ゼロの悪夢   作:BroBro

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続いちゃったんDA☆
いやぁ、ストーリー構成とか全く考えて無かった事と私の文章力の無さのせいで酷いもんです。てことで、続きでございます。


〜1章〜ゼロに仕える悪夢
状況説明


 

暗い闇の中、地が悲鳴を上げる様に小さく震える。空気が怒号に呼応する様に大きく共振を伝える。

 

目の前には何千もの軍勢。人間の魔術師や足軽共の波が、こちらに向かって進軍してくる。

 

自分の背後以外、見えるものは敵のみ。退路は確保してある。しかし、その道を進む気は無い。今の私に、撤退の文字は無い。

 

 

(数千、悪くはない数だ)

 

 

向かってくる人間達をこの先に進ませない為に、私は両の手を大きく上げ、中心に闇の力を集める。

 

距離にして約500メイル。人間達が持つ光は徐々に大きく、数を増やしていく。

 

 

「いくら相棒でも死ぬかもしれない。いくら虚無の力を駆使しても殺られちまうかもしれない。それでも、相棒があの中に飛び込むのなら、俺も最後まで付き合うぜ!」

 

 

私の力で宙に浮かせて劔がカタカタと鳴く。コレにもなかなか世話になった。最後まで付き合ってくれると言うのなら、甘えさせてもらう事にしよう。

 

生み出すはダークホール。それは勝利の闇。我が主と我が友の為に、ここで私の力の全てを使おう。

 

 

 

 

 

闇に堕ちろ。悪夢に嘆け。私と、我が主の名を、その小さな頭に刻むがいい。

 

 

 

 

「ゼロのルイズの使い魔、名はダークライ。座して……参らせてもらおう」

 

 

 

 

"マスターが嫌う全ての光は、私が全て飲み込もう"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トリステインの保健室と呼ばれた一室のベッドにて、一際異質な存在が目を覚ました。真っ黒な体にかけられた真っ白なシーツを自身の体から離し、周りを確認するようにキョロキョロと見回す。なにか嫌な夢を見た気がするが、彼にとっては日常茶飯事の為気にしない。

 

そんな彼、ダークライが目を覚ましたのはサモンサーヴァントが終わってから約4時間後である。既に夕刻を回っており、窓の外の景色がオレンジ色に染まっていた。普通に生活している人間ならば、そろそろ食事の為に動いている時刻である。

 

 

(……ココハ何処ダ……?)

 

 

場所の特定。周りの景色を見たダークライが最初にすべき事として頭に浮かんだのがこれだった。

 

どこからどう見ても、ダークライが元いた街ではない。窓の外には数100m程草原が広がっており、その先には木々が生い茂っているのが確認できる。ダークライがいた街は周りが崖によって切り離されており、草原なんてある訳がない。

 

全く別の場所だと断定したダークライは次の疑問に思考を巡らそうとする。

 

 

「あ!起きてた!?」

 

 

ガラガラと開け放たれた扉の外に立っていた桃色の髪の少女が大声を上げ、ダークライの思考を乱した。

 

人間がいる安堵感と五月蝿さによる小さな苛立ちに、ダークライは桃色の少女に抗議の目を向ける。

 

しかし少女はそんな事お構い無しと言わんばかりにダークライの元へと駆けていき、勢いそのまま語り始めた。

 

 

「全く、召喚された使い魔が気絶するなんて無様じゃないの!治療代だって馬鹿にならないのよ?コントラクトサーヴァントは何故かできないし……踏んだり蹴ったりよ!」

 

 

怒っている様だが、何故かその口元からは喜びが感じられる。畳み込まれた新たな情報の数々にダークライはさらに混乱するも、なんとか少女、ルイズに聞き返した。

 

 

「誰ダ?」

 

 

幾つもある疑問の中から一番わかり易く、一番最初に浮かんだ言葉をぶつけて見る。するとルイズはツチノコを発見したかの如く、とても驚いた表情を作った。

 

 

「あなた、喋れるの?」

 

「……質問ニ答エテクレナイカ?」

 

 

そこかい、とツッコミを入れたくなるのをダークライは何とか我慢した。

 

そんなダークライの言葉を聞いて更に驚いた顔になったルイズだが、律儀なものでちゃんダークライの質問に答えた。

 

 

「私はあなたを呼び出した者よ。つまり、御主人様ってわけ」

 

「シュジン?私ガオ前ニ仕エル身ニナッタト?」

 

「そうよ。言っておくけど、拒否権は無いからね。既にあなたの手には私の使い魔である証が刻まれているんだから」

 

 

チクッと、右手の甲に痛みが走った。見るとそこには焼印でつけられた様な模様が刻まれており、淡い光を放っている。今まで気付かなかった事に驚いたが、不思議と違和感を感じなかった。

 

そしてそれの存在を知るとともに、彼の心に一つの言葉が飛び込んできた。

 

 

『主を守れ』

 

 

それは指令であった。彼の心に直接伝える様に放たれた言葉は誰からのものでもなく、彼自身の頭が体に発した言葉だ。自然に出てきたその指令は、彼の中で疑心暗鬼になっていた『少女の使い魔』と言う現実を受け入れさせた。いや、させざるを得なかったと言うべきか。

 

何故、死の門を潜ろうとしていた自分が使い魔となり、何故未だ尚生き永らえているのかも分からない。しかし、既に決まってしまった事には抗いようもなく、受け入れるしかない。

 

ふうっと、ダークライは大きく溜め息を吐いた。

 

 

「あなた、名前は?」

 

「………?」

 

 

これからの事を考えようとしていたダークライに突如、少女からの質問が飛んだ。

 

 

「……私ニ人間ノ様ナ固有ノ名ハ無イ。アルノハ人間ガ付ケタ種族ヲ示ス名ノミ。ソレデイイノナラ、名乗ロウ」

 

「いいわよ。あなたが不愉快に思わない名なら、何でもね」

 

「……私ノ名ハダークライ。影ノ世界ノポケモンダ」

 

「ダークライ……ね、覚えたわ。それじゃあ、私も名乗りましょう。私の名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。あなたの主よ」

 

「……長い名ダ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、コレカラ世話ニナル」

 

「長いなら言いやすい呼び方でいいわよ」

 

「……心遣イ感謝スル。マスター」

 

「マスター……なんかこそばゆいけど、あなたが呼びやすいならそれでいいわ。宜しくね、ダークライ」

 

「……コレカラヨロシク頼ム、マスター」

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、ルイズと共にルイズの自室に入ったダークライは、詳しい事情を全て聞くことに成功した。

 

まず何故ダークライが召喚されたのか。

それはルイズ自身は使い魔を選ぶ事が出来なく、召喚されるまで何が出てくるか分からないらしい。それでもルイズはダークライが出てきた事に満足しているらしく、ダークライの事を嬉嬉として受け入れている様だ。

 

 

次にこの場所。

どうやらここには『ポケモン』と言う単語が存在しないらしく、代わりに魔物だのドラゴンだのが存在する。どうやら世界が違うようだ。どうやら魔物と言うのは外見はポケモンの様なものらしいので、自分は別世界の住人らしいと言う事をダークライは語らなかった。ルイズも、ダークライとの関係性を壊したくない為深くは追求しなかった。

 

そして次にダークライの存在意義の明確化。

これは大体雑用の様なものであり、主人が要求する物を探したり、主人の危険を退く、又は消し去ったりするのが使い魔の主な仕事である。これでも、ダークライは自分の力にはそれなりに自信がある。時を司るポケモンと空間を司るポケモンの攻撃に耐える事もしたし、2匹同時に吹き飛ばしたりした。それ程の実力の持ち主である。

 

伝説のポケモンを吹き飛ばす者を召喚したと言う事実は、多くを語らないダークライの手によって闇に隠された。

 

 

「----というわけ。分かった?」

 

「……主ガ求メル物ヲ運ブト言ウノハ少々難シイ。私ハココノ地形モ知ラ無ケレバ、散策ニ適シタ能力ヲ持ッテイル訳デモ無イ。余リ期待ハシナイデ貰イタイ」

 

「うぅん……なら何か得意な事は無いの?」

 

「主ヲ守ル事ハ出来ル。ソレナリニ自信ハアルツモリダ」

 

「戦闘経験はそれなりにあるのね。なによ、頼もしいじゃない!」

 

 

ルイズがベッドの上でガッツポーズをとり、ギシッとスプリングがきしんだ。

 

現状、戦闘しか出来ないと言っているダークライに対してルイズはとても満足している。見た目もなかなかカッコイイし、声もなかなかイケている。影に入り込むことも出来る。ほかの事は出来ない様だが、これから教えて行けば良いだろう。

 

ゼロと呼ばれた少女の脳に、これから起こるであろう復活劇が次々と映し出された。

 

 

(自分ノ世界ニ入ッタカ?)

 

 

急に喋らなくなり、後方に花のエフェクトが似合いそうな顔をしている主をジト目で見つめるダークライ。遠目から見れば、とても不思議な光景である。美女と野獣ならぬ、美女と夜獣か。

 

肩をつついてみる。すると我に返った少女は、何かを思い出したかのようにダークライに目を向けた。

 

 

「ああ、あなたの言葉が何か違和感があるから、明日図書館に行きなさい。それと、明日の朝は洗濯物洗いに行ってね」

 

「ソノ洗濯物ハ何処ニアル?」

 

「これから着替えるから、それを洗いに行って。外の広場に洗濯場があるから、そこにいるメイドに詳しい話は聞いてね」

 

「了解シタ。図書館ト言ウ場所ハ?」

 

「明日の朝案内するわ。朝食を食べた後に行くから、ついてきなさい」

 

「分カッタ」

 

「よし、いい子ね」

 

 

ニコっと笑顔を作る。何処か、その笑顔がダークライの記憶に深く根付いている少女の顔に似ている様な気がした。

 

 

(……ドウヤラ、コノ少女ヲ主ト認メタ理由ハ、戻ル事ヲ諦メタト言ウ理由ダケデハ無イ様ダナ……)

 

 

目の前の少女を放って置けない、と言う気持ちが知らない内に彼の中に生まれていた。

 

闇を支配するポケモンは、少女の瞳に小さいながらも闇を見た。それが妙に脳裏に残り、彼をこの世界に引き止めている。それを彼自身が実感するのは、随分とあとの事になる。

 

 

 

 

 

「それじゃあ、私は着替えて寝るわ」

 

 

バッと急に立ち上がるルイズ。その行動と言動に、ダークライの思考は中断される。

 

 

「分カッタ」

 

 

一先ず簡単に答えて、ダークライは服を脱ぎ始めたルイズの行動を見守った。

 

 

「フム……妙ダナ……私ノ認識ガオカシイカ……」

 

 

シャツも無くなったルイズの体を見て、ダークライがボソッと呟いた。その声が聞こえたルイズは、その言葉の意味も問う。

 

帰ってきた答えが、自らを苦しめる答えになるとも知らずに。

 

 

「人間ノ女性ノ胸部ハ男ヨリモ肥大化シテイルト聞イテイタノダガ、ドウヤラ私ノ認識ガ間違ッテイタ様ダ」

 

 

つまり、『普通の女の胸は膨らんでいるが、お前は小さいんだな』と言っているのである。

 

 

刹那、薬缶の様に顔を赤くしたルイズの劈く様な悲鳴が響き、ダークライに向けて部屋に散らばる本の数々を投げた。

 

 

 

 

こうして、ゼロと呼ばれたルイズと、ダークライの初めての一日が騒がしくも終りを告げた。

 

 

 

 

因みに、この状態のルイズを危険と判断したダークライはダークホールを使いルイズを強制的に眠らせ、悪気は無かったダークライ自身は、自分の失態を再確認した。

 

 

 




後書きポケモン図鑑

『ディアルガ』 じかんポケモン
タイプ:はがね/ドラゴン
高さ:5.4m
重さ:683.0kg
とくせい:プレッシャー/テレパシー(夢特性)

『図鑑説明』
時間を操る力を持つ。負傷したパルキアを追ってダークライがいる街へとやって来た伝説のポケモン。人間程度なら何人でも過去や未来に飛ばす事が可能(フルパワー時のみ)。ダークライの住む街を崩壊させた殆どの要因はディアルガの龍星群であるにも関わらず、パルキアがサトシに罵声を浴びせられた。ある意味、逃げ上手なポケモンである。

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