総統が鎮守府に着任しました!   作:ジョニー一等陸佐

47 / 79
47話 同人書くぞ~ヒトラーとグラーフ~

 親衛隊長官ハインリヒ・ヒムラーはゲルマニア鎮守府の地下室の独房で頭を抱えていた。

 「まさか、総統までこの世界に来ていたとは・・・」

 もといた亜宇酒美津鎮守府で何者かに襲撃され拉致された後、気づけばこの薄暗い独房の中に彼はいた。いや、正確には彼らと言うべきだろう。

 「うーん、こんな時にモルヒネがあれば少しは楽になるのだが」

 「おいおい、何を呑気なことを言っているんだ。第一モルヒネは駄目だと言ってるだろう」

 独房内には同じく拉致されたゲーリングにヘスもいた。

 彼らは此処が何処なのか、誰に拉致されたのかを看守からの説明で理解していた。

 ヘスもはぁ、と溜め息をつく。

 「まさか総統までいるとはね・・・これからどうなるのやら」

 ゲーリングがはん、と鼻を鳴らしながらベッドに腰掛けた。ぎぃ、とスプリングが音を立てる。

 「おそらくタダではすむまい。総統から見れば我々は『裏切り者』だからな。特にヒムラーあたりはヤバいんじゃないか?」

 そう言ってゲーリングはヒムラーを見た。

 ヒムラーはヒトラーが『忠臣ハインリヒ』と呼ぶほどヒトラーに忠実であったが、第三帝国の末期には独断で連合国との降伏の交渉を行いヒトラーに激怒されすべての職を解任されたのだ。

 「・・・そうだな、一番危ないのは私だろう、もっとも信頼していた人間が裏切ったのだからな・・・あの状況では独断で動くしかありませんでしたと説明してもまず聞き入れはしまい・・・どうしたらいいか・・・」

 自分たちは裏切り者だ。どのような扱いや処分を受けることになるのか・・・

 ヒムラーが悩む中、ヘスはふぅ、といきをついて廊下を見た。

 廊下には看守役の親衛隊員が立っている。少し話しかけてみることにした。ヒトラーのさらなる人となりを知るためである。

 「・・・なあ、君・・・ちょっといいか?」

 「・・・」

 親衛隊員は黙りこくったままだった。まあ、当然の反応だろう。囚人と話す看守などいるまい。だがヘスは諦めずに話し続けた。

 「・・・ここじゃ総統閣下はどんな人なんだ?まあ、普通に執務をしているんだろうが、まさかアニメとか漫画とかにうつつを抜かすヲタクじゃないだろうね。もしかしておっぱいぷるーんぷるんとか言ったりして・・・」

 ヘスはこの世界に来てパソコンという機械で見た動画を思い出しながら軽く冗談を言ってみた。すると、看守はこの言葉に反応した。

 「・・・何で知っているんです?」

 少し驚いたように看守が言う。どうやらヘスの冗談は事実らしい。

 「いや、冗談だ言ったつもりなのだが・・・まさか本当にヲタク?」

 看守は首を振り肩をすくめて言った。

 「いや、総統閣下だけじゃなくてゲッベルス閣下や将軍たちも皆ヲタクですよ。もう皆おっぱいだのロリコンだの二次元と結婚したいだの言って正直引いてますよ。職場の仲間もこの世界に来る時のショックで変態になっちまったんじゃないかって噂してます。私もそう思いますよ。もっとも、ストパンにハマってる私も人のこと言えた立場じゃありませんが・・・」

 ヘスは看守にさらに聞いてみた。

 「・・・じゃあ、総統閣下がそういう感じの・・・ヲタク系の同人誌とか巨乳のフィギュアとかあるいは新兵器のプラモとか見たら喜ぶかな」

 「そりゃ、うまい出来のものは喜ぶでしょうが・・・もしかして今この場で同人誌書いて総統のご機嫌でもとって許してもらおうとか考えてるんですか?さすがにそれは無理と思いますが・・・」

 「でも相当なヲタクなんだろ?」

 「ええ、まあ・・・」

 「それは本当かね?」

 「マジか・・・」

 いつの間にかヒムラーとゲーリングも話に加わっていた。

 ヘスは看守に言った。

 「今の我々にできることは少ない。やってみるだけの価値はある。君、名前は?」

 看守は自分の名前を答えた。

 「ローフス。ローフス・ミシュです。親衛隊曹長であります」

 「では、ミシュ君ペンと紙を持ってきてくれ。同人誌を書くぞ。みんなも手伝ってくれ」

 ヒムラーがやれやれというように首を振った。

 「まったく、この世界に来て漫画や小説を書く羽目になるとは・・・まあいいだろう、やろう」

 ゲーリングも言った。

 「じゃあ、俺はプラモとフィギュアを作ろう。手先は器用だからな」

 こうして、ヒムラー、ゲーリング、ヘス、そしてただの親衛隊員のローフス・ミシュは同人誌づくりを行うことになった。金を稼ぐためではなく、生き残るために・・・

 

 

 そのころ、ゲルマニア鎮守府の別の部屋では空母グーラフ・ツェッペリンと第三帝国総統アドルフ・ヒトラーが話をしていた。

 「・・・仲間になれと・・・」

 グラーフは目の前のかつての最高司令官を見る。

 「拒否する理由があるのかね?」

 「・・・同じドイツの人間とはいえ、人を拉致する人間を信用するのは難しい。仲間になって欲しかったら普通に会いに来ればいいのに」

 ヒトラーは目線を少しずらした。

 「確かに君の言うとおりだな。少々手荒な真似を婦女子にしてしまった・・・そこは申し訳ないと思っている。しかし・・・仮に拉致ではなくそのまま会いに来たとして、君は私の仲間になることを承諾したかね?」

 「・・・」

 「君は私を快く思ってはいないだろう。戦いの機会を与えず、義務を果たすチャンスも与えぬまま君の建造中止命令を出したからな。君は何のためにこの世に生まれたのか、何のために戦うのか考える暇もなかったことだろう」

 ヒトラーはグラーフの目を見据えた。

 「・・・グラーフ、君は知りたいのではないかね?自分が此処にいる意味を。そして隠しているのではないか?ドイツの人間として戦いたいという心を」

 目の前の人間はいったい何を考えているのだろう。いったい私に何をしてほしいのだろう?グラーフは気になった。

 「・・・貴方の言うとおりだ、総統。私はこの世界に来てから分からないのだ。何故自分がここにいるのか、何をするべきなのか。普通に考えるのならば、私は総統についていくべきなのだろう。第三帝国海軍の艦娘として。でも・・・それが正しいのか分からない・・・貴方についていくことが正しいのか・・・」

 そう言ってグラーフは目の前の男を見つめる。かつてヨーロッパに破壊と混乱をもたらした独裁者を。

 目的も戦いも与えられることなく消えた自分が果たしてこの男についていくことが正しいのか。グラーフは怖い。

 「御嬢さん、私は今から譲歩をしよう」

 「譲歩?」

 「君は恐れているようだ。進むべき道が分からず、今歩こうとしている道が正しいのかどうかわからず少なからず恐怖している。いいだろう、無理に進まずにそこにとどまり惰眠を貪るのも一つの戦い方ではある。君がそうしたというならそうしよう、今のままで宙をさまよっていたいというのなら。しかし決して何も生まれはしまい。戦おうとしない者進もうとせぬ者に光は訪れぬ・・・君には進むべき道があるのに、艦娘としてドイツのため、人類のため深海棲艦と戦うという崇高な目的があるはずなのに君は進めずにいる。それこそ的の思う壺だ。我々を萎えさせる敵の思う壺だ。君はそれを良しとするのか?抵抗する思想も与えられぬことを?」

 グラーフは首を振った。

 「・・・いや。確かに私には深海棲艦と戦うという確固たる目的があるのだろう。そのためなら喜んで戦う。しかし貴方についていく意味は?」

 ヒトラーはグラーフの手を掴んだ。

 「君を導くためだ。私は支配者ではない。指導者だ。すべてを決断し道を与えるのが私の仕事だ。だから、私は君に道を与えよう、進むべき道を。君は私に貸してくれ。人を拉致しておいて何を言う、と思うだろうな。だが、私はそこまでして君が欲しかったのだ。総統として、一人のドイツ人として。もう一度・・・いや、今度こそ祖国のために共に戦わないか?私のためではなく、君自身のために」

 目の前の男は自分をどこへ導こうというのか。目の前の男は私に道を与えてくれるというのか。それが花畑の道か茨の道なのか。だが彼と自分以外に誰を信じるべきなのか。目の前の指導者は私と共に戦いたいと言う。自分自身のために。

 ヒトラーはグラーフを見た。

 「私が導こう」

 グラーフもヒトラーを見つめ返した。

 改めて、ヒトラーの澄んだ瞳に強い力を感じた。見るものに強い暗示をかける目、あるいは安心させる目、心酔させる目・・・グラーフはヒトラーに並々ならぬ力を感じた。まるで魔術師のような。僅かな恐怖とそしてある種の尊敬に近い感情が湧いた。

 グラーフは息を吐いた。

 「・・・分かった、総統がそこまで言うのなら貴方についてみよう・・・一人のドイツ人として、第三帝国の艦娘として」

 グラーフはベッドから立ち上がった。

 「よろしく頼んだぞ・・・Mein Führer(我が総統)」

 こうしてグラーフ・ツェッペリンはゲルマニア鎮守府の一員として戦うことを決意した。 

 

 




ルーク「ルークとー」
ヤン「ヤンのー」
ルーク&ヤン「人情紙芝居あとがきー」
ヒトラー「私もいるぞ」
ルーク「うわマジか」
ヤン「ちなみに今回はデイリー任務なかったねー兄ちゃん」
ルーク「まあ、こういう日もあるでしょう。毎日やるなんて酷ですし・・・」
青葉「ほっ、青葉も今回は一息つけそうで・・・」
ルーク「とでも思っていたのか?(ブロリー風)」
曙「へあっ!?」
ヒトラー「KO☆RO☆SU」
フェーゲライン「諦めろ、これも定めだ・・・はい死んだ!」ズダダダダピロリーン♪
青葉「何で青葉もおおおおお!?」ズダダダダだピロリーン♪
曙「ちょ、デイリーは二人の任務でってぎゃあああああ!?」ズダダダダピロリーン♪
ヤン「いつも思うんだけどさ、デイリー任務って必要なの?」
ヒトラー「確かにそうだな・・・一応やらねばならない神聖な儀式なんだが・・・なあ、これって報酬あったけ?」
モーンケ「総統閣下、真に申しあげにくいことですが報酬はありません」
ヒトラー「でしょうねぇ!!」
ルーク「というわけでここら辺で次回予告!」
ヤン「次回は多分番外編、シモ・ヘイヘが登場するよ!(本当)あと、ロンドンに血の雨が降ったりカツオが性転換手術したり、波兵が幽体離脱したりマスオ君が不倫したり、磯野家がテポドンで破壊されたり色々カオスなことになるでしょー(嘘)」
モーンケ「総統閣下、グデーリアンとガルパンのコラボも楽しみに待っていてください」
サザエ「それでは次回も見てくださいね!ジャン、ケン、ポン!鵜腐腐腐腐腐腐」
ヤン「誰だお前」

 ふざけてすんません


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。