幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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これは百番目の話。

天使は混乱する世界に鉄槌を下す。

それは世界を一つにする為の始まりの物語。

だが、それをあざ笑うかのように流れも変わりつつあった。




第百話 『天使《ソレスタルビーイング》』

 

流れは変わる。

 

時に優しく、時に荒々しく。

 

異常災害もまた発生していた。

 

 

******

 

 

前回から数日後。

 

クロウが輸送機でAEUの領土圏であるアフリカ大陸へ向かっている頃。

 

ここでも、異常事態を知らせる情報が入っていた。

 

 

~多元地球内・ターミナルベース~

 

 

ターミナルベース内の会議スペースに緊急招集で集まった各部隊のパイロット勢の面々が揃っていた。

 

開口一番に言葉を発したのはATXチームのクスハである。

 

私ことハスミはその状況に関しての説明を行った。

 

 

「スタンピード?」

「それもラマリスによるものよ。」

「一体どうして…」

「この世界の紛争は勿論の事…人種差別、領土問題、侵略行為が私達の居た世界とは桁違いの頻度で発生しているのが原因。」

「…」

 

 

その多くが積もり積もってラマリスを発生させる負念を生み出している。

 

ラマリスの発生するべきエネルギー源が多ければ多い程に発生率も上昇していた。

 

例えラマリスになり得ないほんの少しの幼生でもこれだけの負念に当たればラマリスへ変貌してしまう。

 

前の世界と違う点は負念を生み出す要因が多すぎる点である。

 

重大な点とすれば、対処出来る部隊もなければ人員も存在しない事だ。

 

 

「ハスミ、このまま捨て置いた場合どうなる?」

 

 

アウストラリスは状況説明を続けるハスミに告げた。

 

それに対してハスミも最悪のケースを答えた。

 

 

「放置すれば、増殖と吸収を繰り返し…結果的に破滅の王に近い存在が現出します。」

「ならば捨て置けんな……こちら側の出撃を許す。作戦立案と部隊配備を頼む。」

「了解しました。マイルズ司令、鋼龍戦隊はどうされますか?」

「我々も人道的支援として行動する。問題はラマリスの出現先と出撃の手筈だが…」

「それに関しては、既に出現点の絞り込みと各方面への移送準備は進めてあります。」

 

 

ハスミは続けて出現点の絞り込みを行った先をモニターへ移し出した。

 

一つはアフリカ大陸、一つは中国大陸、一つは二つとなった日本列島の片割れ…エリア11、最後は地球軌道上にある高軌道ステーション周辺である。

 

 

「以上、四つのエリアでラマリスの異常発生を確認しました。続けて移送に関してですが…」

 

 

高軌道ステーション方面は偽装したアドラティオ数艦による輸送後、動きの速い機体による電撃作戦。

 

地上の三つのエリアに関してはハスミからとある映像の開示にある策を告げられた。

 

 

「地上の三つのエリアに関しては、この次元滑空列車を利用します。」

 

 

地上で鋼龍戦隊の戦艦を使用した場合、ソレスタルビーイング…イノベイター達によって情報拡散が起こる危険性を考慮。

 

そこでL5戦役時代にホルトゥスで使用していた輸送列車を使用する提案を上げた。

 

以前は限定的な空間転移程度しか出来なかったが、ホルトゥス側の次元力研究が進んだ事で独自の路線を発見し利用する方法を編み出した。

 

次元の中に存在する無数の支流を通り、あの御使いにも察知されずに行動出来る様に改良を施してある。

 

アビスの外へは出る事は叶わないが、アビス内の次元支流は問題なく行動出来た事も話しておいた。

 

 

「ハスミ、この列車は?」

「ギリアム少佐、これは私がホルトゥスで運用していた輸送列車です。」

「…これを選んだ理由は?」

「改良を重ね…次元の中の支流のみを行き来し行動する事が可能だからです、通常転移では即座に位置がバレてしまいますので。」

「つまり、御使いやヴェーダの眼を掻い潜る事も兼ねているのか?」

「その通りです、現状で単独次元転移が可能なリアクター機を晒すのは危険すぎます。」

 

 

リアクター機による早期行動は御使いの思う壺にさせてしまう。

 

この次元滑空列車はそれらの問題をクリアした輸送手段。

 

使い所が限られている以上は…

 

 

「輸送コンテナの積載数はPTの場合は八機、特機の場合は四機、これは1コンテナ分の積載可能数です。」

「輸送コンテナは九両編成…三両ずつが各エリアへ配備可能と言う事か?」

「はい、機体配分はラマリスの発生状況とエリアの状態によりますが…」

「念動者とシュンパティア搭載機は出撃対象、残りは援護が可能な機体に絞られるな。」

「不足に関してはサイデリアル側からも出撃可能な人員を配備します。」

「マイルズ司令、人員選出に関してですが…」

「ギリアム少佐、今回の作戦は君に任せよう。」

「了解しました。」

 

 

ギリアム少佐ならこちらの都合をある程度理解してくれるし助かります。

 

次の問題はサイデリアル側の人選。

 

性格を考慮して…ATXチームとPTXチームにアンタレス、SRXチームとコンパチ組に鬼宿。

 

オクト小隊とリ・テクにハイアデス、戦技教導隊とクライウルブズにジェミニスが妥当か…

 

アルシャトは仲介役として各方面に配置の形を取っておこう。

 

 

「ギリアム少佐、部隊の配置先なのですが…この布陣で予定しています。」

「現時点でのラマリスの出現エリア状況は?」

「此方が現在の状態です。」

 

 

私は作戦立案を行う中で部隊配備と作戦エリアの状況を映したモニターをギリアム少佐に提示する。

 

出現したラマリスによって撤退に追い込まれてる各国の部隊。

 

場所によっては植民地の難民を見捨てて自国の人間のみ逃がしている非道な連中も多々見えた。

 

この行為には正直…虫唾が走る。

 

全ての命を守れる事は出来ないのは理解しているが、助けられる命を見捨てる事は別だ。

 

 

「ハスミ少尉。」

「済みません、実際に感じ取っていると虫唾が走ってしまって…」

 

 

自分でも自制はしているが、怒りの抑え所が限界に近いのかもしれない。

 

前世でも破界戦役と再世戦役の内情は毛嫌いしていたから…

 

怒り任せのこんな状態じゃイルイに顔向け出来ないかな。

 

 

「出撃準備を急ぎましょう…こうしている間にもラマリスは増殖を繰り返しています。」

「ああ。」

 

 

 

緊急招集から始まった会議と並行してラマリスのスタンピードを阻止する作戦。

 

それらの配置先が決定し、双方共に急ぎ出撃準備へと移った。

 

 

******

 

 

一方その頃。

 

アフリカ大陸の軌道エレベーター付近に設置されたAEUの基地敷地内にて。

 

AEUの最新鋭機イナクトのお披露目が行われていた。

 

射出された的に訓練弾を当てていくイナクトのパイロット。

 

お察しの通り、コーラにサワーとか炭酸飲料系の名称を彷彿させる人物。

 

パトリック・コーラサワーである。

 

今のままだと、挫折を経験せずに天狗になっているので親近感を沸かない状態である。

 

 

「全弾命中!やっぱ、俺ってば天才!」

 

 

その様子を設営されている観客席にて観察する人物達。

 

 

「AEU初の太陽エネルギー対応型MS、イナクト…ね。」

「AEUは軌道エレベーター開発で後れを取っている、モビルスーツだけでもどうにかしたいのだろう。」

「おや、いいのかい?MSWADのエースがこんな場所にいて?」

「勿論よくはないさ…」

 

 

眼鏡をかけた男性がMSを観察し後から来た金髪の男性に声をかけられた。

 

続けて金髪の男性は眼鏡の男性とのやり取りを続けた。

 

 

「アフリカ北部では、我がブリタニア・ユニオンが支援するギザン共和国とAEUのバックアップを受けたマラニアが…連日戦闘を続けている。」

「ですが、それはギザンとマラニアの問題。ブリタニア・ユニオンとAEUが戦争に入った訳ではありません。」

「貴方は…?」

 

 

二人のやり取りに入った人物。

 

 

「ブリタニア・ユニオンのグラハム・エーカー中尉とビリー・カタギリ顧問ですね。」

「私はゼクス・マーキス上級大尉、AEUに軍席を置いていますがCMCより出向している身です。」

 

 

ゼクスは相手の名前を確認した後に自身の紹介を行った。

 

 

「この度は我がAEUの新型機発表会によくおいで下さいました。」

「貴方がOZのライトニングバロンですか。噂はこちらにも届いております。」

「私も中尉のお名前を聞き及んでいています。ご一緒しても宜しいでしょうか?」

「我々は構いませんが、いいのですか?関係者席にいなくても?」

「今回のお披露目は私の管轄とは異なりますので今回は純粋に一見物客ですよ。」

「…(成程、あのMSの製造はコロニー側とは別の筋なのか。」

 

 

ビリーはゼクスの話からお披露目を行っているMSの製造先を推測。

 

ゼクス達の使用するMSはこの世界に置いてMS開発が遅れているAEUの国力を補っている部分がある。

 

この世界に転移したコロニー群を取り纏めた現コロニー群代表のトレーズ・クシュリナーダ議長の手腕によるものである部分も多いが…

 

AEUの謎の一つである特務部隊OZ、未だ未開の部分が多いのは確かだった。

 

 

「如何です?新型MSのご感想は?」

「上級大尉の前で迂闊な事は言えませんよ?」

 

 

グラハムは皮肉を込めてデザインが独特的であると謙虚を込めて伝えた。

 

 

「そこ!聞こえてっぞ!今、イヤミをいいやがったな!?」

 

 

お披露目の演習中だったパトリックにもグラハム達の会話を聞き留めれらしくコックピットから出てギャンギャンと吠えていた。

 

 

「集音声は高いようだな?」

「みたいだね。」

 

 

流石のグラハム達もこれには失敬の表情はしつつ内心は苦笑いであった。

 

 

~その頃のクロウは?~

 

 

「…(おーおー、やってるな?」

 

 

 

AEUの演習会場をブラスタの中で監視するクロウ。

 

トライア博士お手製のステルス機能が効いているのもあり、会場から近距離に居るにも関わらず未だ発見されていない。

 

 

「…(しっかし、チーフも容赦ねえな。」

 

 

トライアはソレスタルビーイングのMSによってお手製のステルス機能が解除された事を未だに根に持っていた。

 

なので、前世の知識を駆使して絶対に敗れない様に改良を施したそうだ。

 

デモンストレーションをぶち壊すヒール役をする以上はステルス機能が機能していなければ意味がない。

 

クロウは貧乏くじを引く事になりつつも、この事は目を瞑っていた。

 

 

「…(ん、そろそろか。」

 

 

AEUの演習会場に程近い軌道エレベーター周辺に緑色の発光する粒子を巻きながら飛行する機影。

 

クロウはそれをモニターを操作し拡大後に目視する。

 

ちなみにブラスタの探知機能その他もトライア博士の怨念の籠った改良でバージョンアップしている。

 

 

「…(久しぶりだな、ガンダムエクシアと刹那。」

 

 

クロウは今だステルスを解除されていないブラスタの中で演習会場へ降り立った機体とパイロットの名を呟いた。

 

 

「エクシア、目標地点に到達…GN粒子の散布状況は作戦通り。」

 

 

演習会場に降り立ったMSに反応するパトリック。

 

 

「あぁん、アンノウンだと!?どうして、こんな時に…!?」

 

 

同時に会場内の席にて降り立ったMSに反応するビリー。

 

 

「MS!?凄いな、もう一機新型があるなんて…」

「いえ、あの機体はデモンストレーションの機体ではない!ここまで接近を探知出来なかったのか!?」

「えっ!?」

「…」

 

ゼクスの慌てぶりに動揺するビリー。

 

だが、グラハムだけは無言のままだった。

 

 

「…(来たか、刹那!」

 

 

グラハムは心の中でこの時点で知る筈のないパイロットの名前を叫んだ。

 

 

「…(まさか、彼もか?」

 

 

ゼクスは仮面越しであったが、グラハムの落ち着き様を見逃す事はしなかった。

 

 

「目標対象を確認。予定通り…ファーストフェイズを開始する。」

 

 

混乱する会場。

 

刹那は指定された作戦項目を確認後に行動を開始。

 

前方のパトリックの搭乗するイナクトの撃墜を行った。

 

 

「おいおい、何処のどいつだ!?ユニオンか!?人革連か!?」

 

 

動揺するパトリックであったが、目処前の相手に対して戦闘モードへ切り替える。

 

土足で自身の所属する陣地に足を踏み入れたMSを捨て置く事は出来ない。

 

只では済まさないと行動を開始した。

 

 

「イナクトのパイロット、仕掛ける気か…!?」

「彼の名はパトリック・コーラサワー。AEU正規軍のエースでありますが…」

 

 

しかし、ゼクスの説明が終わる前にイナクトは文字通りエクシアによってボコボコにされたのであった。

 

 

「俺は!スペシャルで!?二千回で!?模擬戦なんだよ。」

 

 

情け容赦なくイナクトはエクシアの大型対剣で切断され沈黙。

 

パトリックの支離滅裂な空しい声がコックピットに広がった。

 

 

「…(あーあー、刹那も容赦ねえな。」

 

 

その光景を目視していたクロウも『ひっでぇ…』と言う空しい表情をするしかなかった。

 

 

「コーラサワー少尉…」

「…」

 

 

仮面越しであるがゼクスは頭を抱え、グラハムは先程のパトリックの負け台詞に対して笑いを抑えている。

 

ビリーに関しては余りの状況に唖然としていた。

 

パトリックに関しては無事に脱出出来ているものの本人は今もギャンギャン嘆いていた。

 

 

「エクシア、ファーストフェイズ終了。続いてセカンドフェイズに移行する。」

 

 

刹那は目的を達成し演習会場から離脱すると姿を隠していたブラスタと鉢合わせする事となった。

 

 

「…(クロウ、お前も来ていたのか!?」

「さてと、少し遅れたが…ヒール役はしないとな?」

 

 

同時にAEUの演習会場に現れるAEUのMS部隊。

 

構成はAEUのヘリオンとOZのリーオーが各五機。

 

 

「やはり、非武装と決められている軌道エレベーター内に軍事力を配備していたか…」

「聞こえるか、テロリスト!大人しく武装を解除し投降せよ!」

 

 

出撃したAEUのヘリオンの一機から投降勧告の通信が流れる。

 

 

「…(そろそろか?」

 

 

クロウは同時に反対方向から狙撃体制に入ったMSの存在を確認した。

 

 

「長距離射撃!?新手か!」

 

 

一撃でヘリオンの一機を倒すとエクシアの元へ移動。

 

 

「ははは、こりゃ流石の刹那でも手を焼くかぁ?」

「ガンダムデュナメス、ロックオン・ストラトスか。」

「…んで、そっちの機体もAEUの新型か?」

「そうではないようだが?」

 

 

合流したロックオンは刹那と会話し状況把握を行ったものの…

 

 

「各機、攻撃を開始しろ!!奴らを逃がすな!?」

 

 

AEUとOZのMS部隊の追撃が始まった。

 

 

「さってと俺も言われたお仕事しなくちゃな?」

 

 

クロウはブラスタを移動させエクシアとデュナメスの様子をデータ取りしつつ行動を開始した。

 

今のトライアには必要はないだろうが、念の為である。

 

 

「…(今の状況でスフィアを起動させるのは不味いが仕方ねえ。」

 

 

クロウはVXを起動させSPIGOTを発射する。

 

 

「!?(あの武装はまさか!」

「何だありゃ!」

 

 

ブラスタに展開されたSPIGOTを目視した刹那とロックオン。

 

特に刹那はある確信を得る事となった。

 

 

「即撃破してボーナス追加させて貰うぜ!」

 

 

ブラスタのSPIGOT-VXによって出撃したAEUとOZの混成部隊は壊滅状態に陥った。

 

チャクラムと化したSPIGOTによって相手を一直線に追い込み、刀身は使用せず銃撃で戦闘不能に追い込んだのだ。

 

撃破と同時にクロウのコックピットにコインの音が鳴り響いた。

 

 

「これだけやれば、カルロスの奴もチーフに文句は言わねぇだろう。」

 

 

ソレスタルビーイングの目的はAEU側の軌道エレベーターに隠された戦力を曝け出す事。

 

AEUは非武装とされている軌道エレベーターに武力を隠していた事が露見。

 

ソレスタルビーイングにすれば発起の糸口である。

 

これとは別に…

 

正体不明のテロリスト(自身の商品)に秘匿部隊を撃破されたとすれば、面目丸潰れだろう。

 

今頃、アクシオン財団の当主カルロス・アクシオン・jr.も抱腹絶倒中に違いない。

 

 

「…(そろそろデュオの奴も来る筈だが。」

 

 

クロウが早期に展開していたMS部隊を退けてしまった事もあり、偵察に来ているであろうデュオなら即時退散するだろう。

 

 

「!?」

 

 

この時、クロウは自身の持つ揺れる天秤のスフィアより警告された。

 

 

「…(来るだと?」

 

 

演習会場に予告なしに出現したラマリスの大群。

 

これには演習会場は混乱状態に陥った。

 

 

「例の幽霊共か!」

 

 

クロウも事前にハスミらに聞かされていたが、実際に実物を拝むのはこれが初めてである。

 

 

「刹那、ここは撤退だ!」

「だが…!?」

「気持ちは解るが、俺達の武装じゃ奴らは…!」

 

 

同じ様に混乱する刹那達だったが…

 

 

「あれは!?」

 

 

突如、演習会場に現れた大型輸送列車。

 

列車は徐行運転へ移行するとコンテナ三両より機動兵器を射出し撤退。

 

 

「…(あれはヒュッケバインにグルンガストだと!?」

 

 

刹那は展開したPT部隊を目視。

 

何れも本来であれば、こちら側の世界にない筈の機体だった。

 

ちなみに展開中の部隊にはガーリオンタイプやゲシュペンストタイプも含まれている。

 

 

「各機散開し各自ラマリスへダメージを…止めは此方で行う!」

 

 

赤に塗装された量産型ゲシュペンストMk-II改より各機へ通信が入る。

 

 

「そうさせて貰うよ、こっちもそっちの実力を見たかったからね。」

 

 

同じく赤に塗装されたガーリオン・カスタムがゲシュペンストに通信を送る。

 

 

「キョウスケ、向こうの機体はどうする?」

「イルム中尉、ハスミの話では無視で構わないとの事です。」

「了解、さっさと片付けて離脱するぞ!」

「いやいや、皆さん…やる気があって凄いですね。」

「サルディアス、和んでないでとっとと手伝え。」

「はいはい、判ってますよ…隊長。」

 

 

ほぼ、量産型の機体が多いが部隊としては成り立っている。

 

今回AEUのスタンピード防止に派遣されたのはATXチーム、PTXチーム、アンタレスの混成部隊。

 

機体は本来の機体ではないが、乗り慣れている機体をチョイスしているので問題は無い。

 

戦力上、それを補う形の配備なのでラマリス・カーナだけの出現なら対処は可能だった。

 

 

「何時もの機体じゃないけど、クスハちゃん、ブリッド君、止めは任せたわよん?」

「エクセレン少尉、分かりました。」

「こちらも了解。」

 

 

手慣れた様子でラマリスを弱体化させ念動者による攻撃でラマリスを駆逐していく。

 

その様子にAEUの軌道エレベーターに設置された司令室からもあっけらかんとした表情がチラホラと出ていた。

 

 

「あの列車といいあの部隊は?」

 

 

傍観しているクロウのブラスタに秘匿通信が入る。

 

 

『御無事の様ですね、クロウさん。』

「その声はハスミか?」

『そちらに展開している部隊は此方側から出撃した部隊です、目的はあのラマリスのみなので今の内に撤退を。』

「判った、落ち着いた後でラマリスのデータをくれるか?」

『それは勿論の事です、トライア博士にもお渡しください。』

「OKだ。」

 

 

クロウはハスミからの通信を終えると演習会場から離脱し安全圏まで移動した。

 

それと同時にラマリスの掃討が終了し混成部隊は指定のエリアまで各自離脱を開始。

 

ラマリスは再び謎の集団によって駆逐されたのだった。

 

 

~後日~

 

 

AEUの軌道エレベーターと人革連の高軌道ステーションで起こった戦闘。

 

武力による紛争根絶を目的とした武装組織ソレスタルビーイングによるものと報道された。

 

しかし、各地に出現したラマリスを掃討した武装集団については謎のまま。

 

長年、顔を変えなかった世界は天使によって変革を迎えつつあった。

 

 

=続=

 





幽鬼の存在。

それらを駆逐する者。

名を改めよう。

我らは…


次回、幻影のエトランゼ・第百一話『名変《ナガエ》』


ここに我らは存在する。

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