シンディ「こんなの艦これじゃないわ!ただのドリフターズよ!」
メイトリクス「だったら首置いてけばいいだろ!!」
シンディ「そんなぁ・・・」
ドイツ空軍大佐ハンス・ウルリッヒ・ルーデルは現在の状況に困惑していた。
確か最後の記憶は西ドイツの病院でだんだん意識が薄れていったはずなのだが(ルーデルは1982年に西ドイツの病院にて死去した)、気付いたら自分はドイツ空軍の飛行服を着て急降下爆撃機スツーカに乗っていた。
いったいどうなっている?
もしやここは死後の世界か、地獄か天国か?
いずれにせよ確かなことはこれが夢ではないということだ。
「大佐、大佐。もしかしてルーデル大佐ではありませんか?」
後ろの後部機銃席から聞き覚えのある声がした。この声はもしや・・・
「ガーデルマンか?」
「はい、その声はやはり大佐のようですね」
間違いない、あのいつでも頼りになる相棒のガーデルマンだ。
「それにしてもガーデルマン、これはいったいどういうことなんだ?」
「よくわかりませんよ。私も気づいたらこうなっていて・・・ま、そんな風に元気に話せるんだったら特に問題はなさそういですが」
ルーデルはスツーカの操縦桿を握りながらしばらくの間思案していたが、ある一つの結論に達した。
「ガーデルマン、もしかすると我々はあの時代に甦ったのかもしれん・・・あの時代の空に」
「私も同じことを考えていました、大佐。でなければこんなことが起きるはずがありません」
ルーデルの言うあの時代とは、もちろん第二次世界大戦のことだ。
確証はないが、それ以外に合理的な理由は見つからない。もしそうだとすればやることは決まっている。
「ガーデルマン、こんなところでぐずぐずしている暇はない・・・出撃するぞ!」
ルーデルは操縦桿を改めて握り直しスツーカを操縦した。
とりあえずあたりを見回してみると、そこに広がっていたのは憎きイワンどもの住む草原・・・ではなく大海原が広がっていた。
「うーむ、ソ連ではないようだな・・・」
ルーデルがそう呟きながら捜索しているうちになにか身に覚えのある匂いが鼻を突いた。
間違いない。硝煙、火薬のにおい。爆音。戦争のにおいだ。
ルーデルはそう直感し、その方向へと機を向けた。
しばらく進めていると、だんだん何が起こっているのかはっきりと見えるようになった。
小さな島の周りで対空砲の煙が無数に浮いている。
得体のしれない球形の物体や何とも形容しがたい物体も無数に飛び回っている。
よく見ると信じられないことに海上に少女たちが浮いており何かを呆然と見つめていた。
ルーデルがさらに観察してみると、翼に赤い丸のマークの付いた戦闘機、恐らく日本軍機がその得体のしれない飛行物体相手にドッグファイトを繰り広げていた。
相当な技量と見えるようで、次々と物体を撃破していく。
その様子を見ているうちにルーデルは体が熱くなっていくのを覚えた。
ソ連と戦闘を繰り広げていた日々を思い出す。
あのときの気持ちは、本当に最高だった。何とも形容しがたいスリルと快感があった。
もう一度。
もう一度、戦いをしたい。あの空に戻りたい。西ドイツの病院で意識が薄れる直前にそう願ったことを思い出した。
ルーデルは操縦桿を傾けた。
彼が最初に今まさにその戦闘機に食らいつこうとしている物体に狙いを定めて突撃し、37mm機関砲の引き金を引いた。
艦隊娘たちはしばらくの間、紫電改とスツーカの戦いに見とれていた。
敵戦闘機群をあざ笑うかのように次々と撃墜していく。
巧みな宙返り、急降下で敵の攻撃や追跡をよけ逆に相手の動きを利用して、相手の動きがすでに分かっているかのように敵戦闘機を追い詰め、撃墜していく。
その戦いに見とれながら旗艦の天龍ははっとした。
今は敵は紫電改とスツーカに気を取られている。
今が海域を脱出するチャンスだ。
できれば助けたいが、満身創痍のこの状態では無理だろう。
天龍は仲間の艦娘達に撤収の指示を出した。
菅野はしばらくの間スツーカとともに敵機を次々と撃墜していったが、限界も感じ始めていた。
機銃弾がとうとう切れたのだ。
体当たりを敵にかましてやるのも悪くないだろうが、まぁ、目標が小さいし下手したら死ぬかもしれないのでそんなことはやめてどこかへ撤収することにした。
菅野はスツーカに愛機を近づけるとスツーカのパイロット無向かって手信号を送って俺について来いと指示をした。
相手も了承したようで、すぐにスツーカは空域から離れるしぐさを見せた。
こうして突然現れたスツーカと紫電改は思う存分暴れ回った後、どこかへ去っていた。
太平洋に存在するとある南の島、二個二個童画島は実に奇妙な形をしている島だ。
上空から見ると四角い土地に二本の触角が生えているように見える。
島の中心部にある森には多くの野生動物がおり、夜になると「タピオカパン!」「ランランルー!」「目が、目がぁぁぁ」「びゃあうまい!」「ダニィ!?」等の奇妙な鳴き声がうるさく響き渡る。
この島は昔日本軍が前線基地として使い戦後も自衛隊が使っていたが、深海棲艦が現れて以降誰も住んでいない・・・はずだった。
「・・・ん?なんだありゃ?」
イタリア王国の首相にしてファシスト党の統領ベニート・ムッソリーニは砂浜で日向ぼっこしているところに空から何かが飛んでくるのを見つけた。
「なんでしょうね・・・あれ」
傍らにいた眼鏡にセーラー服、コルセットを付けた少女、かつてイタリア海軍の戦艦だった艦娘ローマも空を凝視した。
すぐに飛行物体の正体はわかった。
日本軍の紫電改とドイツ軍のスツーカだ。
二機の飛行機はゆっくりと速度を落としながら、ムッソリーニたちのいた砂浜の近くにある飛行場にゆっくりと着陸した。
二人は顔を見合わせるとすぐにその飛行場に向かっていった。
菅野直は紫電改から飛び降りるとすぐに二人の見知らぬ人間がこちらにやってくるのを確認した。
制服を着た禿のデブ男にセーラー服の眼鏡をかけた少女。
やってきた二人に対して菅野が発した言葉はこれだった。
「なんだお前ら、俺の愛機に触んじゃねぇバカヤロウ、手前やんのかコノヤロウ」
ムッソリーニとローマは突然目の前の日本兵(らしき男)に罵倒されて反応に困った。
味方か敵なのかわからない。
ムッソリーニはじっと彼の顔を見た。
間違いなく日本人、しかも機体の日の丸マークとか服装を見ても日本軍だ。
そしてイタリアと日本は一応同盟関係にあった。
だからムッソリーニはとりあえずローマ式敬礼をしながら彼にこう言った。
「え、え~と・・・ローマ!!」
次の瞬間、菅野の頭の中にこんな式が出来上がった。
イタリア、ドイツ、日本=三国同盟
イタリア=同盟国=仲間=仲良し
菅野はグッ!と彼の手を握った。
ムッソリーニはあぁ、やっぱりすべての道はローマに通ずるんだな・・・と感動して泣きそうになった。
が、次の瞬間菅野の頭の中にもう一つの士気ができた。
イタリア、途中で裏切る
イタリア=敵・・・?
次の瞬間、菅野はムッソリーニを思いっきりグーで殴った。
「やっぱ敵じゃねぇかバカヤロウ!!」
「ぎゃああああああああああ!?」
「ドュ、ドゥーチェェェェェェェェ!?」
菅野がムッソリーニをぼこぼこにしローマがおろおろして止めようとする中傍らから声がかかった。
「そこまでにしなさい、君・・・彼は敵ではない」
三人が目を向けた先には
大日本帝国海軍少将、山口多聞の姿があった。