私は医療スタッフだ!   作:小狗丸

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クー・フーリン達三人の新モーション、大変カッコ良かったです。
ジャスティスハサン先生の新モーションはよ。いぶし銀な先生に似合う新モーションはよ。
というかカッコいいザバーニーヤの新モーションはよ。

我がカルデア陣営の呪腕のハサン:聖杯でLv90になっており、キングハサン先生と共にアサシン部門のツートップ。


ぐだぐだ本能寺
29


 オルレアンの特異点を修復し、新しいサーヴァントを仲間にした日から早数日。私が食堂でエミヤの作った昼食を食べてマイルームに戻ろうとした時、私は何やらカルデアの職員達が明らかにこちらを恐怖の目で見てくることに気づいた。

 

 カルデアの職員達は私の姿を確認すると即座に直立不動の体勢となって「私はこの資料を倉庫に持っていく途中です!」とか「私は休憩を終えて職場に戻るところです!」とか、わざわざハッキリとよく聞こえる大きな声で私に報告をするのだ。

 

 一体何事かと思ったが、その疑問はマイルームの前についた時に氷解した。私のマイルームの扉には一枚の貼り紙が貼ってあり、その貼り紙にはやたらと達筆な文字でこう書かれていた。

 

 

 

【不審者、即斬首週間実施中】

 

 

 

 ………そうか、これのせいか。この貼り紙のせいでカルデアの職員達はあんなに怯えていたのか。

 

 そしてこんな貼り紙を貼ったのは十中八九、牛若丸だろう。というか牛若丸以外のサーヴァントがやったとしたら私、色々と絶望するからね?

 

 とにかくこんなふざけた貼り紙はすぐに剥がしてもらう事にしよう。そう思って私がマイルームに入ると……。

 

『ひとぉつ! ふたぁつ!』

 

 ザシュ! ザシュ!

 

「お見事! 中々見事なお手並みです。迷いのない太刀筋で首を斬っています。やはり御首級を狙う武士はああでなくては」

 

「あらあら。ええ、確かに元気のよい武士ですね。速さよりも力を重視して骨を砕いて首を斬る……あれなら鬼の首も斬れそうです」

 

「ふむ……。我のような暗殺者の剣とはいささか違うが、巧く首を斬っておるな」

 

 漂流者達のDVDを見て、主人公の島津武者が敵兵の首を次々と斬り捨てるシーンでそれぞれの感想を言う牛若丸と頼光さんと山の翁の姿があった。

 

 ちなみにアルジュナは部屋の隅で椅子に座り本を読んで素知らぬ顔をしていたが、よく見れば頬に一筋の汗をかいていた。

 

 ………ナニコレ?

 

 何で牛若丸と頼光さんと山の翁の三人が仲良くDVDを見ているの?

 

 いや、サーヴァント同士が仲良くしてくれるのは大変嬉しいけど、何でよりにもよって見ているのが「漂流者達」のDVDなの?

 

 というか何? 頼光さん達のあの物騒な会話。いつから我がマイルームは首狩り族の集落になったの?

 

「あら? マスター、お帰りなさい」

 

「うん? 帰ってきていたのですね。マスター」

 

「お帰りなさいませ、主殿」

 

「帰ったか契約者よ」

 

 私がマイルームの首狩り族集落化に畏れおののいていると頼光さんが声をかけてくれて、それに続いて他の三人も声をかけてくれた。

 

 はい。ただいま戻りました。それで戻ってさっそくなんですけど、表の貼り紙は一体何ですか?

 

「ああ、あれですか? あれは敵の間者が紛れていないか確かめる為の行動です。何しろここは人類の最後の砦。万が一、敵の間者が紛れ込んでいたら大変ですからね」

 

 私の質問に牛若丸が露出過多な胸を張って答える。……そうか、やっぱりお前か。牛若。

 

 しかし即斬首週間なんて物騒な週間、よくロマン上司が許可しましたね?

 

「はい。(刀を突きつけて)理由を説明したら快く許可してくれました」

 

 オイコラ。今、小声で「刀を突きつけて」って言ったろ? ……これがブレーキの壊れた忠犬の実力か。

 

 牛若丸が百パーセント私への忠誠心で動いてくれているのは分かる。でもこれはちょっと……。

 

 何だが牛若丸と一緒に戦った源氏勢の苦労が少しだが分かった気になってると、当の本人は手のかかる弟を見守る姉のような視線で私を見上げていた。

 

「まったく……。主殿も武士であるのでしたら、いついかなる時も警戒を怠ってはいけませんよ」

 

 うるさいやい。私は医療スタッフだ。武士じゃないやい。

 

 ……まあ、それはいいとして。あと、その漂流者達のDVDは一体どうしたのですか?

 

 漂流者達の漫画はもうすでに頼光さんに読ませてしまったのでもう諦めてマイルームに残しているが、漂流者達のDVDは厳重に封印して更にカルデアの倉庫の奥に隠した筈なのだが?

 

「これですか? これならばロマン殿に貸してもらいました」

 

「漫画を読んだのならば、次は動画を見ればより楽しめると言っておったな。……確かに漫画の後に動画を見るとそれぞれの首の斬る光景が鮮明に映るものよ」

 

 ガッデム! ロマン上司の仕業か! 何余計なことをしてくれるのあの人は!?

 

 頼光さんと山の翁の言葉に私が思わず頭を抱えると丁度その時、背後の扉が開いて誰かが私のマイルームに入ってきた。すると……。

 

「誰ですか?」

 

 チャキッ。

 

「曲者ですか?」

 

 チャキッ。

 

「首を出せいっ!」

 

 ガシャッ!

 

 即座に頼光さんと牛若丸と山の翁が自分達の武器の刀と大剣を構える……って!?

 

 三人ともストップストップ! 一体何をしようとしてるの!?

 

「落ち着いてください! まだ不審者とは限らないでしょう!?」

 

 ガチの殺気を纏って今にもマイルームに入ってきた誰かに斬りかかろうとする頼光さんと牛若丸と山の翁を、私とアルジュナは必死に止める。その甲斐もあって三人は何とか止まってくれたのだが……私、これから先色々と大丈夫なのだろうか?




最後の薬研とアルジュナは、ドリフターズのギャグ顔を想像してもらえると嬉しいです。

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