OVER LORD Gun Fist & Gun Head   作:丸藤ケモニング

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我らがヒーロー、アインズ様のターン。

二巻、森の賢王の辺りからです。

今回もご都合主義ありで。

開幕ガガーランは、無い。




4,ゴーレム対漆黒

 いやぁ、助かったぜ、ありがとうな。

 お前も礼を言え。

 へぇ、モモンガさんね。となるとあっちの聖騎士がたっち·みーか。

 そりゃぁ有名人だからな、あんたらアインズ·ウール·ゴウンは。

 あん?俺が有名人?馬鹿言ってんじゃねぇぜ、モモンガさん。

 ああ、頭の形ね。そりゃ有名かもしれねぇなぁ。

 まぁ、なんにせよ助かった。たく、異形種狩りにゃ、こっちも迷惑だぜ。

 ……なんか、さっきからやけに静かだな?どうした?

 なんでもない事はねぇだろ。ああ、待てよ。すまねぇなモモンガさん。この礼はいつかまた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 カルネ村に程近い場所に広がる森、トブの大森林。基本的に俺が住んでたような所には、こんな大自然は広がってなかったなぁ。て言うか、世界的に見てもこんな大自然は無かったな。あー、ふぃとんちっと?だっけ?感じるなぁ。気持ちいいなぁ、このまま寝られたら最高なんだろうけど、アンデッドだから無理だなぁ。

 

「モモンさん、何かありましたか?」

 

 はっ!しまった、あまりの気持ちよさに足を止めてしまった。えーと……。

 

「いえ、少し辺りを窺っていたのですよ、ニニャさん」

 

 と、適当なことを言って誤魔化しておく。しかし一応彼も納得してくれたので良しとしよう。

 しかし、森の賢王か。いったいどんな魔獣なんだろうか?賢王と言う位なんだからさぞかし立派な魔獣なんだろうな。賢い魔獣、どんなのがいたっけか?えーと、旅人に謎かけをしてくる、答えは人間のあの魔獣は……スフィンクス!なるほど、それならいるかもしれないな。あれ?そう言えば銀の毛並みを持つ魔獣って言ってたか?だとしたらスフィンクスじゃないな。

 

「えー、ではこの辺りで採取を始めたいと思いますね」

 

 考え事をしていたら、ンフィーレアがそう言ったのでこっちに帰ってくる。そして、今回採取する薬草がこんな形であると皆に見せていた。うむ、草だな。

 

「ほう。ングナクの草であるか!」

 

 あ、そんな名前なんだ。俺からすればただの草なんだけど。ブループラネットさんなら分かったかな?

 知ったかぶりをするべきかどうか。そんなことを考えていると、皆の視線が俺に集まっていた。

 

「モモンさん、大丈夫ですか?」

「ん?ああ、それですね、了解していますとも」

 

 鷹揚に見えるように頷いてみたものの、ダメだ、さっぱり違いが分からない。ちらっと、後ろに控えるナーベを見ると、まったく興味がなさそうに蝶々を見ていた。いや、お前はこっちにちょっとは興味を示せ。

 話によれば、ンフィーレアの家が作っているポーションは、全て天然素材で作っているらしく、薬効が10パーセント増しなんだそうだ。ユグドラシルのポーションは基本的に特定職業を経た者のみが得られる特殊技術と込めたい魔法を材料にして作り出すもので、どうもこの世界のポーションとは作り方を異するみたいだな。この世界のポーションの作り方を手中に収めれば、ユグドラシルの技術と会わせて新たなポーションを作れるかもしれない。そうすれば、自ずとナザリックの強化に繋がるだろう。しかし、そうするためには何らかの手段でこの世界のポーションの作り方を入手しなければならない。さて、どうしたものか。

 さて、そろそろかな?

「それで採集に入るのですが……」

「ーーーそこでひとつ提案が」

「どうぞ、モモンさん」

「キャンプの際に使った〈 警報 〉のような魔法をナーベが行使できますので、少し単独行動をさせてもらってよいでしょうか?」

「構いませんよ。でも、あまり長く離れないでくださいね」

「勿論ですとも」

 

 そう言って、俺とナーベは、ナーベにすり寄ってくるルクルットに暴言を(ナーベが)吐きながら森の中へ姿を消す。暫し離れた場所で立ち止まり、声をかける。

 

「アウラ、いるな?」

 

 急の呼び掛けに、ナーベが?マークを頭にいくつも浮かべる。

 

「はーい、可憐に可愛くあたしが参上」

 

 その声は、ナーベの上から聞こえた。

 

「アウラ様!?脅かさないでください」

「えへへ~、ごめんね」

 

 木の上から飛び降りたアウラが天真爛漫な笑顔でそう答え、俺の方に向き直り膝をつこうとするのを、鷹揚に手を振って止める。

 

「万事準備は整っているか、アウラ?」

「もちろんです、アインズ様!白銀の体毛に蛇のように長い尻尾の魔獣、でしたよね?」

「ああ、そうだ。さすがアウラだ」

 

 そう言いながらアウラの頭を撫でてやると、はにかんだように笑う。うむ、癒しだな。ナーベは、妙なところでポンコツだからなぁ。そう思いながらナーベを見たら、なぜか撫でられたそうにしてた。いや、お前誉められるようなこと、してないからな?

 

「さて、もう一度手順を確認しておこう」

 

 そう言って、俺は二人とこの後の手順の打ち合わせをした、のだが。その最中に、アウラが何かを思い出したように手を打った。

 

「どうしたのだアウラ。なにか思い出したのか?」

「はい、アインズ様。いえ、強さ的には大したこと無いんですけど、昨日くらいからよく分からないのが森の中に侵入してるんですよ」

「よく分からないもの?」

「はい。えーと、恐らくゴーレムの一種だと思うんですけど、どうしましょう?あたしが蹴散らしておきますか?」

「ふむ?」

 

 ゴーレムか。しかも強くないなら色々と利用できるかもしれないな。あ、そう言えば。

 

「アウラよ、そのゴーレムは何体ほど侵入しているのだ?」

「二体ですね」

「そうか……もう一つ聞こうか、アウラ。そのゴーレムは、私とナーベの二人で勝利を納めることが出来るのだな?」

「それは余裕ですね。まず、間違いなく負けるわけがありません!」

「う、うむ、そうか」

 

 なんか、そんなに力強く断言されると照れるな。しかし、どうするか?

 よし、じゃぁ、こうしようか。

 

「ではアウラよ。そのゴーレムの一体はお前が潰し、もう一体は私が森の賢王と戦った後、こちらへ乱入させよ」

「はい、わかりました!」

 

 アウラの元気のよい返事を聞いて満足し、再度手順を確認した後、俺とナーベは一行の元へと戻っていくのだった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「降伏でござる!それがしの負けにござるよ!」

「……ああ……所詮は獣か……」

 

 俺は、すっかり気合いが抜けてしまった。最初は剣士として勝負していたが、こっちの正体を見抜けない程度だったため、〈 絶望のオーラⅠ 〉の恐怖効果を狙って使った結果、森の賢王ことでかいジャンガリアンハムスターは、その柔らかげな銀の体毛に包まれた腹部を無防備にさらけ出して降服したのだ。と、言うか、森の賢王なんて名前なんだから、もうちょっと威厳のあるモンスターが出てこいよ、まったく。

 まぁ、しかし、どうしたもんか。レアなモンスターではあるみたいだし、それに、この潤んだ瞳で見上げられると、こう、人間からかなり解離した自分でも、なんか可哀想になってくる。ペットとして飼うかな?

 

「殺しちゃうんですか、アインズ様」

「アウラか、ここへ来たと言うことは?」

「はい、誘導していますよ。もうちょっと時間がかかりますけどね。それでアインズ様、殺しちゃうんなら皮を剥ぎたいなって思うんですよ。結構いい皮が剥げそうですし」

 

 そんな物騒な言葉を聞いて、森の賢王がビクッとした後、プルプルと髭を震わせ自分の尻尾を短い手足で抱き抱えて、恐怖しながら運命を待っている。うん、やっぱり可哀想だ。それに、こいつの言った仲間と言う言葉が俺の琴線に触れたような気がする。

 

「森の賢王よ、私の真の名前はアインズ·ウール·ゴウンと言う。私に仕えると言うのであれば、汝の生を許そう」

「あ、ありがとうでござるよ!命を助けてくれたこの恩、絶対の忠誠でお返しするでござるよ!」

 

 飛び起きて忠誠を誓ってくれる森の賢王の頭を撫でてあげながら、ちらっとアウラを見ると、ちょっと不服そう。ふむ、なにかご褒美的な物を、後であげよう。しかし、そんなことより。

「アウラ、後どれくらいでこちらへ来る?」

「えっ?あ、はい!後、二分ですね」

「ふむ、そうか。ならばアウラは隠れておいてくれ。私とナーベだけで十分なんだろう?」

「ええ、もちろん。それでは隠れておきます」

「殿ー、いったいなんの話をしてるのでござる?」

 

 時間もないことだし、手短に森の賢王に説明すると、「それがしもやるでござるよー!フンス」と言って戦ってくれることになった。しかし、まぁ、どんなゴーレムか聞くのを忘れたな。いくらなんでもレアアースゴーレムとかそんな高レベルのゴーレムは来ないだろうし、だとするとアイアンかチタンゴーレム辺りかな?まぁ、いよいよになれば、鎧を脱いで魔法を行使しまくればどうにかなるだろう。

 

 森の奥から木をへし折りなぎ倒す音が大きくなる。それよりも早く、アウラが使役しているモンスターが茂みから飛び出し、アウラが消えた方向へと姿を消すと同時に、木々をなぎ倒し、それが姿を表し、その姿を見た俺は、無いはずの息を飲んだ。

 それは、一言で言うなら異形。大きさは高さ二メートル半と言ったところで、胴体は、どうやら人に近い生物の物のようだが、両腕にあたる部分から生えているのは妙に機械的なパーツで、地面に垂れている方のパーツは四本の鉤爪を備えた人に近い金属製の腕、反対方向に伸びている腕の先は、あろうことかガトリングガンになっており、それぞれ二対、計四本、腰から下も異様で、金属製の鋭い鉤爪を備えた太く頑強な足が四本備わっていた。言い方は悪いが、全体的なシルエットとしては、蜘蛛を大きく歪めたものと言えるだろうが、俺が息を飲んだのはそこではない。こいつの頭にあたる部分、それは、大型拳銃のそれになっているのだ。この銃頭、見たことがあった。しかし、そんなはずはないと否定し、大剣二本を握りしめ構え直す。

 

「行くぞ……!」

 

 俺の号令と共に戦闘が始まった。

 ゴーレムの振り下ろす鉤爪を潜り抜け、足に大剣を叩きつける。鋭い金属音と共に、大剣の刃が数センチ食い込んで止まったのを見て、目を見開く。冗談じゃない堅さだ。そう思いながらも、今度は更に力を込めて左の大剣を叩きつけるが、それでも半分まで刃が食い込まない。お返しに繰り出された鉤爪の嵐を大剣で捌き、それと同時に切り落とそうとするが、それも半ば程度まで刃を食い込ませるのが精一杯だった。

 大きく距離をとろうとする俺に向かって、腕に生えているガトリングガンの銃口を向けてくるが、森の賢王の尻尾の一撃が銃口をひん曲げて使用不能にしたところへ、ナーベの〈 雷撃 〉が追撃するが、その〈 雷撃 〉は見えない障壁によって阻まれた。

 

「魔法障壁!?どうなっているんだこいつは!?」

 

 レベル的には大したことはないものの、本来このレベル帯のモンスターが持つはずの無いような能力を持っていることに憤りを覚えつつも、刃が通りにくい訳がようやく分かった。こいつ、斬撃武器耐性持ちか。しかし、あの頭の銃を撃ってこないと言うことは、もしやハリボテか?どっちにせよ、強さの程度は分かった。ならば、後は時間をかければどうとでもなる。そこまで考えて、俺は大剣を握り直し、もう一度全力で切りかかった。

 

 十分ほどで、このゴーレムは動きを止めた。とは言え、全ての腕を切り飛ばし、森の賢王が尻尾でガトリングガンを潰し、足を全て叩き壊した上で、胴体を粉々になるまで叩いてようやく動きを止めるとは、なんつぅ頑丈さだ。胴体部分が生物な理由もよく分からないしな。

 しかし、この壊したパーツ、歯車やワイヤー、ケーブルなんかがつまってて、どっちかと言うとロボットのようだな。いや、なんかこのパーツ、見たことあるんだが……。

 

「ああ、ACか!」

「知っておられるのですか、モモンさーーん」

 

 いや、そこは伸ばすなよ。

 

「ああ、るし★ふぁーさんとぬーぼーさん、それとへろへろさんが俺に進めてくれたゲーム、アーマード·コアのパーツにそっくりな部分がある」

 

 この腕パーツとか、武器腕にそっくりじゃないか!しかし、だとすれば一体どこの誰がこんなものを製作したんだ?ふむ……。

 

「アウラ」

「お呼びですかアインズ様」

「うむ、こいつの残骸を持って、一度ナザリックへ帰還、デミウルゴス、はダメか。シズや鍛冶長を集め、解析をするように指示しておいてくれるか?それと、お前たちが倒した方の残骸も同じくだ」

「承知いたしました。ところでアインズ様はどうなさるんですか?」

「……仕事を放り出していくわけにもいかんからな。エ·ランテルに戻り次第、ナザリックに一度帰還する事とする。では行け」

 

 はっ!と言う返事と同時に、アウラの僕各種が、残骸を拾い集め、それぞれの方法で移動を始める。それを見ながら〈 転移門 〉を使えばよかったと思うと同時に、もしかしたら、このゴーレム擬きを作ったのはプレイヤーかも知れない、そう思えてならなかった。

 

「考えてもしょうがないか」

 

 執着を諦めの言葉で断ち切りながら、軽く頬を…まぁ、兜の上からだけど掻き、俺はナーベと森の賢王に命令を下すのであった。

 

 




アーマード·コアは好きです。
もっと文才が欲しいなぁ、そう思う日々であります。

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