草木が鬱蒼と茂るジャングル、野生動物の鳴き声とともに大地を軋ませるキャタピラの音が響く。
『黒騎士1より黒騎士2へ、異常はないか』
『こちら黒騎士2、現在のところ異常なし』
『了解、警戒を怠るな、何か見つけたらすぐに報告しろ』
ティーガーⅡ1両とパンター戦車2両そして20人ほどの歩兵で編成された偵察部隊がジャングルの道なき道を進んでいた。
フィリピンへ派遣された懲罰部隊『黒騎士』は到着するなり早速、敵補給基地の偵察を任じられたのだ。
目立たないよう慎重に進んでいくうちに敵の補給基地まであと数キロというところまでたどり着いた。周囲にはジャングルや荒れ果てた道路、沼地や草原が広がっている。
ティーガーⅡに乗車している部隊指揮官のバウアーは地図を開いた。
「敵の補給基地まであと3、4キロだ。敵とは目の鼻の先だ、遭遇及び戦闘は避けたい。それにここから先は沼地や泥道が多い、戦車での進撃は難しいだろう」
バウアーは戦車の周囲で警戒をしている歩兵たちを見た。
ここから先は歩兵の斥候を送り出すのがいいだろう。
目立たないし、どんな場所も踏破できる。
もちろん相手は深海棲艦だ。万一戦闘になった場合、歩兵の装備では心許無いが、しかし任務はあくまで偵察であって戦闘ではない。その時は彼らを支援しながら離脱すれば良い。
バウアーは斥候部隊の編成と戦車の偽装を指示した。
「うう・・・暑い」
「しっ、文句言うな気づかれるぞ」
ジャングルの中を、斥候を命じられたフェーゲラインと青葉が進んでいた。
彼らはいつもの将校用の制服やセーラー服ではなく迷彩を施した野戦服に身を包んでいた。フェーゲラインは背中にStG44とパンツァーファウストを、青葉は背中に20.3㎝連装砲を背負いながらジャングルの中を進んでいた。
フェーゲラインが生い茂る蔦や葉を鉈をふるって切り落としていく。
怪我をしないためと、装備や服と擦れあって音をたてないようにするためだ。
「・・・それにしても本当にこの道で合ってるんですかね?」
「一応地図とコンパスに従って進んではいるが・・・こう草木だらけだとなぁ」
周囲には草木が鬱蒼と茂っており目印になりそうなものはあまりない。
道なき道を進むのに頼れるものはコンパスと支給された地図だけだ。
「フェーゲさん、早いところ任務を終わらせて帰りましょうよ・・・」
「どうしたいつもの記者魂はどこ行った?お前らしくないぞ・・・ん?」
ある程度進んだところでフェーゲラインが何かに気付いた。青葉も何か察したらしい。
「あれは・・・」
草木の中に隠れながら見てみると目の前にはジャングルには似つかわしくない人工物が広がっていた。
アスファルトで舗装された道路に大量のドラム缶や木箱。
その近くでは深海棲艦達がせわしなく動いていた。
「ここが例の中継基地か・・・」
見たところいくつかの簡易の建物と補給物資等が並んでいるだけで規模は大きくない。
現在作戦行動に展開している懲罰部隊だけで十分対処できるだろう。
問題はそれ以外だった。
それ以外のものがフェーゲラインの関心を集めていた。
「・・・なぜここにソ連軍の兵士と装備が・・・?」
せわしなく動く深海棲艦に交じって鎌とハンマーのマーク付きの赤い星のついた略帽の兵士が木箱を運んでいる。その向こうにはモシン・ナガンやPPSh-41等で武装した兵士達が立って監視している。明らかにソ連兵と見受けられる格好だった。
木箱やドラム缶の隣には傾斜装甲が特徴的なソ連軍のT34やトラックがいくつか並んでいる。
明らかにソ連軍と思しき連中が深海棲艦に交じって活動していた。
「・・・見たか?あの戦車?」
「・・・ええ。どう見てもソ連軍ですね」
なぜここにソ連軍がいるのだろう。
もしやソ連軍も自分たちと同じように蘇ったのか。しかしならば彼らは深海棲艦とともに活動しているのか?それとも深海棲艦がソ連兵をいいように扱っているのかはたまたその逆か。
フェーゲラインは頭を振った。
ここでそんなことを考えても仕方ない。答えは出ないのだから。
まずは戻ってバウアー大尉に報告することが先だ。
「青葉、写真は?」
「言われなくてもばっちりです。もう撮っておきました」
「仕事が速いな。お前らしい・・・早く戻って報告しよう」
フェーゲラインはそう言って振り返ると。
「кто(誰だ)?」
今まさに用を足そうと木陰に向けてズボンを下ろそうとしていた歩哨らしきソ連兵がサブマシンガンを構えてフェーゲラインと青葉二人を見ていた。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「「「ああああああああああああ!?」」」
見つかった。
敵に見つかってしまった。
二人がそう理解すると同時に。
ズダダダダダダダ!とジャングル中に響き渡った。
中継基地から数キロ離れた場所でティーガーⅡに乗車しながらバウアーは中継基地から煙が上がり砲声や爆発音が響くのを確認していた。
「クソ、見つかったか」
バウアーはそう舌打ちすると部下のクルツにここからどれくらいかかるか問う。
「クルツ、ここからあの中継基地までどれくらいかかる?」
「全速力でいけば10分以下で」
バウアーは現在いる戦力を確認した。
ティーガーⅡが1両にパンターが2両。歩兵が30人ほど。
斥候2人を救出するのには足りなくはない。
そして部下を見捨てないのがバウアーの信念だった。
「よし、待ってろよ・・・お前たちを必ず祖国に連れ戻してやる。パンツァー、フォー!!」
南のジャングルに、ティーガーのエンジン音とキャタピラの音が力強く響いた。
クレープス「・・・そういえば思ったのですが」
ヒトラー「なんだ?」
クレープス「最近我々の出番が少ないように思われます」
ブルクドルフ「確かに。第一総統閣下シリーズのはずなのにアホルフの奴全然怒ってないしな。ダサいし」
カイテル「読者の皆様も総統、何で怒らねえんだよ、とイラついてるはずです。総統閣下シリーズと銘打ってる以上ここらで何か一つ、ソウトウカッカしていただかねば・・・」
ヒトラー「でも何で怒ればいいんだ?」
フェーゲライン「総統が美大に落ちた話でww」
ヒトラー「KO☆RO☆SU」
フェーゲライン「はい死んだ!!」ズダダダダダダダピロリーン♪
ヒトラー「・・・というわけだ、そろそろ私もいい加減怒ろうと思う。何かいいネタが合ったらコメントしてくれ。では、おっぱいぷるーんぷるん!!」