幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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共に歩む足取りを止めるな。

何が正しく間違いかは言葉で心で意志で伝えよ。

『絆』はその為の意味。




第三十話 『結束《ケッソク》』

少々の被害が出たものの悪夢の再来を阻止した私達。

 

前回の戦闘でカイメラ隊の悪行も晒す事が出来た。

 

が、奴らの撤退は外側にも影響するだろう。

 

しかしこれは真実を知った外側の人達に抑えて貰います。

 

そこで衝撃的なのは黒のカリスマがあの国際警察機構やBF団をも敵に回したと言う事実。

 

奴もそれがどんな結果を生むのか理解しているのだろうか?

 

………………………うん(九大天王と十傑衆双方からのダブル報復の図を想像しながら)。

 

そんな事は私に関係ないのでニラオチ程度に済ませてありますが…

 

嫌味がてらで匂わせ程度の情報通達は双方にして置いてあげました。

 

それとカイメラ隊フルボッコ中に奴と戦闘をしていた孫光龍からも『奴の機体を破壊しておいたからしばらくは泣き寝入りだろうねw』とすっごい笑顔の念話で言われました。

 

オイオイ、ボス格が何やっとるのとツッコミを入れたいが差し向けたのは私である事に変わりないので置いておく。

 

前回の暴露の件に関してはこちら側の戦闘介入前に送られていたブルーロータスからのメールにて判明した事にしてある。

 

まあ証拠はアークエンジェルとドミニオンの各艦と各機体に送られたそのメールと受信時間で何とかなると思うので余り深くは言わない。

 

内容は謎解き方式になっているが、この手の謎解きはギリアム少佐から学んでいたのでそれを利用している。

 

はてさて、ここからが問題である。

 

前回の戦闘で破損した艦並びに機体の修復作業の間。

 

私達が離れている間に起こった出来事。

 

そして向こう側で起こっていた出来事。

 

キラと私の生還の件を含めて説明会となりました。

 

 

******

 

 

修復作業に入っている者以外の人員で会議となったが…

 

流石に全員が入りきらないので各艦のグリーフィングルームに集合、そこから各艦と映像を繋いでいる状態だ。

 

ちなみに勇者達はサイズの問題で格納庫からである。

 

恐らく多種多様の視点から意見を聞きたいのだろう。

 

 

「この場に居ない者もいるが、ミーティングを始める。」

「まずはクジョウ少尉から不在時から今回までの行動を説明して貰いたい。」

「了解しました。」

 

 

私はキョウスケ中尉達と共にカガリら四名を逃がした後、黒のカリスマと名乗る人物の襲撃を受けた事から説明を始めた。

 

その際、何かの転移?に巻き込まれ…その反動でガーリオン・カスタムは大破。

 

私自身も負傷し身動きが取れなくなってしまった。

 

転移先でアラン・ハリスと言う情報屋に救われ、彼の伝手で傷を癒しつつガーリオンを修復。

 

動ける様になり、ノードゥスの部隊を合流しようとした所で再び転移?に巻き込まれ…

 

閉鎖空間に囚われたパラダイム・シティに飛ばされた。

 

そこでランド一行と再会しグローリースターのセツコ少尉、街の住民であるロジャー・スミスと出会った。

 

セツコ少尉の協力もあり、ガーリオンを完全修復。

 

日々、街で暴れる悪党風情を倒しつつ帰還の方法を模索する中でアサキムのシュロウガが襲撃。

 

シュロウガとの戦闘で再び転移に巻き込まれ、アラスカへ街ごと転移。

 

その後、アラスカ基地の救助でアークエンジェル隊と再会したものの…

 

ザフト降下大隊による奇襲に巻き込まれ、応戦したが戦略兵器サイクロプス起動に伴い基地を放棄。

 

サイクロプス発動時は敵味方関係なく巻き込まれた。

 

これを発動させたのが三輪防人元長官らタカ派一派である。

 

サイクロプス発動における離脱戦でキラ達と再会。

 

再会したキラ達と共に負傷した人達を回収しつつ基地を脱出後、ラングレー基地で補給しこの第六エリアへ赴いた。

 

第六エリアまでの移動時に例のブルーロータスのメッセージ携えた破嵐万丈氏と合流。

 

メッセージの内容から第六エリアへ向かったノードゥスが危機的状況であると判明。

 

そして部隊にカイメラ隊と言う敵の影が潜んでいる事も…

 

現場に急行後、同士討ちの乱戦状態のノードゥスメンバーを止める為に私達が先行。

 

その後、様子を伺いつつアークエンジェルとドミニオン両艦の戦力を出撃させて敵を一掃する作戦を決行。

 

カイメラ隊が本性を晒した事で罠の真実も信用性が出たのもある。

 

そして真実を知ったランドさんとセツコ少尉のスフィアが完全覚醒、二人の反作用もこれにより消えた。

 

私とロサも無事に新モードを発揮しカイメラ隊を退かせる事が出来たと説明した。

 

 

「ここまでが私の行動経歴です。」

「ご苦労、そのアラン・ハリスと言う人物は一体?」

「情報屋と言うだけで経歴までは判りません、傷の治療とガーリオンの修復する代わりに自身の護衛だけで構わないと言われた位ですから。」

「ふむ。」

「結局、私が再度の転移に巻き込まれたので彼の行方は判りません。」

「無事である事を祈ろう。」

「はい…(彼の偽名だけ出して置けばいずれ気づくでしょう。」

 

 

スフィアに関しては第五エリアである程度情報が明確になっていたので知らなかったのだ第四エリアで行方不明になっていた私だけだ。

 

そもそも周囲は知らないと認識しているが、私自身は耳にタコが出来る位にその事を知っている。

 

それが抱える闇も…

 

 

「次はキラ少尉、説明を始めてくれ。」

「判りました。」

 

 

続いてはキラの行方不明の間の経緯説明だ。

 

彼は追撃してきた黒のカリスマのレムレースではなく、アサキムのシュロウガによって撃墜された。

 

そして転移に巻き込まれプラントのコロニーが位置する近海に落とされたとの事だ。

 

発見したのはラクス・クラインの息のかかった人達。

 

今までプラントでは強硬派のザラ派と和平派のクライン派に分かれていたとの事。

 

だが、キラの親友で救援に駆けつけて来たジャスティスのパイロットのアスランより衝撃の事実が判明した。

 

ラウ・ル・クルーゼと言うザフトの士官がインスペクターへ鞍替えしたらしい。

 

これによりザフトはインスペクターの奇襲で建造中だった最終決戦兵器ジェネシスを奪われ、兵力の三割を失った。

 

ジェネシスが完成すれば地球圏のみならず、他のコロニー群や火星、木星まで攻撃が可能になってしまう。

 

現在はザフトが兵力を結集し奪還を試みているとの事だ。

 

アスランはザフトの代表者であるパトリック議長の指示で連合に停戦を受託して貰う為に使者として来たそうだ。

 

地球へ向かう道中、インスペクターの襲撃を受けてしまった為に矢も得ず新造MSのフリーダムとジャスティスで単機降下してきたとの事。

 

指示書は既にラングレー基地で仮設本部となったトリントン基地に送られているので各地でザフトとの停戦が始まっているだろう。

 

素直に応じてくれればいいのだが、それが出来ないのが世の常である。

 

捕虜となっているイザーク達についてはアスランと共にザフト側の使者と言う形でノードゥスに同行する様に指示を受けているとの事だ。

 

 

「以上です。」

「それではアスラン君とイザーク君達はアークエンジェルとドミニオン両艦の元で行動して貰いたい。」

「判りました、こちら側の要件を聞き入れて下さりありがとう御座います。」

 

 

そして第五エリアでの出来事に入る。

 

ここでは少々厄介な事が起きており、転移騒動で様々な人々が転移してきたらしい。

 

髭ガンダムこと∀ガンダムを操縦するロラン。

 

ツインサテライトキャノンのダブルXを操縦するガロード。

 

オーバーマンを操るゲームキングのゲイナー。

 

トラパーと呼ばれる物質で空をサーフィンする月光号クルー。

 

シビリアンのジロン一行。

 

時空振動弾によって飛ばされてきた特異点の二人とファクトリーの一行。

 

アクエリオンを操るDEAVA一行。

 

元々こちら側の世界に居たグランナイツ。

 

前回一緒に戦ったリガ・ミリティア、国際警察機構の大作君と銀鈴さん。

 

等々、Z組の半分などが転移していたとの事。

 

話を聞く限り、修羅場は終わった後らしく今後の戦闘で彼らの敵が出て来る事は無いだろうとの事。

 

そして第五エリアでは勇者組の飛ばされた仲間のほぼ全員が合流出来たらしい。

 

GGGで超竜神と言う勇者ロボが原種との戦いで行方不明になっていたのがつい最近発見された。

 

そろそろ腕原種と腸原種の襲撃の鉢合せの頃だろうか。

 

これは記憶保持者達が一斉に行方不明になった事が関わっている。

 

彼らは何処へ飛ばされたのか、今の私には調べる事が出来ない。

 

ただ言える事は何かの意思が関わったとの事だ。

 

未だアカシックレコードからの連絡がないまま連絡会は終わりを告げた。

 

 

******

 

 

各艦の修理にまだ時間が掛かるとの事で交代で周囲の警戒と待機の命令が下された。

 

私はロサと共に行方不明の間に加わった新たな仲間達に自己紹介を兼ねて挨拶周りに向かった。

 

カイメラ隊との戦いでキレ芸を見せた為に年少組にドン引きされてしまったが、話し合いで何とか分かって貰えた。

 

ゲイナー、ガロード、レントンの恋バナを横から聞いたり。

 

シルヴィアから念動力の件で手合わせをしたり。

 

宗介軍曹からは護衛対象の千鳥かなめを紹介して貰ったりしていた。

 

ロサは念願の光竜と闇竜に出遭い、乙女な会話が続いている。

 

GGGのメンバーとはアラスカ行きの道中で紹介を受けたらしい。

 

後にバーチャロンのメンバーと遭遇したらしたらで女の子ロボットが増える予感がしなくもない。

 

 

「かなめは陣代高校の生徒さんなのね。」

「ハスミさんは何処の高校だったんですか?」

「最終は東城学園よ、でも大学を出てたし学生生活をしたいって思って高校に通学していたかな。」

「だっ大学!?」

「旧連邦大学…今は連合大学だったかな、そこの通信課程で卒業しているわ。」

「すごい…」

「…まあ学生生活半ばで去年の幕張事件に巻き込まれて軍に入隊って事になっちゃったけどね。」

「色々と大変だったんですね。」

「生きる為と思えば何とでもなっちゃうみたいね、それにしても陣代高校か…あの人元気にしているかな?」

「あの人?」

「大貫さんって人で以前は東城学園の用務員をしていたの。」

「え?」

「あの人、元国際警察機構のエキスパートで殺伐とした空気が嫌になって学校の管理職に転職したのよ。」

 

 

「「…!?」」

 

 

「軍曹、かなめ、二人ともどうしたの?」

 

 

現在の宗介とかなめの表情はサーっと青くなり、某借金さんの借金が加算される時に流れるBGMがバックに流れる様な空気へと変貌した。

 

 

「L5戦役が終わった頃に出向先の梁山泊で紹介されてね、そこで色々とお話をした後…手合わせもしたわよ?」

「まさか…?」

「盛大に負けちゃった、凄いよね…チェンソー二刀流何て初めて見たわ。(遠い目」

「…」

「は、ハスミさん?」

「ちなみにあの人には伝説があってね、カトリーヌとかグレースって女性の名前を付けた飼育動物並びに植物に何かあったら九大天王が出張る位の暴走したって珍事が起こっていたんですって。」

「ソースケ、聞いた?」

「少尉殿、それは誠ですが?」

「詳しく聞きたいなら銀鈴さんに聞くと良いわよ、当時の暴走の現場に居たらしいから。」

 

 

だから、今後…鯉とか桜の木に何かするなよと遠回しに軍曹に注意しておく私であった。

 

 

=続=

 




暗黒の世界。

記憶を持つ者達は己の存在意義を問われる。

変えた先の未来の代償。

肩代わりの先を知る事となる。


次回、幻影のエトランゼ・第三十一話 『決心《ケツイノココロ》前編』


それは一つの道筋。



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