Muv-Luv MUSHAの名を持つガンダム 作:アドベンチャー
ー地球 日本帝国ー
宇宙要塞 ア・バオア・クーの探索から1週間半が経過して大和達は現在、静岡県静岡市にある新静岡基地に滞在していた。
その基地の敷地内では夕呼と大和が会話している。
「これはまぁ、聞いていた以上の代物ね。良く持って来てくれたわ、煌月」
「ほんと、大変でしたんですよ?特にシャンブロ」
同基地内では地球へと帰るために調達したミネルバと4機のGN輸送コンテナが停泊していた。
夕呼の目に映っているのはミネルバではなく、大和にア・バオア・クーで見つけた2機のMA シャンブロとガデラーザのどちらかを必ず持って帰還するように!と上官命令させて、300m級のガデラーザを持って帰るわけにもいかなかったので頭部・胴体・右腕・左腕の合計4パーツに分解したシャンブロの組み立て作業を見ていた。
因みに今はコンテナから出した頭部と胴体の接続作業をしている。
「アレ、大丈夫なの?」
「何がです?」
「いくら帝国の整備兵とは言え、作業をしているのは戦術機しか知らない一般兵よ?」
どうやら夕呼はまだ情報公開されていないシャンブロを整備兵達に任せて大丈夫なのか?と聞いているようだ。
「そこの辺りは心配ありませんよ。作業をしているのは斯衛軍の兵士達で破壊工作などをされることは有りませんし、それにあの大きさですからどのみち完成な隠蔽は無理です。なので、情報が公開されていなくても機体自体を見せておけばいずれ実戦投入する際に兵士達からの意見が殺到されなくて良いものでしょう?」
「まぁ、それもそうね。にしても、クレーンだけじゃなくて戦術機も使うなんてそんなに重いの?アレ」
見てみると、胴体の首に接続する頭部はクレーン1台と2機のF-4J『激震』によって支えられていた。
「頭部だけでも激震の1.5倍ぐらいはありますから、クレーンだけではちょっと『PPPPP!』
大和が言っている途中に持っている端末から通信音が鳴る。
その内容はある人物からの通信だった。
「どうやら基地内へ戻って来るように言われました。博士はどうしますか?」
「私はもう少しだけ見ているわ」
「わかりました。では、お先に失礼します」
大和は夕呼に敬礼をすると、先に基地内へと戻る。
場所は変わり、基地内に入った大和は通信をかけてきた人物から指定された場所へと向かった。
「なんで自分の番号を知っているんですか?
「いやぁ、そこは企業秘密ということで頼みますよ、煌月大尉」
指定された場所に入ると、そう言って部屋のソファに座っていたのは『帝国の怪人』のこと帝国情報省外務二課長『鎧衣左近』だった。
「今日は何の御用なんですか?情報省の課長ともあろう人が暇ではないでしょう」
「ごもっともなんですけど、大尉には至急、耳に入れてほしいことがありましてね」
『至急』という言葉に大和は引っかかった。
「殿下。つまり、政夷大将軍殿下との会談の日程が決まりました」
「!」
近畿防衛戦の前に夕呼に頼んでおいといた件がやっと決まり、今考えると鎧衣がここに来たのはおそらく伝令役として来たのだろう。
「場所は?」
「第二帝都 東京の帝都城。ただし、会談は非公開となりますので明日の夜に行います」
「わかりました。こちらも準備しておきます」
「では、よろしくお願いしますよ、大尉」
そう言うと、鎧衣は部屋から退出してまた何処かへと消え去って行った。
「明日、か……」
鎧衣との打ち合わせが終わり、大和は基地内を特に行くあてもなく、ただ歩いていた。
「そなた、少しよろしいですか?」
「……え?」
突如、背後から声をかけられたので大和は反射的に後ろを向くとそこには
「(青……ということは五摂家の人か。だが、どうしてこんなところに?)」
大和は軍服の色を見た瞬間、反射的に敬礼をする。そうすると向こうも同じく敬礼をした。
「私は帝国斯衛軍斯衛第3大隊指揮官 崇宰恭子大尉です。そなたが京都防衛戦の時に唯依を助けてくれた煌月大尉ですか?」
「ハッ、自分が煌月大和大尉です。(崇宰恭子と言ったら五摂家の1つである崇宰家の当主じゃないか)」
「
「あ、はい。では、ご同行さしていただきます」
そう言った恭子に大和は付き従うと、指揮官クラスの者に与えられる執務室のような部屋へと案内された。
2人は互いに椅子に座ると大和が恭子に質問する。
「あの、先程のことなのですが崇宰様と唯依は知り合いか何かなのでしょうか?」
「そうですね、唯依からみて私は従妹叔母にあたる立場の者です」
「!(つまり2人は血縁者という訳か)」
少しだけ驚いた大和はそのまま恭子の話を聞く。
「京都防衛戦の際、私は孤立した学徒衛士達を助けに回っていたのですが、窮地に立たされた唯依を助けることができませんでした。ですが、煌月大尉によって唯依を助けてもらいありがとうございます」
そう言って恭子は頭を下げる。
「頭を上げてください、崇宰様。同じ隊の仲間を助けるのは当然のことですから!」
五摂家の崇宰家当主であろう人物が特殊な存在とはいえ、立場的には一般衛士と変わらない者に頭を下げることなど他の兵士にこのような場面を見られたら大騒ぎどころだけではすまないだろう。
「ところで大尉。そなたは唯依と同じ訓練学校の同期であったそうですね」
「はい。篁中尉とは共に帝国を守るための勉学に励みました」
「あの子は時々、頑張りすぎるところがあるから大尉がよく見ていて下さいね?」
「え?あ、はい。全力を尽くします」
どういう意味だ?と困惑するが、崇宰家当主からの頼みともあれば断るわけにもいかない。
「では
「ハッ!では失礼しました!」
大和はそう言って部屋から退出する。そして指揮官用部屋には恭子だけになった。
「(ふふ、あの子が大尉に惚れたのが少しだけ分かったかもしれないわね)」
そう思った恭子の表情はまるで妹のことを思う姉のような表情をしていた。
ー同基地 第二格納庫ー
恭子との対話を終えると大和はこの
しかし、大和の目には今朝、上総によって届けられた端末に映し出された機体に夢中だった。
「ついに完成したのか」
RX-160S
RX-160S
『大空を掌握する機体』という設計思想の元に開発され、組み上げられた2機の機体は現在、山城家に一時的に預けており受領する日はそう遠くないはずだ。
この2機が配備されることになれば重力下での高い機動力を活かして上空からのBETA殲滅や
「しかし……」
大和が顔を上げると、ジムスナイパーⅡの横にある機体が目に映る。
その機体は後に世界最強の近接戦闘能力を誇る戦術機と言われ、現段階ではまだプロトタイプの量産試作機だがそれでも圧倒的な戦闘力を発揮する武神が次の
「あれが……武御雷」
その戦術機『武御雷』は青のR型を始め、赤と黄のF型に白のA型・黒のC型を含めて合計5種類の武御雷が勢揃いしていた。
「(写真だけでしか見たことがなかったけど、やはり良い機体だ)」
私見的な感想を述べた大和は青のR型から黒のC型までの武御雷を一通り見おえると、明日の会談に使う資料を作成するために自室へと戻るのであった。
本作品『MuvーLuv MUSHAの名を持つガンダム』をご覧になられているお気に入り登録されて下さった524名とその他の方々の皆さん、作者のアドベンチャーです。
えー、誠に恐縮ですが本時刻をもって本作品の連載を終了とさせていただきます。
事情説明をいたしますと、2018年の今年に入ってから作者の家庭の事情により4ヶ月ぐらい更新出来なかったのと、作者自身で本作品を読み返してみると余りにも機体数が多過ぎた為に今後のシナリオを書くのが難しくなってきたので、この作品を