幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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円環は無数に存在する。

それは悪意の輪。



輪の付箋

 

とある多元世界にて。

 

 

~???~

 

 

認識する事も不明な色彩の異空間で複数の人物達が話し合っていた。

 

 

「いや~今回の戦乱も楽しませて貰った。」

 

 

ヘラヘラと笑っている緑ローブの人物。

 

 

「だが、これで彼らのシンカの要因たる戦いは遅延する。」

 

 

寡黙に答える赤ローブの人物。

 

 

「次はどんな戦いを仕込む?」

「ナルーダ、あの世界の担当である其方が決めるべきでは?」

 

 

ナルーダと呼ばれた白ローブの人物は答えた。

 

 

「期は熟していない。」

「成程、暫くは泳がせるって事か?」

「視る事に制限はないが、互いの領域には干渉もしない。」

 

 

緑と赤のローブはそれぞれの考えを答えた。

 

互いの領域は見る事は構わない。

 

但し、領域に手を加える事は許されない。

 

制約を破った者はそれ相応の罰が下される。

 

 

「自分達が育てた世界を他からの干渉を受けたくないし。」

「だからこそ制約は守られねばならない。」

「その割には君のお人形さんはいい働きをしているみたいだけど?」

「…」

 

 

緑のローブが飽き飽きした声で答える。

 

 

「早い所、あのオークションを開きたい。」

「それぞれの世界で覚醒したシンカの道を極めた者達…」

「そして高次元生命体。」

「多元オークションによって様々な戦乱に新たな兆しを与える。」

 

 

多元オークション。

 

彼らにとっての祭典。

 

そして…

 

 

「前回の目玉は『記憶』だっけ?」

「記憶の譲渡によって様々な世界へよりシンカの道を極めた者達が増え始めた。」

「次回は何を?」

「噂では『存在』だと聞いている?」

 

 

存在と言うカテゴリに対してナルーダを除いた二人は動揺する。

 

 

「存在?」

「ヤバいじゃないそれ?」

「スポンサー達は娯楽を求めている。」

「ややこしいね。」

「右に同じく。」

「最もな目玉商品は…ソル。」

 

 

白のローブが指を鳴らして一部の空間に映像を映し出す。

 

それは先の始原神ソルの力を引き出した戦士達の姿だった…

 

 

「彼らが?」

「そうだ。」

「面白そうなカードだね?」

 

 

ナルーダを含め、二人も映された映像を見る。

 

 

「彼らの真の覚醒をもってオークションは開催される。」

「その時が待ち遠しい。」

「それまではこっちも品定めしておかないと。」

 

ナルーダは開催の期日を答える。

 

彼らに時間の概念はない。

 

一瞬の戯れなのだから…

 

 

「以上で解散か?」

「ああ。」

「次に会う時はもっと楽しいイベントを期待しているよ。」

 

 

ナルーダを残して二人のローブの存在は去っていった。

 

 

「ふう。」

 

 

ナルーダはため息をついた後、座席を呼び出し座り込む。

 

 

「ソル、どう足掻いても彼らの覚醒は止まらない。」

 

 

そして天井に当たる部分に顔を向けて呟いた。

 

 

「そう望んだのは紛れもないお前なのだからな?」

 

 

彼らこそ世界の終焉たる鍵なのだから。

 

 

=続=


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