総統が鎮守府に着任しました!   作:ジョニー一等陸佐

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6話 あなたは本物なの?~駆逐艦は素晴らしい~

 人間には朝型人間と夜型人間の2種類の人間がいる。

 そしてヒトラーは午後2時以前に起きることがめったになかったといわれている夜型人間だ。すなわち、夜は働いて昼は休む。

 そのため、重巡の青葉が午後3時ごろにこの鎮守府に来た時にはすでにヒトラーは就寝していた。

 「総統は夜型人間なんです」

 秘書艦の大淀は青葉に申し訳なさそうに言った。

 「新しく、遠いところをはるばる来てもらったのにすみません」

 「いいんですよ、むしろ提督に何を取材するか考える暇ができました」

 青葉は笑いながら答えた。すると、新たに、男性の声が聞こえてきた。

 「提督、ではなく総統とお呼びするように」

 声の主はゲッベルスだった。

 「君が新しくやってきた?」

 「青葉です!どうも、恐縮です!一言お願いします!」

 ゲッベルスは頷きながら「君は取材だかなんだが言っていたが、総統に用があるのなら私か彼女に言ってくれ。それと総統はいま眠っていらっしゃるから今は話しかけてはいけない」

 こうして青葉はヒトラーが午後9時に起きるまで待つことになった。

 ちなみにこのヒトラーの復活前と変わらない夜型の生活は深夜に会議をやる、夜だけでなく昼にも業務をやらねばならないなど、人手が多くなるまでしばらく側近を悩ませることになる。

 

 ヒトラーを目覚めた時、目に入ってきたのはポニーテルにセーラー服、キュロットを履いた少女だった。

 「ども、恐縮です、青葉です!一言お願いします!」

 「・・・君はいったい」

 青葉は持っていたマイクをヒトラーに向けた。

 「新しくここに来たんです。聞いていませんでしたか?」

 ヒトラーは大淀から今日、重巡の艦娘が一人別の鎮守府からやってくるといっていたのを思い出した。

 「その様子からすると、私に聞きたいことがあるようだね。お嬢さんの話を聞いてもいいが、その前にみんなに紹介をさせてほしい。みんなをここに集めてくれ」

 数分後、執務室に鎮守府の人間全員が集まった。メンツはこんな感じ。

 ヒトラー、ゲッベルス、大淀、青葉、摩耶、潮、叢雲。

 これが今の鎮守府の戦力だ。

 「彼女が新しく着任した重巡青葉だ。仲良くやってくれ」

 「よろしく」

 「よろしくお願いします」

 「あたしの先輩になるんだって?頼んだぜ!」

 「あの・・・よろしくお願いします」

 「何かあったら何でも聞きなさい」

 「ども、恐縮です!よろしくお願いします!」

 青葉は一人ひとりの顔を見て最後にあいさつした。

 「ところで」

 青葉はくるりと体を机に座っているヒトラーと隣で立っているゲッベルスに向けて「総統のお名前って、なんですか?」と聞いた。

 「アドルフ・ヒトラーだが。なにか?」

 「だから。本名ですよ。隣のゲッベルスさんも含めて、どっちも過去の人ですよね?ちゃんと別に本名があるんじゃないんすか?」

 「そうそう、アタシもそう思ってたんだよ。」

 ここに来た艦娘達にとってヒトラーとゲッベルスは(本物なのだが)過去の人物の名前を名乗って本名を隠している、と思っていた。もっと言えば服装や言動まで真似ている人物と思っていた。

 「なんで、そんなことしているんですか?」

 「なんか知られたらまずいことでもあんのか?」

 彼らは本物なのだが、未来の人間からすれば至極まっとうな意見だ。

 「何度も言うが」ヒトラーは口を開いた。

 「私の名前はアドルフ・ヒトラーだ。彼の名前はヨーゼフ・ゲッベルス。これは誰が何と言おうと変わらぬ事実だ。他ならぬ、私自身が私自身をアドルフ・ヒトラーという人間として認識しているし、彼もまた同じだ。だから、君たちも私のことをそう認識すればよいだけの話だ。アドルフ・ヒトラーはここに存在するし私がそう認識しているからだ。私のことは君たちよりも私がよく知っている。分かったかね?」

 「で、本名は?」

 「それが本名だからそういったのだ!」

 艦娘達はしばらく黙っていた。ていることがどういうわけか真実のように思えた。

 ヒトラーはヒトラーだった。

 「そういうことにしておきますよ」

 青葉は笑いながら「それで総統はこの鎮守府をどういう風にするつもりなんですか?具体的には?」

 「ここの鎮守府の現在の課題は艦娘が・・・つまり戦力が足りないことだ。艦娘は現在大淀を含め5人しかいないこの少ない戦力をどう増やしていくかが課題だ。私としては大火力の戦艦や重巡がほしいが・・・」

 「ちょっといいかしら」

 叢雲がヒトラーに言った。

 「大火力の艦娘がいいってアンタは言ってるけれど駆逐艦だって重要よ。遠征に夜戦、なんにだって使えるし錬度や装備次第では重巡や空母だって倒せられる。なめてもらっちゃ困るわね」

 彼女はもともとプライドの高い少女だ。駆逐艦としてのプライドが黙らなかったのであろう。

 ゲッベルスも賛同の言葉を口にした。

 「そうです、総統閣下。駆逐艦は防御力や火力の問題などもありますが汎用性が高く消費も小さい、小回りが利く。潜水艦相手にも戦える。使いこなせれば非常に強力で便利です」

 ヒトラーは頷いた。「確かに君の言うとうりだ。駆逐艦も重視すべきだ」

 ゲッベルスは続けていった。「ですが・・・駆逐艦の素晴らしさはそれだけではない」

 「?」

 突然ゲッベルスは声を張り上げた。

 

 「敵と戦う時の、幼いながらも凛々しい姿!ちらちら除く生足に白い肌!そして何よりも中破した時の服がはだけ体があらわになるのと胸元がかわいくてスケベェ」

 

 全員ずっこけた。

 ヒトラーは忠実な側近の暴走に当然突っ込みを入れた。

 「ゲッベルス君、君は一体何を言っているんだ!?」

 「変態!!」

 「///」

ドン引きされるゲッベルス。しかし彼は続ける。

 「しかし総統、これは事実です!駆逐艦はかわいいでしょう!!」

 「まぁ、確かにそうだがここまでくると、犯罪じゃないか!そういうの世間じゃロリコンというんだぞ!!分かってるのか!?」

 「あれは10日くらい前のことです・・・」

 

 ~ゲッベルスの回想~

 ゲッベルスは着任早々工廠を見て回っていた。

 どれも見たことのない興味深いものばかりで彼の興味を引いた。

 すると、目の前にドアがあり『入渠室』『関係者以外立ち入り禁止』と札があるのを見つけた。ゲッベルスはその言葉に従いその部屋を通り過ぎることにした。が、その部屋の壁に穴があるのを見つけた。

 それを見て当然こう思った。

 ここから覗いてみれば何があるのか分かるのではないか?誰にもばれずに?と。当然、普通の人なら考えることだ。

 で、覗いてみた。

 叢雲と潮が風呂に入っていた。

 あんまり細かく描写すると作者がロリコンと勘違いされてしまうので避けておくが、結論から言うと色っぽかった。

 「・・・美しい」

 

 またまた別の日

 出撃から帰って中破して服が破れた駆逐艦娘を見た。

 「・・・美しい」

 

 またまた別の日

 戦う叢雲と潮の様子を戦闘指揮所でモニター越しに見る。

 幼くも凛々しい姿に「美しい・・・」

 

 またまた別の日

 艦娘図鑑をてにして駆逐艦の写真を見ながら

 「萌え~~」

 

 「というわけです。駆逐艦に私は魅せられてしまった」

 「お前、覗きやったんか!?羨ま・・・じゃなくて、それ犯罪だぞ!?犯罪する奴はいくら信頼する部下でも大っ嫌いだ、バーカ!!」

 それは艦娘たちも同じだった。潮なんかは顔を真っ赤にして叢雲はここに12.7cm連装砲がないことを悔やんだ。

 しかしまともじゃないのは総統も同じだった。

 「第一な、おまえは駆逐艦の欠点を知らんのだ!それは貧しい胸部装甲だ!火力もそうだが、何よりも戦艦や空母の素晴らしさはな!目に刺さるような!おっぱいぷるーんぷるん!!」

 また全員がずっこけた。

 「艦娘図鑑で陸奥と長門見た時は本当に感動したよ!!おっぱいこそ正義なんだ!!摩耶が来てくれた時はうれしかったよ!!毎日拝めるんだからな!!おっぱいを!!」

 摩耶は絶望に染まった顔で言った。

 「それだけか?アタシの存在価値はそれだけか!?火力とか雷撃とか汎用性とかじゃないのか!?」すでに摩耶は涙目になりほかの艦娘も顔を真っ赤にしている。

 「総統閣下、潮は胸部装甲結構ありました!!」ゲッベルスが覗きの報告をした。

 「よし、ゲッベルス、お前の覗きやっぱ許す!!」

 「いや、許すんじゃねぇ!!二人とも死刑だぁ!!」

 叢雲が怒り狂って二人に殴りかかった。

 夜だというのに騒がしくなる鎮守府執務室。

 大淀と青葉はこの鎮守府、大丈夫だろうか?と心配になった。

 こうしてゲッベルスのロリコンはこの鎮守府の悩みの種のひとつになった。

 

 そのころ、砂浜にはまた二人の男がぶっ倒れていた。

 二人とも第二次大戦時のドイツ軍の将校の服を着ている。

 騒がしい鎮守府がさらに騒がしくなりそうだ。 




 総統閣下シリーズでなにかと変態設定が多いゲッベルス氏。今回もロリコンに目覚めてしまいました。
 ちなみに私はロリコンではありません。絶対に。
 鎮守府の名前ですが、R.H.N氏の提案であるゲルマニア鎮守府がしっくりきたのでそれでいきたいと思います。R.H.Nさん、ありがとうございました。
 コメントを見ると、やはりドイツ艦の活躍を期待する声がありました。彼女たちにももちろん物語で活躍してもらう予定です。
 次回か次々回であの名シーンをやります。
 毎回、読んでくれてありがとうございます。

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