本番はここから。
お前は許されない。
さあ、始めようか?
前回、アウストラリスことヴィルダークによってハスミが助け出された後。
デビルアルゼナルと同化したエンブリヲ。
薄皮一枚の命を繋ぎ止めたと思われたが…
それは彼にとって恐るべき恐怖の始まりだった。
*******
「皆の者…この者は俺達との戦いを継続する様だ。」
アウストラリスの発言によって恋人や仲間を攫われた男性陣の矛先をエンブリヲへ向けさせた。
デビルアルゼナルをただ倒すだけで終わる筈がないのだ。
「アウストラリス、徹底的にやっちまっていいんだな?」
「ああ…再生する事が如何に苦痛であるかを知る良い機会だろう?」
殴り足りないガイオウの発言に同意するアウストラリス。
体の良いサンドバックが目処前に存在するのだ。
ここぞとばかりに使わなければ意味がない。
「…ハスミ達を侮辱した奴に慈悲は必要ない。」
「なら、遠慮は要らないな?」
「同感。」
「あの変態にはそれ相応の苦痛を与えてやるよ…」
「…消す。」
「今日だけは俺もクラッシャーを名乗ってやるぜ!」
「同意するぜ、あの糞野郎を仕留める。」
アウストラリスの号令の下に…
ガドライト、ヒビキ、バルビエル、尸空、ランド、クロウの恨みの声。
イグジスタンスの男性リアクター勢を筆頭に気力は臨界点突破済みである。
「僕らも続こうか?」
「…彼女を辱めた者を余も許さん。」
「自分はリアクターではないが、エルーナ様に…あの様な事を!」
アサキム、ユーサー、ダバラーンの怒りの声。
「あの自称調律者君はやり過ぎた……何度でも仕留めて上げよう。」
パパ同盟の一人である光龍ですら止めようない状態である。
ちなみにカーウァイとテンペストはミスルギ皇国から離脱し反乱を起こしたゾギリア軍が衛星兵器を使用しようとしていたので牽制に出ている。
本来であれば、ここへ赴きたかっただろうが…
娘奪還の役目を実父である光龍に譲ったのである。
「よくもステラ達をっ!!」
「修正じゃないな……抹消してやるよ。」
シンとカミーユを筆頭に怒りが沸点へと到達済みのガンダム組。
彼らを始めとした他の面々も続々と気力限界突破を迎えた。
目処前のデビルアルゼナルはヨカッタネを取り込んだ事で無限再生を可能としていた。
なら、する事はただ一つ…
再生が出来ない状態までありとあらゆる攻撃を加えるだけだ。
何度も破壊され再生を繰り返す。
延々と続く恨み辛みを発散させる戦いの幕開けである。
「まずは俺達からだ!」
イグジスタンスの先行。
順に各機体の必殺技を叩き込んだ。
天変地異から次元崩壊を引き起こすレベルなのでHP10位にズタボロにされる。
~デビルアルゼナル・再生その1~
「テメェのやり方にはウンザリなんだよ!!」
「……此方としても鬱憤は晴らさせて貰いましょう。」
凶悪顔となったマサキとシュウの表情。
サイ・フラッシュとブラックホール・クラスターの同時攻撃で再びHP10へ。
~デビルアルゼナル・再生その2~
「いやいや、ここでくたばって貰うと困るんだよね?」
顔は笑顔であるが笑っていない光龍の念動の圧。
応龍轟雷槍による攻撃でギリギリHP1へ。
~デビルアルゼナル・再生その3~
「カミーユ、同時に!!」
「ああ!」
ZEXISのガンダム組による攻撃。
「ハマーン様の仇っ!!」
「ルーやリィナを狙いやがって!!」
「トビア、合わせろ!!」
「了解です、シーブックさん!」
エクスクロスのガンダム組による追撃。
再びHP10へ。
~デビルアルゼナル・再生その4~
「まだまだ終わらねえぜ?」
ガイオウによる鬱憤晴らしによってHP10へ。
~閑話休題~
この様にギリギリ削っては再生させるループが延々と続いたのである。
その様は恐るべきと言ってもいいだろう。
恋人や仲間と無理やり戦わさせられたのだ。
これ位の怒りが収まる筈がない。
ちなみに攻撃に参加していない艦長達の気力は真っ白に燃え尽きている。
こんな光景を見せられたのだ現実逃避しようにも既に胃が限界を超えた。
「ねえ、アンジュ…」
「ヴィヴィアンどうしたの?」
「これってさ?いつまで続くの?」
「気が済むまでじゃない?」
「えー!!」
役目を終えて戦闘に参加せず待機していたアルゼナルのメンバー達。
「でもいいじゃない?」
「へ?」
「あの糞ジジイを何度もいたぶれるのだから…」
「えげつねぇ!」
アンジュとヴィヴィアンの会話に対し。
「あのね…気持ちは解るけど。」
「サリア、それは言いっこなしだぜ?」
「そうだよ。」
「私達がエンブリヲに騙された分もやってくれてるし。」
「私達は高みの見物かしらね?」
呆れたサリアにヒルダ達の観戦モードな発言が続いた。
「…」
変わり果てた疑似DG事件騒動の末路にドモンは静かに溜息を付く。
「奴の精神が木端微塵になるまで続くだろうな。」
救助し回収された女性達のDG細胞の除染作業が科学者組によって続く中…
このデビルアルゼナルの再生からの破壊作業は日没まで続いた。
最後のトドメは全員で必殺技を叩き込み、消し炭いや細胞の欠片すら残さず破壊しつくされたのである。
「…私もユーサー殿下達側に就いて正解だったわね。」
このエンブリヲとデビルアルゼナルの末路にマリリンは冷や汗を流すのだった。
ちなみにマリリンがスパイとしてエンブリヲの元へ下る前。
彼女はイグジスタンスがインペリウムを壊滅させたのを期にリモネシア共和国へ接触した。
それから話し合いの末の付き合いである。
「これだけの戦力を集めて銀河崩壊を防ぐって言うんだから…世界もまだ捨てたモノじゃないわね。」
一度は絶望し恨み辛みを抱えたまま破壊行動を行っていたマリリンらしからぬ発言。
彼女がまた悟った事も変異であった。
「…(エンデの復活に手を貸した存在。」
アウストラリスことヴィルダークによって避難し姫抱きにされたままのハスミ。
除染の順番待ちの為、先程のままの姿が続いていた。
「…(そして境界線の崩壊、か。」
ハスミはエンブリヲの茶番劇を観戦しつつ次の戦いを危惧していた。
=続=
=戦後報告書=
※エンブリヲ並びにデビルアルゼナル消滅。
※拉致された女性達の救助成功。
※同時にDG細胞の除染を開始。
※陽動部隊による他勢力の壊滅。
※ミスルギ皇国の崩壊から新たな君主による国家再生。
※アル・ワースと多元地球を隔てる境界線が崩壊。
※各世界の政府混乱につき状況収拾へ。
※エンブリヲと裏で繋がっていた存在を確認。