総統が鎮守府に着任しました!   作:ジョニー一等陸佐

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17話 硫黄島パイロット~私の彼はバカヤロウ~

 硫黄島。

 活火山の火山島であり、その名のとおり硫黄の臭いが立ち込めるその島の海域は硝煙と砲声、爆発などに包まれていた。

 必死に対空射撃を行っていた白雪が叫ぶ。

 「吹雪!3時の方向から魚雷が接近!」

 「っ!敵機が多すぎる!!」

 艦娘達は必死に回避運動や砲撃を行うが敵の攻撃は執拗で激しい。

 硫黄島海域に出撃した艦娘達はあまりにも多くの敵に苦戦していた。

 

 話は三日前に遡る。

 

 ゲルマニア鎮守府、総統執務室。

 そこではヒトラーや大淀、将校たちが集まり会議を行っていた。

 ヒトラーが地図を指差す。

 「さて・・・一ヶ月ほど前にクラウゼヴィッツ作戦を成功させたわけだが、当然ここで立ち止まるわけにはいかない。我々には当然次なる目標がある。ここだ」

 ヒトラーが指差した小さい島は硫黄島と書かれていた。

 「蛙の飛び石のごとく、重要な島や海域のみを奪取していき、我々の勢力範囲を広げる。当然次にとるべきはここだ。ここをとれば太平洋方面の守りを万全にすることもできるし、南方への進出も容易になるだろう」

 クレープスが頷いた。

 「なるほど、遠方に我々の新たな拠点を作るのですな」

 ヒトラーも頷いた。

 「そのとおり。そして硫黄島の新たな基地を作った暁にはビーチも整備して艦娘達の水着姿を拝むのだ!特に加賀さんと武蔵のは絶対に見なきゃ損だ!なんたってあの目に刺さるような!おっぱいぷるーんぷるん!!もう想像しただけたまらんわ、カメラちゃんと買っておかないと!」

 執務室にいた全員はずっこけた。

 「何を言いますか総統閣下!」

 ヒトラーの発言にゲッベルスが言った。

 しかし誰もヒトラーの発言に対する注意ではないだろうと直感した。

 「駆逐艦の水着姿こそ至高なのです!駆逐艦は天使!!これは未来永劫永遠に変わることのない絶対的法則である!あの小さい体に愛らしい顔、守ってなりたくなる気持ちが湧いてくる、そして何より水着姿、幼女のときにしか現れない幼女特有の色気、貧乳!この世で一番はなんと言っても駆逐艦だお前らわかったか!!」

 執務室にいた全員がやっぱり、と思った。

 「ロリコンもいい加減にしろよ!」

 「怨怨!!山城の水着姿が見たい!!」

 「水着が合うのは巨乳だけだ、貧乳はいらん!」

 「あ、でも駆逐艦もいいかもな・・・」

 「やべぇ、ムラムラしてきた」

 「もしもしゲシュタポですか?」

 「クマーー!!」

 「ニャー!!」

 あっという間に将校たちの間に猥談が広がる。

 ヒトラーが机をたたいた。

 「お前らいい加減にしろよ!!軍人としての誇りはないのか!?」

 フェーゲラインが笑いながらいった。

 「一番自重しないやつにいわれてもなWW」

 「青葉、総統のセクハラ発言聞いちゃいました!!」

 「KO☆RO☆SU」

 次の瞬間妖精親衛隊員たちが持っていたサブマシンガンが青葉とフェーゲラインに向かって連射された。

 「はい死んだ!!」

 「何で青葉もおおおおおお!?」

 銃弾を撃ち込まれピロリーんと言う音とともに青葉とフェーゲラインは崩れ落ちた。

 ヒトラーが咳払いする。

 「とにかくだ、我々は硫黄島を攻略する。三日後、偵察部隊を編成し出撃させることにする。いいな?」

 こうして天龍たちをはじめとする偵察艦隊が編成され、三日後に出撃した。

 

 そして、敵の戦力はあまりにも多かった。

 島影が見える前から、敵機の猛攻を喰らい、砲撃を受けた。

 おそらく空母、戦艦ともに恐ろしいほどの数がいるであろう。

 撤退しようにもなかなか逃げ口が見つからなかった。

 

 天龍が主砲を打ちながら、どうすればいい、とふと目を見回したときだった。

 「天龍ちゃん!!」

 龍田の叫び声が聞こえた。

 上を見上げると急降下爆撃機がこちらに向かっていた。

 恐ろしいうなり声を上げこちらに向かってくる。

 気づいたときにはもう遅かった。

 回避行動をしようにも相手がかなり接近しており間に合わない。

 必死に撃ちまくったが、航空機に早々当たるものではない。

 これまでか・・・と思った瞬間、急降下爆撃機が大爆発を起こした。

 爆風に転がりそうになりながら何とか踏ん張り天龍が上空を見上げたその先にはーー

 

 ぼろぼろの紫電改があった。

 

 大日本帝国海軍パイロット、菅野直は自らの愛機に乗りながら毒づいた。

 「なんだバカヤロウ!!糞っ糞っ!!なぁにが起きやがったあ!!」

 さっきまで米軍の戦闘機を戦っていたのに気づけばどこから知らない海域にいた。

 「ここはどこだバカヤロウ!!何でたこ焼きが飛んでんだコノヤロウ!!」

 見れば海上には少女が浮かんで戦っているし、上空にはたこ焼きのようなものやなんともいえない得体の知れないものが飛び交っていた。

 「手前やんのかコノヤロウバカヤロウ!!」

 菅野は辺りを見回した。

 

 そして、急降下爆撃機に襲われている天龍を見た。

 彼女の顔にはどこかあきらめの色が浮かんでいた。

 「手前コノヤロウ・・・コノヤロウ手前!!」

 何をすべきかはすぐに分かった。

 機体を敵機に向けて機銃を撃ちまくった。

 

 案の定、すぐに急降下爆撃機は爆発した。

 だがそこで終わらない。

 菅野の血が騒いだ。

 菅野は次の目標を探して機体を動かした。

 

 「すげぇ・・・」

 天龍はつぶやいた。

 突然紫電改が現れたことなど忘れ、その空中戦に見入っていた。

 あれだけの敵機を相手にしながらたった一機で敵を翻弄し撃墜していく。

 しかし敵もさるもの。

 菅野をゆっくりと追い詰める。

 そして、一機の敵機が菅野の機体の真後ろに食いついた。

 もうよけられない。

 「振り切れ!!」

 天龍は叫んだ。

 だが、もうどうすることもできない。

 あのままでは撃墜されるのに。

 誰なのかはわからないが助けてもらったのに。

 

 そして、敵機の機銃が菅野と機体に向かって発射されようとしてーー

 

 敵機が爆発した。

 

 

「・・・え」 

 いったい、何が起こった?

 戦場にサイレンのような音がけたたましく響き渡る。

 

 艦娘たちが空を見渡し菅野が後ろを振り向いたときーー

 

 

 そこには一機の急降下爆撃機ーJu 87 『スツーカ』ーの姿があった。

 

 

 

 

 


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