総統が鎮守府に着任しました!   作:ジョニー一等陸佐

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29話 救出作戦~ドルンレースヒェン作戦発動~

 ゲルマニア鎮守府、総統執務室。

 時刻はすでに午前0時と深夜になっているが駆逐艦娘などを除いて眠っているものはいなかった。

 ヒトラーは部下とともに救出作戦を練っていた。

 「武蔵は出撃できんのか?ドーラを搭載して出撃させれば・・・」

 「いや、今回はあくまで救出作戦だ。迅速さが求められる。鈍重な大和型は不向きだし、資源を節約しなければならない。なにより、今現在肝心の武蔵がドック入りしているしドーラも試作品だったから硫黄島攻略作戦の後にすぐぶっ壊れてしまった」

 「なんと・・・」

 「編成は、軽空母の隼鷹と戦艦を出撃させよう。正規空母を曳航するのだからな」

 「しかし総統、それでは目立ちますし現在の鎮守府にそんな余裕は・・・」

 ヒトラーが部下たちと議論を交わしていたところにバタンと執務室のドアが開き大淀が入ってきた。

 「総統、第一艦隊が避難した島の場所がわかりました!」

 「本当か!」

 大淀はうなずくとテーブルの上に地図を広げた。

 「場所は硫黄島よりさらに南。無人島です」

 地図の上に小さく描かれている島を指さす。

 「島名はニチヤンネル島。かつて旧日本軍の基地として使われていた島で島の存在すら秘匿されていたために判明に時間がかかりました」

 「ニチヤンネル島か・・・なんか変な生物が出てきそうだな」

 「喋る猫とかやる夫とか出てこないよね?」

 「いえ、そこは知りませんが・・・ともかく島の場所が分かった以上迅速に救出作戦を実行に移すべきかと」

 ヒトラーは頷いた。

 「うむ。すでにある程度の艦隊の編成、航路などの内容は決まっている。少なくとも数時間後には私は救出部隊を見送ることになるだろう。全艦娘に出撃準備に備えるよう伝達したまえ」

 「了解しました!」

 

 数時間後、総統執務室

 ヒトラーの目の前に六人の艦娘がいた。隼鷹、山城、明石、叢雲、潮、不知火。それが急きょ編成された救出部隊の面子であった。

 「君たちがなぜ集められたのか説明は必要あるまい」

 ヒトラーは言った。

 「ほかでもない、遭難した第一艦隊救出のためだ。モーンケ、作戦の説明をしてくれ」

 モーンケがうなずくと、机の上に広げられている地図を指差した。

 「情報部の調査の結果、第一艦隊は現在硫黄島のさらに南東に位置するこの無人島ニチヤンネル島にいる可能性が高いということが判明しました。友軍の偵察等の情報から深海棲艦側が新たにこれを殲滅するための部隊を編成、出撃させている可能性が高くく、作戦には迅速さが求められます」

 「あの・・・じゃあ、なんで足の遅い私を選んだんですか?迅速さだったら、高速戦艦の金剛型がいいんじゃ・・・」

 山城が疑問を口にすると、ヒトラーが代わりに答えた。

 「山城、君はこの前改装によって航空戦艦になっただろう?今回の作戦では昼夜を問わず手段を問わず敵の追撃が予想される。航空機、戦艦、魚雷・・・通常の海戦や防空戦、対潜戦闘あらゆる戦闘に対応できる君が適任だと判断したのだ。それに今、わが鎮守府の資材量や入渠などの事情から稼働できる空母が隼鷹のみ。これでは艦隊の防空には足りない。航空戦艦である君の力も必要なのだ」

 「分かりました。でも速度が・・・」

 「安心したまえ。我がドイツの 科学力はァァァァァァァアアア世界一ィィィイイイイ!!出来んことはないィィィィィィィイイイイ!!この前わが鎮守府の技術部の明石、夕張、シュトロハイム大佐とドクの尽力によって新たに改良型タービンが開発された。これに夕張と明石が更なる改造を加えたのだがそれを搭載したまえ。見違えるように速力が上がるはずだ。金剛ほどではなくとも護衛には十分の速度が出るだろう」

 モーンケが説明を続ける。

 「協議の結果、最短ルートを通ることになりました。別のルートよりも安全性は少し下がりますが現れる脅威は護衛中でも十分に対応でき、また別のルートを通った場合敵の追撃隊に追いつかれてしまう可能性が大と判断したからです。敵の無線が傍受されるのを防ぐため作戦中は無線封鎖を徹底させていただきます。いかなる状況でも相当なよほどのことがない限り無線通信は行わないでください。目的の島について第一艦隊を発見したらまずは大破している赤城、加賀の応急処置を明石が行います。その後、ある程度の補給を済ませたのちすぐに出発、帰還します」

 モーンケが説明を終えた。

 ヒトラーが隼鷹たちを見る。

 「・・・行くときには物資や修理用の部品等を持って、帰還時には場合によっては正規空母二人を連れてかつ隠密行動する必要がある。かなり難易度の高い作戦になるができるかね?」

 「いや、できるできないっていうよりやらなきゃいけないでしょ。仲間が死にそうになっているんだから」

 答えたのは隼鷹だった。普段は飲んだくれの彼女だ今の彼女の顔は真剣そのものだった。

 ほかの艦娘達も答える。

 「・・・やって見せます!欠陥戦艦とは言わせません!」

 「やるに決まってるでしょう」

 「あたしを誰だと思ってるの?任務を達成するに決まってるわ!」

 「あの・・・頑張ります!私、絶対!」

 「司令のご命令ですから」

 彼女たちの士気は十二分に高まっていた。何しろ死にかかっているであろう仲間を救出しに行くのだ。士気において圧倒しなくてはまず論外であろう。

 ヒトラーは満足げにうなずいた。

 「うむ。それでこそ我がゲルマニア鎮守府の艦娘だ。この任務、絶対に成功させたまえ。なお、本作戦の秘匿名はドルンレースヒェン・・・「眠れる森の美女」作戦とする。君らが姫を救出しに行く王子様役というわけだ」

 「性別が逆なような気がしますが」

 「でもロマンチックでいいような・・・」

 ヒトラーは続けた。

 「諸君。私はただ作戦を練り命令して待つことしかできないが・・・必ず成功させ生きて帰れ。これは総統命令だ。逆らうことは許されん」

 「「「ハイル!」」」

 士気の高まった空気の執務室内に艦娘達の声が響いた。

 

 艦娘達が立ち去り総統執務室内にはヒトラーとげっべるすをはじめとする数名の部下だけが残った。

 「成功するでしょうか」

 ボルマンが言った。

 ヒトラーはフッと笑った。

 「ボルマン君、心配は無用だ。彼女たちの様子なら必ず成功するであろう。裏切り者の親衛隊員や臆病者の将軍達とは違う。なぁに、『あの大戦』の轍は踏まんよ」

 「総統閣下、彼女達だけで大丈夫でしょうか?あらゆる状況を想定して柔軟に対応できるようグライダーや小型潜水艇などで武装親衛隊員を送り込む必要はないでしょうか?」

 モーンケがヒトラーに提案した。

 「私もそれは考えたが、妖精だけで十分だろう。それに今回は深海棲艦が相手だ。グラン・サッソ襲撃(第二次大戦時の1943年9月12日独軍や武装ssによって実施されたムッソリーニ救出作戦)とは違う。スコルツェニー中佐やマックス少佐がいれば話は別だろうがあいつらはまだこの鎮守府には来ていないみたいだからな・・・とにかく打てる手は打った。賽は投げられたのだ。あとは祈るしかあるまい」

 ヒトラーは椅子に座りなおした。そしてうっすらと笑う。

 「もっとも、勝利は確実だがな」

 窓を見れば水平線の向こう側がまだ太陽そのものは出ていないもののうっすらと明るくなりつつあった。

 

 

 「あ」

 突然ヒトラーが思い出したように声を上げた。

 「どうしました総統閣下?」

 ゲッベルスが疑問の声をかける。

 「いや・・・そういえばいつものあれをやることを忘れていたのを思い出してな」

 「・・・いつものあれ?」

 将校たちが頭上にクエスチョンマークを浮かべる中、大淀やブルクドルフはうすうす気づいたよな顔をしていた。

 ブルクドルフが大淀をちらっと見る。その眼は「分かってるよな?」と訴えかけていた。

 大淀が頷く。

 ヒトラーが大淀に命令した。

 「大淀、武装親衛隊に命じてフェーゲラインと青葉を起こしてこい」

 

 

 そのころ、フェーゲラインと青葉は将校用の私室の中で共に布団の中で一緒にぐっすりと眠っていた。(二人の名誉と読者のためにあらかじめ説明しますが決してエロい意味はございません。添い寝しているだけです)

 と、突然部屋のドアが勢いよく開けられ二人を夢の世界から強制的に引き離した。

 「なんだこの部屋はァ、馬鹿に暗いなァ」

 二人がドアに目をやるとそこには数名の部下を引き連れた制服姿のヒトラーと武装ssの大佐と数名のMP40サブマシンガンを構えた親衛隊員がいた。

 大佐が寝間着姿のフェーゲラインと青葉を見る。

 「ブァカ者がァァァァァア!!ドイツ軍人はァァァァァァ清廉潔白を美徳とするのダァァァァァアア!!10代の少女と添い寝をするなど言語道断もってのほかァァァァアア!!本当に羨ま・・・じゃなくてけしからん!さあ、この二人に裁きの銃弾を撃ち込むのだァァァァァアアア!!」

 一瞬のうちに二人はこれから何が起こるかを理解した。

 「ちょ、おま、勘弁して、デイリーならたまにはゲッベルスとかで」

 「KO☆RO☆SU」

 ヒトラーがそういった瞬間、親衛隊員達がMP40を二人に連射、無数の訓練弾が撃ち込まれ二人は倒れた。

 「はい死んだ!!」

 「なんで青葉もおおおおおおおお!?」

 ピロリーン♪という音がどこからか響き渡る。

 倒れ伏す二人を見てヒトラーは怒りの声を出した。

 「こ・・・こいつら、男女二人で添い寝していたとは、このリア充め・・・まじで羨まし、じゃなくてけしからん!!畜生めぇ!!!」

 鉛筆を床にたたきつける。

 また、ピロリーン♪とどこからか音が響いた。

 ヒトラーは周りから驚きの目と尊敬の目と白い目で見られる中、叫んだ。

 「よし、決めたぞ!作戦が成功した暁には山城と摩耶ちゃんと加賀さんの胸部装甲を、あの目に刺さるような巨乳を!必ず、おっぱいぷるーんぷるんしてやる!!」

 ピロリンピロリンピロピロリーン!!とどこからかまた音が響いた。

 ヒトラーの声が空しく響いた。

 周りの幹部たちはただ茫然と見ているしかなった。

 ヨードルが呆然とつぶやく。

 「いつものアレってこれだったのかよ・・・」

 「大体予想はついていたが・・・長いことやってないから、忘れていたからってこれは・・・」

 「せっかく久しぶりに良い雰囲気になったのによりにもよってこんな言葉で〆るとか!ダサいし!!」

 ヒトラーはヒトラーであった。




  後書き
クレープス「読者の皆様、今回もこのssを見てくれてありがとう。ダンケ」
モーンケ「突然ですが皆様方にお知らせがございます」
ヒトラー「突然のことですまないが今回、作者が人気投票を行うと決めたのだ。投票権は読者一人につき二人まで。29話までに登場したキャラクターの中で好きなキャラに一人につき一票入れてくれ。同一のキャラクターに二票入れるのは無効とするから悪しからず」
ゲッベルス「なお、投票するときは出来うる限り作者の活動報告『総統閣下の質問箱』に投票してください。コメント欄に投票すると運営に消されてしまうから・・・投票日は2017年3月10日までとします」
フェーゲライン「まぁ、私が一位になるのは見え見えなんですけどねww」
ヒトラー「KO☆RO☆SU」
フェーゲライン「はい死んだ!!」ズダダダダダダダピロリーン♪



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