総統が鎮守府に着任しました!   作:ジョニー一等陸佐

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61話 バルバロッサ作戦~懲罰部隊編成~

 9月、暑さがまだ続き夏の終わりがなかなか見えない頃ゲルマニア鎮守府の総統執務室では総統アドルフ・ヒトラーとその他の参謀達が南方方面への大規模侵攻作戦に関する会議を行っていた。

 クレープスが地図や資料を指さしながらヒトラーに説明する。

 「総統閣下、既に秘書艦からの報告でご存知かと思われますが大本営は今秋10月ごろに南方方面、深海棲艦の拠点への大規模侵攻作戦を決定しました。大本営は海上戦力が豊富な我が鎮守府に対しその先陣を切るよう命令しました」

 大規模侵攻作戦。

 かねてより太平洋における深海棲艦の巣窟である南方海域への反攻作戦は計画されてきたが、ついにそれが実行される時が来るのだ。

 クレープスの説明は続く。

 「作戦は三段階に分かれています。第一段階はフィリピン、ミンダナオ島を強襲、制圧。同時にインドネシア、スマトラ島より東方海域へ侵攻を開始します。第二段階はジャワ海、パンダ海を制圧、シーレーンと石油等の資源を確保。同時にオーストラリア方面からも進撃し敵に二正面作戦を強います。そして第三段階でニューギニア島を制圧、南方海域を完全に掌握します」

 クレープスの説明が一段落した。

 ヒトラーが口を開いた。

 「この作戦が成功すれば人類の深海棲艦に対する勝利は更に確実なものになるだろう。だが失敗すれば我々は戦力を大きく失い窮地に立たされることになる。何しろ大規模な侵攻作戦だ、大規模な兵力を動員するからな。準備はもちろん万端だろうな?」

 カイテルが頷いた。

 「総統閣下、艦娘に対する訓練は万端ですし資源に関してもここ最近節約と積極的な遠征が功を奏して大変な量が貯まりました。伊58が有給をくれと発狂寸前になりながら言っておりましたよ。武装親衛隊や最後の大隊といった陸上戦力も整備されつつあります。あとは総統のご命令さえあればいつでも」

 ヒトラーが頷いた。

 「そうか・・・ゴーヤにはあとでみっちり休みを与えるとして、今回の作戦は大規模な侵攻作戦であるだけでスピードが肝心だ。敵に反撃の隙を与えてはならぬ。今回の作戦、特に初期段階においては君達の采配が重要になるぞ、グデーリアン、マンシュタイン」

 ヒトラーが目線を向けた先には短躯で口ひげをはやした男と、対照的に長身でモノクルを付けた男が立っていた。

 電撃戦の生みの親のハインツ・グデーリアンとドイツ軍最高の頭脳と呼ばれたエーリヒ・フォン・マンシュタインである。

 「君達には戦車部隊と機動部隊の指揮を任せてある。貴重な戦力だ、決して無駄にしてはならぬ」

 「総統閣下、戦車の運用と電撃戦ならおまかせください。ドイツ軍人の誇りにかけて必ずや任務を完遂いたします」

 「右に同じ」

 グデーリアンとマンシュタインは頷いた。

 ヒトラーが向き直る。

 「・・・さて。侵攻作戦の決行とその詳細が決定されたわけだが・・・前にも言ったと思うが事前に小規模な部隊を送って斥候や支援及びその他の任務を行わせる。ブルクドルフ、例の任務部隊は編制済みであろうな?」

 ブルクドルフが頷いた。

 「はっ。すでに例の懲罰部隊は編制済みです」

 「では作戦の決行に先立って9月中に部隊をミンダナオ島に派遣することとする。作戦目的は斥候、及び上陸部隊の支援だ。部隊を集めて訓示を行うように」

 こうして大規模侵攻作戦「バルバロッサ」とそれに先立つ懲罰部隊の編成・派遣が決定された。

 

 

 

 

 「・・・なあ。いきなり外に連れ出されたが、いったい何が始まるんだ?」

 「・・・さあ。俺に聞かれても・・・おいゲーリングしっかりしろ」

 「ああ~シンナーのにおい最高~」

 つい先ほどまで牢屋に入れられていたゲーリング、ヒムラー、ヘスの三人は牢屋内で必死で同人誌を作っていた最中突然外に連れ出され今グラウンドに連れて行かれている途中だった。

 「・・・まさか・・・処刑?」

 「やめてくれ縁起でもない・・・あり得ない話ではないが」

 ヒムラーの言葉にヘスが顔をしかめる。

 看守に連れられ外に出るとそこにはかなり大勢の兵士や少数の艦娘がいた。一個中隊あるいは一個大隊ほどいるだろうか?

 「・・・あれ?あいつもしかして・・・」

 ヒムラーは群衆の中に見慣れた人間を見つけた。

 「・・・おい!そこの君!君はもしやヘルマン・フェーゲラインではないか?」

 フェーゲラインと呼ばれた男はヒムラーに呼ばれたこちらを振り向いた。

 「長官!ヒムラー長官ではありませんか!」

 フェーゲラインと呼ばれた男は二人の艦娘を連れてヒムラーたちのもとへやってきた。

 「ヒムラー長官、牢屋につながれていたはずでは?なぜここに?」

 「・・・いや・・・突然呼び出されてな・・・ずいぶんな数の人間が集められているようだがこれは一体?」

 「さあ・・・私達も突然呼び出されたもので」

 突然グラウンド内に銃声が響いた。

 ヒムラーたちが驚いて銃声のしたほうを見るとそこには武装親衛隊の戦車搭乗員の制服を着、右目に眼帯を付けた男が立っていた。

 「貴様ら、おしゃべりはそこまでだ!おい、そこの看守、俺の兵士に触るんじゃない、さっさと立ち去れ!!銃殺するぞ!」

 眼帯の男は台の上に立ちながら兵士たちに列に並ぶよう指示し、看守には立ち去るよう指示する。

 「諸君、私は国防軍大尉エルンスト・フォン・バウアーというものだ。本日編成されることになった懲罰部隊『黒騎士』の指揮を執ることになった。そして諸君らはこの懲罰部隊に編入されある大規模作戦に先立ち南方に送られることになった!私とともに祖国と人類のため、父母兄弟のために死ね!!犬死はさせん!!以上、訓示終わり!!詳しいことは追って伝える!!」

 ヒムラーとフェーゲラインは絶句した。

 「懲罰部隊・・・だと?」

 「あれだ・・・絶対青葉と裸で寝たのが原因だ・・・」

 こうしてヒムラーたちは懲罰部隊に編成され南方の島に送られることになった。 


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