幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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誰もが願う想い。

紡がれた想いは一つへと向かう。




第百二十二話 『紡想《ツムグオモイ》』

 

メメントモリ騒動から数か月が経過した。

 

今回の様に報告が出来なかったのも色々と立て込んでいた事が原因だ。

 

水面下で行動を行っていたギャラクシー船団、イノベイトに取り込まれたアロウズ残党、ムゲ・ゾルトバス。

 

アンチスパイラル、インベーダー、ゲシュタルトことザール星間連合が一手に動き出したのだ。

 

よっぽど地獄すら生温い…手痛い目を見たいらしいので部隊編成を行いZEXISへ援助を行った。

 

結果、再世戦争で主な勢力はその威力を失い敗退していった。

 

 

まずアロウズは此方側での世界での地球連邦軍によって逮捕され数多くの余罪と共に解体の道を辿った。

 

史実とは異なる方法。

 

沙慈・クロスロードに代わりルイス・ハレヴィがOO・ライザーに搭乗し刹那を補助。

 

逆にイノベイトに洗脳され、レグナントに搭乗させられた沙慈を救うべく奮闘。

 

ユーサー皇子の協力もあり、尽きぬ水瓶の力を発動。

 

相乗効果で引き起こされた真のGN粒子の拡散。

 

これによりイノベイトの放った制御ナノマシンを沈黙させ、沙慈を救助した。

 

サージェスもダブルロックオンの奮闘で遭えなく撃沈した。

 

さよなら、消臭デオドラントスプレーを貴方の墓前にでも供えて置こう。

 

リボンズに関してはキッチリ刹那が引導を渡したので、ヴェーダの奥に居るオリジナルが暴走しない限りは引っ込んでいると思われる。

 

 

ギャラクシー船団は和解の道があると判断されたバジュラを操った事で敵対勢力と見做され殲滅。

 

生き残りも軒並み捕縛され、処罰を待つだけだった。

 

イツワリノウタヒメ?サヨナラノツバサ?させるかボケぇ!!と言いたい。

 

 

アンチスパイラルは一度だけ動きを見せたが…

 

ガイオウやアウストラリスの姿を見るや姿を消してしまい、その後の行方は掴めていない。

 

螺旋王の娘・ニアに関しては特に変化はなく…シモンと慎ましく行動している。

 

え?X-Ωネタが降臨しちゃった系ですか?と言って置く。

 

 

インベーダーは覚醒した竜馬やゴウ達の奮闘もあり、此方側に転移していた奴らは殲滅。

 

但し、早乙女博士と言う犠牲は免れなかった。

 

スフィアの力を使えば、助けられた。

 

だが、博士はそれを拒否した。

 

長い一言で言えば“終焉の銀河の為に旅立った”としか言えない。

 

コーウェンとスティンガーの奴らも手駒を失った以上、補充が済むまでは動けずにいるだろう。

 

 

******

 

 

所変わって、アーカーシャの剣が安置された空間。

 

 

ゼロがブリタニア皇帝・シャルルと対峙していた。

 

ゼロの背後にスザクとC.C…何故かシュナイゼルと私ことハスミが立ち会っている。

 

理由は私達のゼロ・レクイエムルート妨害に伴い…

 

ブリタニア帝国が植民地とする全てのエリアで同時内乱が発生。

 

どうやら求めていた結果を出せなかった無限力からの厭らしい八つ当たりである。

 

 

現在、ZEXISとZEUTHに超合衆国が内乱を抑えている状態。

 

イグジスタンスもこれに介入している。

 

その中で神根島へ向かったシャルルを追い込むべくゼロ達が向かったのである。

 

V.Vに関しては既にコードを奪われて戦死。

 

これはマリアンヌに扮したエンデの思惑だろう。

 

エグイ位にシャルルから絶望を取り込もうとしている。

 

どうやら、アル・ワースのタルテソス王国跡地から交信中の様だ。

 

 

長々しい話の後、史実通り…

 

シャルルは今を、ゼロが明日を、それぞれ求めた。

 

私は話の切りが良い所で、さり気無く伝える。

 

 

 

「シャルル皇帝、その隣にいる方は貴方の大切な人ですか?」

「愚問だな。」

「…本当にですか?」

「戯言を…マリアンヌは世の!?」

 

 

私はスフィアの力で真実を晒した。

 

シャルルの横にいるマリアンヌの本当の姿を見せたのだ。

 

 

「マリアンヌ…ではない?」

「…」

 

 

そこに居たのはマリアンヌの皮を被っていただけの得体の知れないナニカ。

 

エンデが生み出した偽物…マリアンヌの姿を投影しただけの影だ。

 

 

「成程、知りたがる山羊の力か…?」

「ええ、頃合いと思ったので。」

 

 

これにはゼロことルルーシュも納得した表情で答えた。

 

 

「シャルルよ、その化け物を母マリアンヌだと思うか!?」

「…」

「皇帝、貴方の愛した妃は既に喰われていたのです。」

「喰われた、だと?」

「この多元地球を生み出した存在……エンデによって。」

「陛下!?」

 

 

エンデの名を告げると同時に影に襲われるシャルル。

 

これにはシュナイゼルやスザクもC.Cも一足遅くシャルルは負傷した。

 

私は被害が拡大しない内に影を断ち切った。

 

 

「陛下!」

「…」

「シャルル…!」

 

 

シュナイゼルとC.Cが駆け寄るが、傷が深く手遅れである事は事実。

 

ただ一つ違う点があった。

 

それはルルーシュを庇った事だ。

 

あの影はルルーシュを狙っていた。

 

それに感づいたシャルルが庇ったのである。

 

ルルーシュは血反吐を吐くシャルルに問い詰めた。

 

 

「何故だ…?」

「今が明日へ…切り替わっただけの事…」

「っ!?」

「絶望…の明…日やも…しれん、ぞ?」

「それでも俺達は明日を求める…!」

「みずから、いばらのみちを、あゆむか…」

 

 

シャルルの不死のコードが機能していない所を見ると既に…

 

 

「ゆけ、ていこくは……おわる。」

「シャルル…」

「ルル…シュ…ナナリー…シュナ…イゼ…この場に居ぬ我が…子らよ…」

 

 

シャルルは最後の言葉を告げて息絶えた。

 

帝国の終焉と実の子供らへ幸あれと告げて…

 

 

「…父上。」

「ルルーシュ、陛下は崩御された。」

「ああ…」

「帝位継承権争いは免れない。」

 

 

このまま帝国が続けば、生き残った者達で利権争いが起こるだろう。

 

シュナイゼルはルルーシュに告げる。

 

 

「君はどうする?」

「…帝国を解体し共和国へ転換させる。」

「判った。」

「兄上、何故?」

「トレーズから君らの事は聞かされていた…後はルルーシュ、君次第と思っただけさ。」

「…(成程、兄上…貴方もまた記憶を。」

 

 

スザクとC.Cは今後の方針をルルーシュに尋ねた。

 

 

「ルルーシュ、このまま帝位を継ぐのかい?」

「それをするにも内乱を止めねばなるまい。」

「帝位を継いで、帝国自体を解体するのでいいのか?」

「ああ…黒の騎士団・ゼロにも一芝居売って貰う必要があるがな?」

 

 

ルルーシュの言いたい事は理解している。

 

晒していい真実と隠すべき虚偽。

 

彼もまた業を背負う覚悟を決めたのだろう。

 

 

 

「ゼロ、アーカーシャの剣をどうする?」

 

 

私は念の為、例の件をルルーシュに告げた。

 

 

「無論、ここを破壊する。」

「…ジルクニスタンの一件を抑える為?」

「ああ。」

「それでも止められなければ?」

「止めるさ、絶対にな?」

「…(相変わらず、アンジュといい勝負の悪顔だ事。」

 

 

私はアーカーシャの剣の件をゼロ達に託してその場を去った。

 

その後、内乱は収拾され。

 

ブリタニア皇帝の崩御を切っ掛けにブリタニア軍は停止。

 

シュナイゼルが指揮を執って帝国へエリアに分散した戦力を引き戻した。

 

事後処理はシュナイゼルが行い、帝国解体を皇族へ戻ったルルーシュが進めるだろう。

 

これで再世編の戦いは終わりを迎える。

 

残るは暴食の獣だけだ…

 

 

=続=

 





目覚めた暴食の獣。

鉄の器に収められた悪意を断ち切る為に。

戦士達は集結する。


次回、幻影のエトランゼ・第百二十三話『暴獣《エンデ》』


戦い抜け、最終審判の日は近い。

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