粛清される。
それはさり気無く行われる。
全ては馬鹿の修正の為に。
各地で後に Z EXTRE INTERNATIONAL SAVERS(特別国際救助隊)の略…
通称、ZEXISとなる存在達が反逆の兆しを見せ始めた頃。
設立に関しては国連平和理事委員会代表であるエルガン・ローディックの手回しであるが…
AGが『あーそう言う事になってたんですね?』と興味津々な所を見ると詳しい詳細は知らされていなかったらしい。
並行世界の同一体でも差はあると言うのは理解出来た。
もう一人のスズネさんであるアムブリエルも『今回もアレと同一体と言うのが癪だ。』と毛嫌いしているし。
既に統合された状態でも偶に出てくる様だ。
解りやすく言えば、ウェンディとテューディやクリスとリアナの様な感じに近いのだろう。
で、余計な事を秘密裏に行おうとしたので毎度恒例化しつつあるAG説教会が行われている。
「此度は何を行おうと企んだ?」
「えーっと、ちょっと…」
ターミナルベース内の謁見の間で説教会が行われる中。
アウストラリスの圧で顔面蒼白のAGが口ごもっていた。
「別に貴方が言わなくても解っているんですけどね?」
「だったら、何でワタシを呼び出すんですかー!!」
ハスミが状況を説明すると涙声で反論するAGだったが…
全員一致で毎度同じ決断を下した。
「「「「「兎に角、黙れ。」」」」」
その場に集まったリアクター十名の眼が狩る状態である事を察したAGはビビり声を上げた。
「はひっ!?」
わざとやっているのかどうかは置いといて、ガタブル状態のAG。
何時ものSM体質も今回はフォローしないらしい。
「テメェには散々振り回されたし、ここらでぶっ壊しても構わねえんだぞ?」
「…覚悟は出来ますか?」
話し合いの関係で合流を果たしたランドとセツコの恨みの圧が感じ取れた。
うん、人の事は言えないけど…正義の味方の表情じゃないね。
真相はしりつつも『殴りたいこの衝動』って止められないし。
「…ひぇえ、誰かぁ止める人は居ないんでスカ!?」
「いないわよ。」
かく言う私もそうだから…
「私も貴方に言いたい事があったし。」
ハスミはAGの脳天を鷲掴みすると念動の圧を掛けた。
「あの…ランドさんとセツコさんよりもお怒りが。」
「そうだね、大きいね?」
「空白事件の件は誠心誠意に土下座しましたよね!?」
「その件じゃない、貴方の預かり知らぬ事であり貴方のろくでなし残滓が起こした事。」
握力が凄まじいのかAGのヘッド部分よりミシミシと軋む音が響く渡る。
「あだだだっ!!こわれ!壊れますって!?」
「そうだね、何で怒っているのかの理由を話すよ。」
ハスミは語る。
とある世界でAGの残滓であるジエー博士の姿をした同一体が事件を起こした。
その結果、ある世界の史実が改変される危険性が確定してしまった。
成り行きでハスミはその世界で秘密裏に行動していた組織と共に事件を追い…やっとの事で終息させた。
だが、世界の秩序が乱れない様に力の制限があった為に少なからず犠牲者が出てしまった。
最悪な事にこちら側の技術が悪用された事件も起こされた為に数多くの被害者を残した。
終わってしまった事に如何こう言える様な事ではないが…
それなりのケジメを付けて貰うと答えた。
「と、言う訳よ。」
「あの…ワタシの同一体がちゃっかり嬉し美味しい事をしているのが共有できな、あだだだだ!?!?」
「はーい、そこは気にしなくていいと思う。」
「ひどっ!!」
握力が更に倍増しついにヘッド部分の装甲に指先がめり込んだ。
あの細い指先でミシミシとAGの装甲が悲鳴を上げさせている。
知らない相手が見れば、とんでもない馬鹿力を発揮している様に見えているだろう。
「へぇ?酷い?」
その時のハスミの笑っていない笑顔は相当な怒り様であった。
ストレス蓄積を起こしている状態の強烈なお怒りである。
「え、あ…す、済みませんでしたーーーー!!!」
命の危機を察したAGは涙目で謝罪の言葉を並べる。
が、何度も問題行動を起こしてるので今回ばかりは文字通り釘を打たれるだろう。
「ハスミ、僕らにも残して置いてくれよ。」
「…善処はします。」
バルビエルは指先で針状のダガーをクルクルさせて答えた。
「にしても、ハスミのサーチ&キャッチからの速攻デストロイは面白いよね?」
「やられる当人は地獄だけどな。」
エルーナは拳銃の銃弾装填数を確認し、ガドライトは遠い眼をしていた。
「自業自得だろう。」
尸空は変わらず静観。
表情には出していないが、AGの問題行動にウンザリしている節があるらしく。
ハスミのAGデストロイに関しては満更でもないようだ。
「AG、今度は何をしたんですか?」
「ろくでもない事なのは判るけど…」
合流直後でまだ事情は知らなかったヒビキらが訪ねる。
その事にアサキムが答えた。
「僕も聞いたばかりだけど、彼女に断り無しで鋼龍戦隊の情報を外部に流出させようとしたんだよ。」
「それは色々と拙い事じゃあ…」
「そうだよ、彼女に仕置きされるのを判っているのにね?」
「触らぬ神に祟りなしと言いますが…アレは故意でやってるんじゃないのか?」
「だろうね、今回は仏の顔も三度までを越したけど。」
状況を聞いて呆れ顔のヒビキと楽しそうなアサキム。
「寧ろ、アウストラリスの微笑ましい表情に驚きなんだか?」
「そうだね、彼にとって彼女の殺気は可愛いの部類に入るらしいから。」
「ええー…」
「良くあるじゃないか、彼にとっては猫のじゃれ合いの様なモノだよ。」
ヒビキは何度か戦場で戦う機会があったのでハスミの殺気に関しては知っているものの…
アレは度を越している。
解りやすく言えば、怒らせてはならない相手に手を出してはならないと改めて察した事だ。
「…(そもそもあの人の殺気を可愛いって…良く分からない。」
ヒビキは器が広いと言うかポジティブ寄りな考えのアウストラリスに改めて悩むのだった。
「…(ヴィルの馬鹿///」
ハスミはスフィアの力でアウストラリスの考えを感じ取っているのでどう言う状況なのか理解している。
今のやり取りを可愛いと表現している事に赤面を隠しつつAGデストロイを続行するのだった。
「もうしません、本当にすみませんでしたぁ!!!」
その後、AGはスフィアリアクター勢よりフルボッコ粛清を受けて不用意な行動を避ける様になった。
一応、表向きは…
=続=