考察し作戦を立てる。
知らぬ戦いは本番。
だが、対抗出来るのであれば…
考えるべきである。
メメントモリからの低軌道レーザー照射による理不尽な破壊。
アロウズに楯突くもの達を射貫く為に。
それはリモネシア共和国も含まれていた。
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ZEXISによるメメントモリ破壊ミッションが行われる数時間前。
<リモネシア共和国・政庁>
最下層の円卓の間でクロウ、ランド、セツコ、ユーサー、アサキムを除いたリアクター達が集結。
クロウら三人はZEXIS、ユーサーとアサキムはアル・ワースでの事後処理で別行動を取っている。
前世で発生した多元世界のメメントモリで引き起こされた騒動に関して話し合っていた。
ハスミから齎された情報。
多元世界の連邦軍内でクーデターが発生。
クーデター組によってアフリカ本土にある起動エレベーターのステーションが占拠される。
当日、施設を利用していた六万人の民間人の人質を利用しアロウズの悪行を世に知らしめる為である。
だが、裏を返せば彼らこそアロウズの強硬介入を許してしまう行為だった。
その結果、イノベイターが仕掛けたシナリオ…
彼らがクーデターを引き起こして六万人の人質を虐殺すると言う暴挙に出た。
と言う最悪の結末を付け加えられる。
ソレスタルビーイングがレーザー管制を行う司令フロアを破壊したのと同時に起動エレベーターを掠める形でレーザーが照射。
これにより起動エレベーターを構成する箇所が破損し地上へ大量のピラーが落下する。
この時はその場の武器を持つ者達がピラー破壊に協力し邪魔をする者をZEXISが排除した形だ。
だが、一部で悲劇が起こり…アロウズの優位性が確立されてしまう結末を迎えた。
「以上が私の知るメメントモリ攻防戦における事の顛末です。」
「何処の世界にも愚か者は存在する…か。」
ハスミの説明を聞き終わり、開口一番に言葉を漏らすアウストラリス。
「既に起動エレベーター内部に殺人ドローン…オートマトンが搬入されている頃でしょう。」
「仕立て人は例のサーシェスって奴か?」
「その通りです。」
「ハスミさん、見殺しにはしないんですよね?」
ガドライトさんとヒビキの質問通り…見捨てる事はしない。
既に手は打ってある。
「アイムさん、ハーキュリー大佐の様子はどうでした?」
「貴方が話した通りの状況でした…ある程度の揺さぶりを掛けたら話に応じて貰えましたけど。」
「彼の身辺を固めていた軍人にイノベイト型が居なかった事が幸いでした。」
「でしょうね、イノベイト型が居ればイノベイター側に情報は筒抜けでしょう。」
「ですが、クーデターを起こした事で情報は漏れている。」
彼らがクーデターを起こした直後、アイムさんに偽装した姿でイグジスタンスの使者を演じて貰った。
その場にロシアの荒熊ことスミルノフ大佐も居たので仲裁役を頼んだ形だ。
偽装したアイムさんよりある程度のオブラートに包んだ状態で事の顛末を説明。
このクーデターによってアロウズは更なる優位性を確立してしまう事を…
逆にアロウズの失態を世に知らしめるのであれば、別の形で協力すると告げて貰った。
「クーデターに参加した軍人のリストに偽名でしたが…サーシェスがいたので介入する形を取りました。」
「で、僕らはどうすればいい?」
「…様子見か?」
「クロウさん達がメメントモリからのレーザー照射を食い止める手筈ですが、何者かの介入を踏まえて地上で待機し対応する形を取ります。」
バルビエルと尸空の質問にハスミは答える。
「出るのは良いが…国連の連中が黙っていると思わねえけどな?」
「口だけの相手には言わせておけばいいでしょう…碌な対応もしない屑に用はないです。」
ガイオウの言う通り、これを期にリモネシア共和国とイグジスタンスのやり方に異議を唱える者が出るだろう。
ありきたりな事だとクーデター組と手を組んでいたと言うワンパターンである。
「そうだね、撃ってくるならこっちも構えるだけさ。」
「世間はどちらを支援するでしょうね…碌な対応もしなかった自分達か、率先して動いた此方か?」
エルーナとハスミは冷徹な声で告げる。
エルーナはもっとな理由で戦う口実を得た事。
ハスミは理不尽に対する静かな怒りである事は間違いない。
「何にせよ、我らが出向く必要があるだろう。」
イグジスタンス代表のアウストラリスの宣言により…
イグジスタンスはメメントモリ攻略戦に介入する形となった。
=続=