幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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知らされた真実。

事の次第と説明。

それはある意味で審議。




説の付箋

 

話は遡り、破界の王出現後の事である。

 

イグジスタンスの出現、連合軍のからの追撃を避ける為に撤退したZEXIS。

 

損傷を抱えたZEXISはエルガン代表との連絡が取れず、更なる危機に直面。

 

だが、イグジスタンスからの申し出で指定エリアに身を隠す提案をされた。

 

その指定エリアに一時身を隠すZEXIS…

 

通信越しであるが、イグジスタンス代表のアウストラリスより改めて連絡を受けた。

 

 

******

 

 

『この様な形であるが、改めて…俺はイグジスタンスの代表アウストラリス。』

「自分はマクロスクォーター艦長のジェフリー・ワイルダー。」

「黒の騎士団のゼロだ。」

「21世紀警備保障の戦術アドバイザーの城田志郎です。」

『ソレスタルビーイングの代表を外して貰った事に感謝する。』

 

 

この通信の前に通達が行われた。

 

イグジスタンスから指定エリアでの修理と補給を受ける代わりに対談を要求された。

 

ZEXISは修理と補給のアテが無かった為に了承するしかなかった。

 

修理用の備品や補給物資は事前確認も検分もZEXIS側に確認を取って貰っている。

 

騙す事もなく嘘偽りはない事は理解して貰えただろう。

 

そして対談を行う際はソレスタルビーイングの関係者を省く事も加えられた。

 

ゼロはソレスタルビーイングを外した理由をアウストラリスに質問した。

 

 

「何故、ソレスタルビーイングを外す必要が?」

『理由か?それは奴らを取り巻くヴェーダの眼だ。』

「…(やはり、この男は!」

『ヴェーダの眼は信用ならない…故に席を外して貰った。』

「判った。話し合いの結果はソレスタルビーイングに伝えても構わないか?」

『ああ、但し…他言無用で艦長のみ限定とする。』

「了解した。」

 

 

ゼロはアウストラリスの発言である事を確信した。

 

彼もまた記憶を持つ者であると…

 

 

「では、イグジスタンスの目的は何だ?」

『あの時に宣言した。』

「人類の敵を打ち倒す為だったか?」

『その通りだ。』

「その敵とは?」

『その多くについては今は明かせん…瓦解し掛けた者達には荷が重い。』

 

 

瓦解し掛けた者達はZEXISを指している。

 

部隊として立て直しがままならないものに教える事は出来ないと告げた。

 

 

「イグジスタンスはインぺリウムを追うのか?」

『奴らが仕掛けて来るなら対応する構えだ。』

「では、追う事はしないと?」

『この世界で起こった事はこの世界の者達が事の次第を収めるべきだ…余計な手出しはしない。』

「だが、世界はそちらを放って置く事はないだろう。」

 

 

ゼロは答える。

 

突如現れた災害級の災厄と対等に戦える戦力が現れた。

 

三大国家のみならず、その力を求めて見境なく攻め込んでくるだろう。

 

 

『では、どうしろと?』

「我々と協力体制を…」

『断る!』

 

 

ゼロの提案を全て聞く前に拒否の構えを取るアウストラリス。

 

 

「!?」

『それでは三大国家やそこらの俗物と同じく虎の威を借る狐と変わらん!』

「では、どうしろと?」

『行動で示せ。お前達ZEXISが我らの背を預けるに値するかをな?』

 

 

アウストラリスは今回の救援はその為のスタート地点であると答えた。

 

 

「成程、これから先で起こる苦難を自らの力で切り拓けと?」

『その通りだ。』

 

 

ジェフリーや城田も腑に落ちない表情であるが、今回ばかりはどうしようもない。

 

今の自分達は彼らの救援を受けた身であり、これ以上の要求は出来ない。

 

協力をしない代わりにアウストラリスは一つだけ約束をした。

 

 

『出現したラマリスに関してはこちらで対処する。あの脅威が少なければインぺリウムに立ち向かえるだろう。』

「そのラマリスとは一体?」

『あれは悪霊の一種…純粋な力が負の念に干渉して出現する存在だ。』

 

 

城田の質問にアウストラリスは答えた。

 

ラマリスとはその名の通りの存在であると…

 

死者の怨念が純粋な力に反応し生まれる存在。

 

負の感情が多ければ多い程に現出する。

 

この世界は特に負の念に満ち溢れていると告げた。

 

 

「俄かに信じがたいが…」

『別の世界では既に実例がある…現にラマリス退治を行える戦力も存在しているだろう?』

「別の世界?」

『元々、我々はその者の思惑によってこの世界に閉じ込められた……俺達が追う存在とはそう言う輩だ。』

 

 

意味を察すれば大時空振動をいとも簡単に行える存在。

 

破界の王はDECを利用しなければ扉を開く事はままならなかった。

 

現時点でZEXISがこの事に関しての詳しい詳細を知るのは後の事だが…

 

 

「では、もう一つ…そちらのハスミ・クジョウと言う人物と話をしたい。」

『話か…』

「彼女の仲間だった者達が事情を聞きたいと気にしているのでな。」

『判った。』

 

 

アウストラリスは控えていたハスミに目配せし通信に出させた。

 

 

「君がハスミ・クジョウか?」

『はい、初めまして…ZEXISの皆さん。』

「まず、聞きたいのは君はサイデリアルに囚われていたと言う件だ。」

 

 

ハスミはジェフリーらに問われた質問に一つずつ答えた。

 

事情があってサイデリアルに囚われていた事。

 

サイデリアルはある事情で現在のイグジスタンスへと改名し独自の行動を取っている事。

 

この世界に飛ばされたのはそれが理由の一つである事。

 

共に居る鋼龍戦隊には事情を話して共闘関係を築いている事。

 

リモネシア共和国の人々は生存し無事である事。

 

最後にクロスゲートの事。

 

 

「甲児君達が話していたクロスゲートに関してだが…」

『確かにクロスゲートがあれば…どこへでも転移は可能です。』

「あれば…とは?」

『この世界に強制転移させられた事で本来使用していたクロスゲートとの繋がりが途絶えてしまっています。』

 

 

この多元地球から出られない理由の一つ。

 

クロスゲートさえあれば何処へでも転移は可能だった。

 

現在はそれが出来ずにいる。

 

 

『他者の悪用を防ぐ為、元の世界のゲートに封印を施したのでどうしようもない状況です。』

「…(転移による戦法は攪乱どころが敵の意表を付く事となる。」

 

 

それが一方的に悪用されれば世界は地獄絵図と化すだろう。

 

いつどこで己の頸を狩られても可笑しくはないのだ。

 

 

『こちらでもこの多元世界を構築する事象を調査するのと同時に黒幕を追います。』

「黒幕?」

『あのアイムが単独でここまでの行動を起こす事は不可能です。』

「それを動かしている真の黒幕が存在すると?」

『その通りです。』

「何故、そこまで知れた?」

『アカシックレコードからの予言。』

「アカシックレコード?」

「…(まさか、アーカーシャの剣と同質の力か?」

『…と言っても断片しか判りませんけどね。』

「断片とは言え、奴らの目的が判るのだろう?」

『ええ、後か先かは運次第ですけどね。』

 

 

曖昧な発言。

 

予言は断片でありつつも災厄を防ぐ天啓。

 

使い方次第では狂信者すら生み出すだろう。

 

 

『既に甲児達が見境なく喋っていると思いましたので…事前にお教えした次第です。』

「そ、そうか…」

 

 

これに関してはハスミ自身も苦笑いで対応しゼロも同感して答えた。

 

後に口が軽いと言う理由でヒイロからソースケ愛用のゴム弾無双喰らった甲児だったりする。

 

ついでに歳を四~五年喰った竜馬達から拳骨の嵐も加わっていた。

 

 

『それにどんな小細工を仕掛けようとも…こちらは蹴散らす構えですので。』

「…(あの眼、油断ならないな。」

「…(生身でアイム・ライアードを抑えた逸材である以上は気を付けなければならない。」

 

 

ハスミの発言と視線は話をしていた三人に脅威であると知らしめた。

 

敵に回してはならないと本能が告げる様に…

 

 

『他に御質問がなければ、アウストラリスにお繋ぎしますが?』

「ああ…頼む。」

 

 

ZEXIS側の判断により…

 

ZEXISはイグジスタンスとの協力体制を勝ち取る為に自らの力で行動すると宣言。

 

その決定にアウストラリスは了承した。

 

 

『可能な限りだが、ハスミからそちらへの情報提供と注意喚起はさせる。』

「情報?」

『あのラマリス以外に何者かがこの世界への偵察を行っている。』

「新たな転移者と?」

『その可能性も視野に入れてはいたが、接触した存在は見境なく攻撃を仕掛けてきた。』

「侵略…いや、殲滅の可能性も?」

『情報が入り次第そちらにも提供する…今はインぺリウムやZEXISを取り巻く敵に対応する策を考えるのだな?』

 

 

アウストラリスは必要な事だけを告げると通信を終えた。

 

通信を終えた一行は更なる話し合いを続けた。

 

 

「敵対の意思はないが、彼らの協力を得るには我々も同等の力を持つ必要がある。」

「同等の力と言っても現時点で集結している戦力がZEXISの最大戦力…」

「他にアテがあればいいが…」

「あるだろう?」

 

 

ゼロの発言に二人は驚いた。

 

 

「それは一体?」

「恐らく、今後もこの世界に転移者が現れる。」

「まさか…」

「我々も新たな転移者の捜索を行うべきだ。」

「転移者の協力を仰ぐ事で有力な戦力を得ると?」

「それしか道はない。」

「だが、彼らが拒否すれば…」

「それでもやるしかない、我々が取れる行動が残されてる今を。」

 

 

ゼロは前世の記憶を頼りに転移者の協力を得る事を提案。

 

いずれ現れるZEUTHと再び共闘関係を結べれば、インぺリウムと対抗出来ると…

 

そしてゼロが予測した通り、同一の事象が起こるのはこれより数週間後の事だった。

 

 

=続=

 


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