この代償はその証。
その証を胸に前を向け。
いつの日か終息の日を迎えるその日まで。
デビルウルタリアの陥落による墜落。
DGの完全なる破壊。
シャドウミラーの事実上壊滅。
主だった敵侵攻部隊の撤退。
第三エリアの支配者であるドーザの消滅。
以上により第三エリアでの戦いは終息の道を辿る事となった。
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「では、私達はこのウルタリアの処理に専念いたします。」
エルンスト機関代表であるキャオス・レールは今回の事件を引き起こした責任を取る事を決め、デビルウルタリアの事後処理を引き受ける事となった。
イオニア一行に連絡役としてリバリスと言う青年が加入。
搭乗機はアルシグノス。
イオニア一行の中核となっていた稲葉駆。
彼の弟である天音が解放された事により悪意は消え抜け殻となった為である。
調査の結果、特に問題はないとの事でリバリスがパイロットとして搭乗する事となった。
よくある使えるものは使うと言うスタンスである。
だが、イオニア一行は引き続き第三エリアの防衛に当たる事となった。
理由は撤退をしたもののポセイダル軍、ドン・ハルマゲ軍、邪竜一族の勢力が弱くなった訳ではない。
再び、睨み合いが続く以上は監視を続ける事となった。
とりあえず、この現状が回復するまでマーダル軍の共闘期間が伸びた事は救いだろう。
続けてシャドウミラーの件であるが…
首魁のヴィンテル・マウザーは逃亡。
同幹部のレモン・ブロウニングら所属の兵士達は投降する形となった。
アクセル中尉の説得もあり、戦う理由を失った以上は彼女達も何もしないだろう。
シャドウミラーから接収した一部の機体はこちらで拝借する形となった。
お察しの通り、ラーズアングリフ等の機体である。
搭乗パイロットが居ない以上は暫く倉庫入りだが致し方無い。
次のエリアでカーラ達と無事に合流出来れば乗り換え機として使用する事になっている。
そして問題のDGですが…
後に伝説化されてしまう地球三大告白の一つをしてしまった為にお二人様は色々と修羅場中である。
勿論、グランドマスターガンダムを駆るウルベは倒されましたが…
二人には代償と言うモノが架せられた。
二人の身体に精霊石を媒介としたDG細胞の欠片が残留してしまったのである。
精霊石は人間の心…つまり精神部分に作用する為、二人の『ずっと一緒』と言う強い想いが呪いと化してしまったのだ。
調査の結果、このDG細胞は取り除けず体内に残留するが感染させる事もする事も無い事が判明した。
つまり休眠状態になっているらしい。
今の所、異常は見られないので様子見となったのである。
二人もそれを承知している、後は本人達の判断に任せる事となった。
ちなみに私のエクリプスが取り込んでしまった精霊石はと言うと…
戦闘中に不可抗力で取り込んでしまったが事情が事情なので差し上げますと言われてしまった。
まあ…物凄く物騒なモノが入ってますけど、ありがたく拝借致しました。
そもそもこれココにあったら危ないだろうし…
問題のスフィアを一つ確保出来ただけでも大きな進歩です。
その代わり、厄介な反作用とフルバトルする羽目になりますが…
またコーヒーとノー○ンの服薬量が増えそうです。
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「それじゃあ、真一達は元に戻れるんですか!?」
「時間は掛かるがこちらで治療を続けよう。」
「よ…良かった。」
セフィーロ城にて。
クレフと話す赤いTシャツがトレードマークの少年。
名前は大牙剣。
善神アーガマの遺産である獣神ライガーを操りドラゴ帝国と戦っていた少年である。
彼の友人である真一と言う少年がドーザが創り上げた『お子様ランド』と呼ばれる牢獄に囚われていたのだ。
ドーザが倒れた事でそこに捕らえられていた子供達は解放されたが…
潜入したドラゴ帝国の将が罠を仕掛けていたのだ。
捕えられていた一部の子供達に鬼虫と呼ばれる生物を寄生させられてしまったのだ。
鬼虫とは人間を魔竜戦士に変化させてしまう非人道的行為の代物。
寄生された人間は魔竜戦士となりドラゴ帝国の傀儡と成り果ててしまう。
寄生してしまうと現代の技術を持ってしても元に戻す事は不可能。
寄生させられた子供達の命を散らすかと思ったが…
助け船を出したのがセフィーロの魔術師達であった。
彼らの中に錬金術に精通した術者がおり、寄生した鬼虫を子供達から引き剥がす事が可能だと判ったのだ。
お子様ランドに捕らえられていた子供達は検査の後に元の親元へ帰れるまでセフィーロが保護すると申し出もあり、ノードゥスはそれを承諾。
繰り返す筈だった悲劇がまた一つ消えたのである。
同時刻セフィーロ城・城内にて。
「ロサ、どう?」
「何だろう、力が湧いてくる様な感じがする。」
「シズマが土のアフェタを取り戻した事でロサも本領が発揮できる様になったみたいね。」
勇者チームの戦いでドーザから土のアフェタを取り戻した事により地の属性の能力が戻った。
機神・エザフォスも地の属性を持つので本来の力を取り戻したのである。
ATXチームは休憩中にその話を城の一角で行っていた。
「じゃ、ロサちゃんもスーパーモードとか使えたりして?」
「わ、判りません…使った事もないです。」
「ロサ、いつもの悪態だ…気にするな。」
「うーん、でも使える様に練習してみます。」
「少尉…」
「あらら、まあ結果オーライって事で。」
「ロサも練習するなら私も使える様に修行してみようかな?」
「ハスミちゃんまで梁山泊流に染まっちゃった?」
「備えあれば患いなしですよ。」
「それ以上強くなったらお婿さんが来なくなるわよ。」
「その時はその時です…(私はあの人以外愛する事は無いですし。」
「ブリット君も大変ね、ますます差を着けられちゃうわよ?」
「言わないでください。」
「ブリッドは攻撃時に自分の性格が出るからそこを何とかしないと何時まで経ってもゼンガー少佐からも一本取れないわよ?」
「やっぱりか、自分でも直そうとはしているんだが…」
「素直って言うのも時には大事だし、少しずつ直していけばいいんじゃないかな?」
「そうよ、そこがブリッド君の良い所だもの…私はブリット君のそう言う所が好きよ。」
「クスハ///」
「あらら、クスハちゃん…しっかり止め刺してるわよ?」
「キョウスケ中尉、アクセル中尉とラミア少尉は?」
「二人は例のレモン・ブロウニングと話している。」
「聞いた時は吃驚したわよ、あの人向こう側の私らしいのよね。」
「平行世界のエクセレン少尉って事ですか?」
「まあ、向こうでも色々とあった様だし…あんまり深く聞くものじゃないわね。」
「…」
「でもね、私は私よ、あの人がレモンである様にね。」
変えてしまった結末はいつの日か新たな戦いを招くかもしれない。
それでも変えられるのなら、その先の未来を見てみたい。
私はそう思ってしまうのだ。
同時刻、イオニア艦内・治療室。
「本当にいいんだな?」
「レインと二人で決めた、俺は…俺達はこのまま抱えていく。」
「父さん達が聞いたら卒倒する話だぞ?」
「俺の無茶はいつもの事だろう?」
「今回の無茶は度合いが違うがな。」
治療室にて検査を終えて話し合うカッシュ兄弟とレイン。
ドモンとレインの体内に残留したDG細胞の件である。
二人は一生抱えていくと決めた事を告げたばかりである。
「唯一の救いは表皮にDG細胞が出ていない事だけか…」
「感情の高ぶりで浮き出る事はある…でしたね。」
「ある程度は衣服で隠せると思うが人前に出る時は十分注意してくれ。」
「判りました。」
「弟には花嫁で俺達には可愛い義妹が出来るんだ、その位は出来ないとね。」
「に、兄さん///」
「もう、キョウジさんったら。」
「キョウジ、揶揄い過ぎだぞ?」
「シュバルツ、貴方だって満更でもないんだろう?」
「そうかもしれん。」
兄弟に揶揄い続けられながらドモンはある気配に気が付いた。
「!」
「ドモン、どうしたの?」
「いや、何でもない…」
「そう、ならいいのよ。」
「…(貴方も来ていましたか、師匠。」
******
第三エリア某所にて…
「マスター、彼に会わなくて良いのですか?」
「構わん、あ奴もこちらには気づいておる。」
「ほぉ、さすがはマスターの弟子か?」
「ふん、成長はしたようだが…まだまだ青二才だ。」
「ふふっ、素直ではない所もそっくりと思いますよ?」
ノードゥス並びに寄せ集め部隊が中継地点としているセフィーロ城を一望出来る場所にて。
それぞれが特徴的な服装を纏った五名の人影がその様子を伺っていた。
「マスター、私達を集めたのは?」
「とうとう奴らが動き出しおった。」
「まさか…!」
「人類の歴史を影より支配して来た存在…クロノがな。」
「クロノ…初代シャッフル同盟の方々もその素性を掴めずにいた例の組織ですね。」
「ブルーロータスと言う輩がワシに接触し…その事を伝えたのだ。」
「その組織が動き始めると?」
「その通りだ、ワシらもまた奴らとの戦いに備えねばならん。」
「元より覚悟は決めている。」
「我らシャッフルの悲願でもありましたから。」
ドモンよ、ワシらは影よりお前達を見守ろう。
いずれ同じ道を進む時、その姿を現す。
その時まで奴らの毒牙に気を付けよ。
奴らは巧みに人を陥れ堕落させる。
それが奴ら…クロノだ。
記憶を持つお前ならそれを看破出来るだろう。
******
その後、私達は部隊の再編を行った後…
第四エリアへ向かう事となった。
最後のアフェタである水のアフェタを取り戻す為に。
私達は進むしかない。
ちなみに第一エリアのゾンダーとの決戦は終息を迎えた。
しかしGGGは弾丸X使用によりその多くが戦闘不能に陥り、現在も修理中との事だ。
これ以降のゾンダーの発生が無くなったが…
もう一つの事件が起こってしまった。
早咲きラダム樹である。
どうやらラダム獣は東京にも忍び込んでおり、素粒子ZOに反応し開花。
東京に居た住民を取り込み素体テッカマンを生み出す所であったが…
GGG北米支部が開発した対ラダム用ディスクXの効力により素体となった人々は救助された。
これも新たな流れの始まりだったのかもしれない。
だが、進むしかないのだ。
それが必然なのだから…
=続=
それぞれの決意を胸に。
未来は紡がれる。
これもまた試練の始まり。
次回、幻影のエトランゼ・第二十三話 『魔海《マカイ》前編』。
魔物蔓延る海の果てに待ち受けるモノとは?