風が渦巻き、即座に形作る。風が収まったときにそこに立っているのは、薄く透けたようなワンピース風の衣をまとった半透明な美女、ネヌファであった。レベルこそ30そこそこだが、戦闘能力は極めて低く、魔法の威力も同レベル帯ではかなり低い。しかし、完全物理無効な上に〈 完全不可視化 〉を行えるため、情報収集にはもってこいの精霊である。
呼び出したネヌファとの精神的な結び付きを感じたシャイアは満足げに頷くと、ネヌファに向かって口を開く。
「久しぶりね、ネヌファ。さて、聞きたいことはひとつ、なんでこんなに精霊が騒いでいるのかしら?」
「お答えしますねご主人様~。ここから西の方へ行ったところから、なんか妙な気配が溢れだしているからで~す」
なんだか、この子は頭が悪そうだ。
そうは思いつつも、この町の西の方には何があったかと考える。しかしながら、ティアとここへ来るまでの間、どうやってベッドインしたものか考えていたため、全く町の説明を覚えていないことに思い至る。自分はバカかと、その時の自分を罵りたくなったが、よく考えれば、現在はいわゆる賢者タイムな訳で、そんなときのやつに罵られてもなぁ、と思い至り、考え直す。要はネヌファに調べてきてもらえばいいんだ、と。
「ネヌファ、悪いんだけど、何が起きてるか調べてきて。姿を見られないように、なるべく正確に、けど急いでね」
「りょ~かいですよ、ご主人様~」
答えるが早いか、ネヌファは完全に姿を消して、この部屋から飛び出していった、らしい。本当に大丈夫だろうかと思いつつ、ワインを喉に流し込むと同時に、外から鎧のガチャガチャと言う音と、床を踏み抜きそうな足音、何人かの従業員が止めに入って怒鳴り返す声がうっすらと耳に届いた。その声に聞き覚えのあったシャイアは、軽くため息をついて、寝息をたて始めたティアの側へ近寄ると、その頬に口づけをすると、音を立てないように扉から廊下へ出たのであった。
廊下に出て部屋から階段へと歩いていく途中で、件の足音の主と目があった。ガガーランである。額に汗して上がってきたと言うことは、よほどの事があったと見える。
「どうしたの、ガガーラン、そんなに慌てて」
「ハァハァ、ジューゾーから伝言、だ」
息を整える暇も無いように言葉を紡ごうとするガガーランを制して、シャイアは無限の背負い袋から無限の水差しとグラスを取りだし、ガガーランに差し出すと、ガガーランは礼をいいながら受けとり、それを一息に飲み干した。
「はい、落ち着いたわね。で?何があったの?十三は?」
「ええとだな、十三は今、モモンって言う冒険者と一緒に共同墓地に向かってる」
「……なんでそんなことになってるのかは後から聞くわね。それで、何が起きてるのかしら?」
その言葉に、ガガーランが一瞬目を丸くするが、すぐさま気を取り直し、言葉を吐き出した。
「そのモモンとやらが言うには、共同墓地からアンデッドが溢れ出そうになってるらしい。防衛網を構築するために、俺が走り回って人手を集めているんだよ」
「……ふぅん、そう、アンデッドが、ねぇ?」
道理で精霊が騒がしいと思った。
シャイアは口を三日月状に歪めながら頷き、ガガーランの肩を軽く叩いた。
「分かったわ。私が先に共同墓地に急ぐわ。ガガーランは人手を集めて後詰めに回って」
「おいおい、お前らだけで大丈夫かよ?なんだったら、俺がついていくぜ?」
「問題ないわよ、私達なら。むしろ後詰めが多い方がいいわよ、溢れ出たら、ただじゃすまないものね」
そこまで言って、シャイアはもう一度三日月に歪んだ口許を隠そうともせずに言ってのけた。
「まぁ、一匹たりとも外へは出さないけどね」
我が家のエロ担当はシャイアです。
こういうのが苦手な人はごめんなさい。
次回はちゃんと戦闘です。