立花響の中の人   作:数多 命

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いつぞやぼやいたイラストの件ですが、なんとご本人様からメッセージをいただきました。
何というか、もう、お話しできて光栄でした(((;°Д°)))
改めてありがとうございます。
おかげで頑張れそうです・・・・!

書いてくださった方も含め、閲覧、評価、お気に入り登録してくださっている皆さま。
大変ありがとうございます。
やる気の素でございます・・・・!


46ページ目

夜天の空を、虹霓が衝く。

突如として顕現した七色を見上げ、人々は不安や困惑、動揺を露にしていた。

しかし、それは何も知らぬ者達の反応。

現場に駆けつけた友里を始めとした訳知り達は、固唾を呑んで見守っていた。

 

「――――響」

 

もちろん、未来もその一人。

自然と口をついて出た名前に、我に返る。

ああ、多分気づいているからだ。

この場違いな虹を解き放ったのが、愛しくてたまらない人だということに。

いつも扱う魔法のように、鼻歌交じりにやっているのではない。

己の内で荒れ狂う衝動に抗いながら、苦しみに耐えながら体を動かしていることだろう。

根拠は無い、確証もない。

ただそうであろうというのは、何故だが容易に想像できた。

 

「・・・・ッ」

 

これで終わる気がしない。

響はこれから、新しい戦いに身を投じるのだろう。

そうなればまた、春先のように大怪我を負う可能性が出てくる。

いや、響の強さを信じているし、信じたい。

それに、翼やクリスにくわえ、最近は遥やティアナといった頼れる大人達も居てくれるのだ。

自分の考えすぎだと思いたい。

なのに、胸に湧き出た不安を上手く拭うことができない。

 

「・・・・響」

 

指を組んで、目を閉じる。

溢れそうな涙を抑えるように、顔を伏せる。

そうして分かったのは、自分に出来ることの少なさだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

P月L日

疲れた。

もろもろの隠し事がが多分に含まれるから明言できないけど。

めっちゃ疲れた。

何か、こう。

頑張って作った料理がこげた挙句、同時進行で作っていた鍋料理が吹き零れたみたいな感じで、クライマックスが百連発過ぎて・・・・。

ぬわぁー、つかれたよー、みくー。

 

P.S.

未来に顔を埋めてみたら意外とフローラルな香りがした。

いいなぁと思うと同時に、自分の変態っぷりに戦慄。

わたしはもうダメかもしれない。

 

 

P月U日

昨日のゴタゴタを受けて、早速ミーティング。

その中で翼さんが気になることを言っていた。

曰く、『マリアさんの動きが、師匠、ないしわたしにそっくりだった』。

何か戦い方が良く似ていたらしい。

それって師匠がマリアさんも教えていたってことだろうか。

マリアさんわたしより年上だし、子どものころに会っていたって言うなら十分納得できる。

というか、否定する材料が少なすぎて困る(泣

本当にやってないだろうな、師匠・・・・。

 

 

P月R日

一昨日の騒ぎは管理局の耳にも届いたらしい。

早速助っ人を送ってくれると通達が来た。

師匠は来れないけど、代わりにティア姉が来るとか。

今回は人間メインに相手しそうだし、ティア姉スキーニングとか結構得意だから。

わたし達がノイズを引き受ければ意外といけるかも・・・・?

あー、ダメダメ。

師匠を始めとして『舐めプ』で痛い目にあった体験談はちょくちょく聞くし、油断大敵!

一見笑い話のように見えて、結構笑えない内容なのが多々あったからなぁ。

頭にドリルが直撃して一月昏睡とか、割りと笑えないっすよ師匠・・・・。

 

P.S.

とか思っていたけど、わたしもわたしで笑えないことを笑い話にしていて戦慄。

師匠達の規格外が感染している・・・・!

 

 

P月Y日

ゴタゴタが起ころうと起こるまいと、時間は進むものなのですよ・・・・。

気づけば『秋桜祭』まで一週間を切っていた。

モザイクアートもほぼほぼ完成しているし、あとは教室を飾り立てるだけ!

うちのクラスは余裕が出来そうなので、もろもろの準備が終わり次第他のクラスを手伝いに行く予定だ。

うーむむ、経験的に二度目の文化祭なのだし、大いに楽しみたいところだけど。

なんだかなぁ、ひと悶着ありそうな予感がビシバシするんだよなぁ・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

時空管理局本局、第07執務隊執務室。

地球にて新たな聖遺物(ロストロギア)絡みの騒動が発生し、すぐにこちらの人員を手配した。

とはいっても行くのはティアナ一人だが、彼女はいわゆる『先遣隊』。

他のメンバーも手が開き次第、随時向こうに渡る予定である。

 

「・・・・ふぅむ」

 

デスクワークの中、遥は二課から送られてきた資料を見ていた。

曰く、『主犯達の戦い方が遥に似ている、覚えは無いか』。

映像の中、翼と衝突するマリアを見ていた遥は、一人納得する。

確かに、似ていると。

遥自身は、マリアはもちろんのこと、後から合流してきた少女達にも覚えは無い。

覚えは無いが、心当たりならあった。

 

「『連れ』、ねぇ・・・・なるほど、あいつが肩入れするわけだ」

 

雄叫びを上げ、マントと従手だけで翼と拮抗してみせるマリア。

 

「・・・・本当に、()()()()()()

 

感慨深く呟いた言葉には、不思議と色々な意味が込められているように聞こえた。

なんにせよ別件が重なってしまった遥は、今回参加出来ない。

何も思わないといえば嘘になるが、他はともかく弟子達の実力は信じている。

精々どっしり構えて、吉報を待つことにしようと結論付けた。

 

「んんー・・・・!」

 

伸びを一つ。

一心地ついたところで、そういえばと思い出す。

向こうに派遣することに決めた人員の一人に、実は地球出身者がいた。

現在はこれまた別件を捜査しているため、この場にはいないが。

よくよく考えると、彼女もまた『似ている』気がする。

どうなることやらと案じる反面、面白くなりそうだとほくそ笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、この数日後。

件の彼女が、第07執務隊名物の『やらかし』をやらかし。

後始末に追われることになるのだが。

ここでは語るまい。




遥「だから地雷を踏むなとあれほど・・・・」
容疑者「反省してるっす」ガタガタ

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