総統が鎮守府に着任しました!   作:ジョニー一等陸佐

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32話 ルーデル出撃~ドイツの急降下爆撃は世界一~

 ニチヤンネル島近海。

 そこでは救出部隊と島を包囲する敵艦隊との戦いが繰り広げられていた。

 普通の戦闘ならともかく速度が遅く、装備も十分とは言えない工作艦の明石を護衛しながらの交戦なので敵の包囲ラインを突破するのに山城たちは手間取っていた。が、彼女達には瀕死の仲間を救うという重大な任務がある。ただで負けるわけにもいかず、彼女達は少しずつ敵の包囲ラインと突破しつつあった。

 「よっしゃ!敵駆逐艦を一隻撃沈・・・ってうわ!!」

 「隼鷹!?大丈夫!?」

 「あー大丈夫大丈夫、飛行甲板にあたるとこだった・・・」

 山城は被弾した隼鷹の被害が軽微なのを確認すると、前方を見た。

 まだ敵は戦艦1隻と重巡2隻が残っている。

 さっきから直撃弾を何度も食らっているのになかなか沈ます頑丈な奴だ。

 敵の増援もいつ来るか分からず、包囲を突破し且つ仲間を救出し作戦を成功させるには目の前のこのしぶとい敵を何としても撃破する必要があった。

 「・・・撃てぇ!!」

 35.6cm連装砲を発射しながら山城は明石の周りを囲むようにして護衛している駆逐艦娘達を見た。

 彼女達は彼女達で、回避運動を取りながら敵の艦載機相手に対空砲火をカーテンのごとく張り巡らせていた。

 艦載機がいるということは――空母がどこかにいるということ、つまりこの島に向かっている敵は自分たちが今戦っている包囲艦隊だけではないということだ。

 救出艦隊が向かっていることはすでにばれているであろう。

 となれば、敵はさらに増援を送ってくるはず、いや確実に送ってくる。

 今現在でも十分手一杯なのにいま敵の増援が来てはたまらない。早く敵を撃破しなければ――

 焦りが募ってくるのに気づき、山城は首を振った。いや、駄目だ。焦っては敵の思う壺だ。落ち着いて、しかし素早く確実に――

 山城は主砲に弾薬を再装填すると、目の前の敵戦艦と対峙した。

 

 

 二個二個動画島近海。

 その上空を一機の急降下爆撃機Ju87が静かに飛行していた。

 「ガーデルマン、異常はないか?」

 「何も異常はありません、大佐」

 ソ連人民最大の敵ことハンス・ウルリッヒ・ルーデルは愛機の操縦桿を握りながら敵はどこだどこだと血眼になって洋上を、空を見渡していた。

 ここ最近、戦闘がなくイライラしていたルーデルであったが今朝寝ているときに突然ピンとくるものがありガーデルマンをたたき起こしてスツーカのもとに向かったら、ちょうど良いところに来たと言わんばかりに山口らに出撃を命じられたのだ。なんでも数日前にニチヤンネル島に出撃した部隊から連絡が来ないのでどうなっているのか見てこい、とのことだった。

 当然、血に飢えていた魔王ルーデルは喜んでガーデルマンを後部機銃座席に押し込めながらスツーカに搭乗し出撃、現在に至るというわけである。

 「ニチヤンネル島はそう遠くない島だからな・・・すぐに到着するだろう。ガーデルマン、見張りを怠るな・・・ん?」

 ルーデルはそう言いかけたとき、前方、洋上に浮かぶ黒い点々と立ち上る黒煙、対空砲火らしき煙を見つけた。

 「あれは・・・?」

 ルーデルはもちろん知る由もなかったが、これこそ、山城たち救出部隊と島を包囲する敵艦隊の戦闘の真っ最中だったのである。

 「もしやあれは・・・例の化け物か?」

 ルーデルは正体を確かめようと操縦桿を引いた。

 正体はすぐに分かった。

 洋上では確認できる限り6人の少女と、形容しがたい、黒い得体のしれない物体が交戦状態にあった。おそらく前に山口から聞いた『艦娘』と『深海棲艦』とよばれるものであろう。

 どうやらこちらの存在に気付いたようでさっきまで鳴り響いていた砲声や爆音は少しおさまったように思える。

 「・・・ガーデルマン」

 「分かってますよ。どうせあの得体のしれない連中と戦うから背後に気をつけろとかそういうのでしょう?」

 「そういうことだ」

 この状況、やることは決まっている。

 ルーデルはまず白い巫女装束のような服装の少女と対峙している深海棲艦を標的にすることにした。

 操縦桿を引き、上昇する。同時に自機の周りで爆音と同時に黒い煙の花が次々と咲く。今になって自分に対空砲火を撃ち始めたらしい。

 だが、ルーデルはそんなことには構わず、機体を上下左右に動かしながらあわてることなく一定高度まで上昇させた。

 操縦桿を押す。同時に、愛機が降下を始める。

 レティクルには自分の標的がしっかりと捉えられていた。

 確実に当てるためにルーデルはギリギリまで接近することにした。

 もちろん、ブレーキは掛けない。速度が増すと同時に機体がガタガタ揺れだした。

 対空砲火も激しくなる。

 猛烈な対空砲火がスツーカに次々と撃ちこまれるが速度が速いのと、たまにルーデルが機体を微妙にそらし、動かすのでなかなか当たらない。そもそも、魔王ルーデルが戦艦一隻や二隻の対空砲火で倒れると考えること自体が大間違いなのだ。

 「1500メートル・・・1200・・・900・・・」

 全身に、Gが掛かる。機体が悲鳴を上げるもう限界だろう。下手をすれば機体がバラバラになるか海面に激突する。それでもルーデルは降下し続ける。レティクルにはいまだ、標的が捉えられ続けている。

 「400・・・今だ!」

 ルーデルは500キロ爆弾の投下レバーを引くと同時に37㎜機関砲を発射した。

 結果を確認する間もなくすぐに操縦桿を引き機体を上昇させる。

 ブレーキをろくにかけずに急降下したことによって猛スピードが出ていたため、すぐにはなかなか上昇を開始せず、ゆっくり、と機体が傾く。

 海面すれすれ、激突寸前のところでスツーカは上昇を開始した。

 「敵が炎上しています!!爆発しています!!」

 後部座席からガーデルマンの声が響いた。

 山城や隼鷹の度重なる攻撃にダーメジがたまっていたようで、しぶとい戦艦はルーデルの投下した500キロ爆弾と37㎜機関砲弾でようやくとどめを刺された。本当なら、爆弾の余波が来るのでもう少し高い高度(1000メートルぐらい)から爆撃するべきなのだが、ルーデルは約300メートルという超至近距離から爆撃した。それで爆発の巻き添えを食らわずしかも海面に激突することも敵の対空砲火にあたることもなく、やはりルーデルは怪物であった。

 「はっはっはっ!ドイツの急降下爆撃機はァァァァアアア世界一ィィィィイイイ!!」

 ルーデルは高笑いすると次の標的を探し始めた。

 

 その頃ゲルマニア鎮守府工廠

 「エホッエホッ!!」

 「どうしました?シュトロハイム大佐」

 「いや・・・誰かが俺の決め台詞の真似をしたような・・・」

 

 ニチヤンネル島

 「おお、あのドイツ人やるじゃねぇか!!」

 地下壕から外の様子をを見ていた菅野はルーデルの戦いぶりに興奮を隠せずにいた。

 彼らは今敵の攻撃を逃れるため地下壕に退避していたが、手をこまねているわけにもいかずどうするか悩んでいた。

 そこへ、救出艦隊とルーデルが登場したのである。

 「・・・こうしちゃいられねぇな」

 「・・・?どうした、菅野?」

 「おい、後は頼んだぜ!俺は愛機のところに行ってくる!!」

 「え?お、おい!!」

 菅野は摩耶の静止を振り切って駆け出した。

 敵はどうやら救出艦隊とルーデルのほうに集中しているようで島への攻撃事態は前よりは緩やかになっている。菅野は敵に攻撃されることも発見されることもなく走ることができた。

 「・・・たしかここだな・・・あった!!」

 立ち止まった菅野の目の前にはぼろぼろの彼の愛機――紫電改があった。

 エンジンをガン!!と叩くと菅野は操縦席に飛び乗った。

 「ちゃんと飛べよ・・・コノヤロウ」

 深海棲艦の災難はまだ始まったばかりである。 

 

 

 

 

 




 後書き
ヒトラー「・・・毎度このssを読んでくれている読者諸君、いつもありがとう。今回は読者からの質問に答えたいと思う。ゲッベルス」
ゲッベルス「はっ。今回の質問はペンネーム『響く棗具』からです。内容は・・・ 『この小説の総統閣下のモデルの動画ってなんですか?』」
ヒトラー「ふむ・・・モデル、か。まぁ、モデルと一言で言っても大勢いるんだが一番参考にしたのは鳳仙という人の作品だな。艦これのプレイ動画の配信を主にやっていてニコニコとユーチューブの両方で活躍している。今回の小説はこの人の作品を特に参考にさせてもらった。鳳仙さん、どうもありがとうございます」
モーンケ「でも総統閣下、最初はこの小説はシリアス路線で行く予定だったんですよね?」
ヒトラー「まぁな。最初は『ヒトラー最後の12日間』『帰ってきたヒトラー』みたいな感じにするつもりでネタのほうはおまけ程度にするつもりだったんだが・・・気づいたら閣下これくしょんになっていた。まったく、本当に困ってるよ、ゲッベルスはロリコンになるわ、部下が毎日いじめてくるし仕事しないしろくなことがない」
フェーゲライン「自重しない変態ちょび髭に言われてもww」
ヒトラー「KO☆RO☆SU」
フェーゲライン「はい死んだ!」ズダダダダダダダダピロリーン♪
青葉「なんで青葉もおおおおおおお!?」ズダダダダダダダダだピロリーン♪
ヒトラー「まぁ・・・とにかくいろいろ困ってるんだよ、ドイツ艦もこないしさ・・・今回はとりあえずここまで。読者諸君、何か質問やリクエストがあったら作者の活動報告『総統閣下の質問箱』にどんどんコメントしてくれ。それではここらへんで・・・畜生めぇ!!」

 おしまい
   
 

 

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