風来クロスワールド   作:八石マムミラー

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第3話 ナタネ村へようこそ

ねりねは森を抜け、小さな谷に来ていた。

小さな谷はナタネ村に行く途中にある谷。小さな谷を通ればナタネ村まではあと少しである。

ナタネ村はいくつかの伝説がある村で、ある子供が鬼から村を救ったと言う噂もあるぐらいである。

 

小さな谷は数十分でねりねは抜けた。本当に小さな谷で生息している魔物も少なめ、いたとしてもマムルとチンタラぐらいである。

ねりねは小さな谷を抜けて、山道を少し進んでゆくと村が見えた。

 

そこはナタネ村。かつて鬼によって襲われていた村であり、まだ幼かった頃のシレンと呼ばれる風来人の少年が救った村。

 

「まずは・・・むみゅうのうどんを食べるっ!」

 

ねりねは村を進んでいき、むみゅうと呼ばれるうどん屋へと足を進めた。

 

「むみゅううどん一杯ください!」

 

「あいよ」

 

うどん屋のお婆ちゃんは快く迎えてくれた。

そして、うどんがきた。

 

「特別に油揚げを加えておきました。値段は普通のすうどんの値段でいいです」

 

「ありがとうございます」

 

ねりねは一礼をし、うどんを美味しく召し上がった。

むみゅううどんはマムルの尻尾で弾力を上げたうどんとマムルの尻尾で出汁をとったスープのうどん。

マムルの尻尾で取れた出汁は極上の味をしていてとっても美味しいのだ。

 

こうしていると、ねりねは客の中に鬼が何人か混じっているのに気がついた。

 

「お、鬼がいます、大丈夫ですか」

 

「あはは、鬼さんも立派な客だよ。ナタネ村はシレンさんが救った後、鬼と共存の道を歩むことにしたんだ。鬼と人のハーフも何人か生まれているらしいしねー」

 

「そ、そうですかー」

 

ねりねは驚いた。鬼と人間が共存しているなんて、そして鬼と人間の子が出来るなんて。

 

 

とねりねはうどんを食べていると、大きな警報が鳴り響いた。

 

その内容とは・・・・もののけ王国にいたモンスターの一部が逃げ出したと言う話だ。

柵がいくつか壊されている。

逃げ出したモンスターはギガヘッド、岩獣ガガン、ウルロイド、プチフェニックス、ンドゥバみそじの5体。特にギガヘッドは元大金持ちの男と言う人間だった上に鉄檻に閉じ込められるという最悪な状態だった。

そのため、檻から脱出できるチャンスは活かそうと思い、逃げ出した。

 

「誰か、逃げ出したモンスターを捕まえてくれませんか?」

 

その男はムチゴロウ、このもののけ王国のオーナーだ。弱そうで情け無い顔をしているのだが、理想は大きく、もののけ王国を全国に広げ、有名にするのが夢である。

ナタネ村でモンスター達を再び捕まえてくれる風来人を何人か募集していた。

 

「私、参加していいかな」

 

この少女は柊つかさ。楽園の酢的な巫女と言う通り名を持つ風来人。やや黒い一面を持つ存在でもある。

ライトパープル色のショートヘアに黄色いリボンつきのカチューシャをつけている。

 

「はい。お願いします」

 

「あたしも参加するねっ!」

 

その女の子はメイ。腰のあたりまでのロングヘアーをポニーテールにしている幼女。武器は剣のようだ。

 

「モンスターが逃げ出したのね~、いいわよ。捕まえてあげるわね!」

 

その女性は白い帽子を被っており、金髪のストレートロングの髪をしている。

 

「私も参加させてください!」

 

ねりねはそう言った。ムチゴロウはそのねりねを含めた4人をモンスター再び捕まえるクエストに雇った。

 

「このモンスターの壷で捕まえてください」

 

モンスターの壷。この世界にある壷の一種。モンスターの壷をぶつけられたモンスターはその壷に閉じ込められ、自由に出し入れが出来る。

そして、一緒に戦ってくれる。モンスターが仲間になるのだ。

 

「あと、倉庫に三銀回飯槍が1本ありました。その武器を使う人いますかー?」

 

「私、使いませんっ!」

 

「あたし、いらないよー」

 

「私は使いません」

 

「いえいえ、いりません」

 

三銀回飯槍はナタネ村に伝わる伝説の槍。前三方向と正面2マスを攻撃でき、壁の中にいる敵も貫き、与えたダメージの一部を回復でき、おにぎりも得られる強力な槍。

投げても遠投状態にならず、5つの能力は全て武器の特徴。基本攻撃力30、プラス限界99、印数こそは少ないがマゼルンと白紙の巻物でフォローすれば16個になる。会の印なり、種族特攻なりを入れれば最強の武器となる。だが、大人の男じゃないと重くて両手持ちになるのが痛い。

 

しかし、4人の風来人はみな、そのヤリをいらなかった。一人ひとり独自の戦い方があり、いまさらヤリは必要ないのだ。

それに伝説の槍をやすやす受け取るわけにもいかないのであった。

 

ムチゴロウとの会話に割ってきた存在がいた。スカルソルジャー、炎黒魔人、槍兵イソギン、キングナイトが襲ってきた。

 

そいつらはムチゴロウの声を盗み聴きしていたモンスター達であった。

スカルソルジャーは骨の戦士。大回転攻撃で自分の周囲にいる敵味方問わずを攻撃する。

炎黒魔人はタウロスよりもごつくて身長の高いモンスター。その戦闘能力もかなり高いと思われる。

槍兵イソギンはイソギンチャクのモンスター、攻撃力が高く、攻撃に毒があり、相手を麻痺させてしまう。

キングナイトは銀の矢を放つ能力を持つ恐ろしい騎士風のモンスターだ。また、直接攻撃系の受けたダメージ分跳ね返す能力を持つ。

 

「つかさいっきますー! フレイムタワーッ!」

 

柊つかさは炎を呼び出し、その炎は塔のような高さとなった。

体力の少ない槍兵イソギンを一撃で倒したが、炎黒魔人の勢いが増した。炎黒魔人は炎攻撃が効かないのだ。

 

「愚かなりね~」

 

金髪ロングの女性はそう呟いた。その数秒後、空間から現れた氷のクナイや光の玉が炎黒魔人を貫いた。

炎黒魔人は一撃で崩れ落ちた。

 

「シャドウ・ブラストッッ!」

 

キングナイトのいる位置に薄紫色の爆発が起きた。キングナイトはその一瞬の出来事が全くわからずに一撃で倒れ去った。

 

「あたしもいっくよー! 十文字斬りッ!」

 

メイはスカルソルジャーへ向かって十文字斬りを放った。十文字斬りは十字架に相手を切り裂く技。十字はゴースト系のダメージに特攻なので大ダメージをあたえられる。

スカルソルジャーは一撃で力尽きた。

 

「あ、危なかった。あんな知らないモンスターがいるなんて!」

 

「ムチゴロウさんも知らないんですか?」

 

「はい。初めて見ました。とても恐ろしいモンスターです。もしかしたらもののけ王国の檻や柵を壊したのもあのモンスターだったりして・・・」

 

という訳で続く




今回からナタネ村編がスタートします。
ナタネ村編の敵はそう、強い敵がいないので主人公が超強い状況になります。

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