伏線は繋がる。
それはある意味で答えを導き出す。
そう必要な答えを…
大阪・梅田地区での戦闘を終えたハガネ。
戦闘後に合流したマジックナイト達から情報を提供して貰う為に伊豆基地へ移動。
同時にラブルバイラでの会談を終えてパリ経由で帰還したヒリュウ改。
二艦は『鋼龍戦隊』として活動する為に伊豆基地へと合流していた。
更にクロガネも遅れて合流し『封印戦争』の頃の足並みが揃いつつあった。
それは『無限の開拓地』からの異邦人と言う新たな仲間と共に一つの真実を携えて…
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伊豆基地にある会議スペースの一つに鋼龍戦隊のメンバーが集められた。
一つは新たに加わった仲間の紹介。
一つは帰還したゼンガーがサイデリアルのアウストラリスらと一時期行動を共にしていた事。
そして各地で起こった不可解な事件の真相を説明する為だった。
先に自己紹介からの流れとなった。
「俺はハーケン・ブロウニング、向こうでは陸上戦艦の艦長を務めていた。」
「アシェン・プレイデル、そこのむっつりW03と同じ戦闘アンドロイドだ。」
「ハーケン艦長、アシェンさん、お久しぶりです。」
「久しぶりだな、リトルメカガールにブラザー03。」
「相も変わらずの天然だな。」
「天然?」
「ロサ、疑問に思うのはそこではないと思うが?」
かつてエンドレス・フロンティアに転移経験のあるロサとその世界で数年間稼働していたピートも話に入っていた。
「お二人がここに居るって事は…シュラーフェン・セレスト辺りの転移装置が原因ですか?」
「よく分かったな?」
「以前もアクセルさんとアルフィミィさんもそのゲートで転移していたので…半分は推測です。」
「こういう所はお前も見習って欲しい所だな?」
「ほっとけでやんす。」
ハーケン達の話からアグラットヘイムとの戦いの後に新たな転移者が現れる可能性もあるので定期的に転移装置のある施設へ監視を開始。
旧ロストエレンシア側の転移装置は担当はハーケン達、残りのエリアの転移装置は手分けして監視する様になったとの事。
その最中にゼンガーがシュラーフェン・セレストの転移装置で転移、ひと悶着の末に更に転移に巻き込まれ物質界の秋葉原に転移したとの事。
この流れから巡り巡ってオロスプロクスの戦いに巻き込まれた形となる。
「だとすると、ハスミ達と合流出来たのも偶然じゃなさそうですね。」
「どういう事だ?」
「ハスミは以前遭遇した九十九事件からの繋がりで一定の縁が出来ている…って話していました。」
「確か、空白事件の次元震もその前兆だった可能性もあると言っていた。」
「ピートの言う通り、転移騒動には何かの大きな力が関わっているかもしれないって。」
「そのビックな力って言うのは?」
「判りません、ただハスミは…物凄い怨念の籠った声で『潰す』って毒づいてました。」
「そこは相変わらずか…」
「辞書娘の敵味方問わず毒舌連撃は艦長もタジタジでやんす。」
再会の言葉もそこそこに『眠り病事件』に関わっていたオロスプロクスと呼ばれる集団との戦いの説明が行われた。
眠り病はラマリスに支配されたガディウスとジョーカーよって復活したナハトゥムにより引き起こされ、奴らを倒した事で終息を迎えた。
問題は並行世界にもラマリスやそれに近しい存在が出現していた事である。
ゼンガーはある人物から情報を託された事を伝えた。
「では、各地で起こった眠り病と言うのは負念…ラマリスが関わっていると?」
「はい、更にこちら側でも出現しているラマリスの現出…その原因についてをハスミから託されました。」
「何だと?」
鋼龍戦隊の新司令官に着任したマイルズ・ブースロイドを始めとした上官達も驚きの声を上げた。
「ラマリスの出現…その原因が曰く付きの土地に澱む負念が原因あるとの事です。」
「曰く付きの土地?」
「あの…その事で私も説明に入っても宜しいでしょうか?」
ロサが挙手し説明に加わって良いかの判断を貰おうとした。
「発言を許可する、何か知っているのか?」
「はい、皆さんと合流する前…丁度ラマリスが新宿で出現した後の事なのですが…」
ロサは答える。
新宿を含む東京の各所に現れたラマリスの出現場所に心当たりがあると。
その出現場所は鎧神社、水稲荷神社、築土神社、神田明神、地名を答える事やむやみに行ってはならない場所、兜神社、鳥越神社である。
光達の協力で調査した所、その場所の塚が全て破壊されていた事だった。
「先程答えた場所は北斗七星を象ったレイラインとも呼ばれる場所で古き怨念を鎮める塚が点在しているエリアです。」
「…あの有名な武将の。」
「他にもこの事から世界各地のラマリスの出現場所が歴史上で曰く付きの土地だと推測出来ます。」
「ふむ…ならばジャカルタに出現した事も頷けるな。」
「はい、旧西暦の歴史の中で『東洋の墓場』と言う側面もありますので…ただ本来なら負念があのラマリスへ象る事は本来出来ない筈なのですが。」
「その理由は?」
本来負念は霊的概念と似たもので位相差の違いからこちら側の物質…人やモノ様に象る事はごく稀である。
今回の様に負念の多くがラマリスと言う形に至れたのはある事が原因であると。
「破滅の王の残した負念の残滓とこの前の大きなエネルギーの爆発…あのクロスゲートバーストも原因の要因だと判断します。」
ロサの回答に対しテツヤとレフィーナも納得の声を上げた。
「確かに、あの現象で地球に無数のエネルギーの束が地上に落下した。」
「それがラマリスの出現原因の一つだったなんて…」
続けてロサはそう言った霊的な事象に詳しい人物から情報を得ていた。
「その事でバラルの泰北さんにクロスゲートバースト発生時のエネルギーの流れのデータを頂いて、それを元に調べてみました。」
「何か判ったのか?」
「はい、あのクロスゲートバーストで流出したエネルギーは純粋な水そのもの…負念と結びついて負念側にエネルギーが変換されてラマリスに変化したみたいです。」
簡単な説明にすると只の水をエネルギーとし負念と言う泥を混ぜると濁ってしまう様なものである。
泥を例えとしたのは沈殿すると砂と水に分離する様に浄化する事が可能な為だ。
「ハスミは以前発生した次元震でも同様のエネルギーの流れがあったと話していたのでクロスゲートバースト前に現れたラマリスはそれが原因だと思います。」
「ラマリスの発生原因並びに眠り病事件の真相は分かった、問題はサイデリアルがこちら側の政府と同盟を結んでいる異世界の国家を侵略した事だが…ゼンガー少佐、それについては何か話していたか?」
「いえ…自分が託されたのはラマリスと眠り病事件の真相についてです、時期的に見て異世界侵攻に関しては自分が別れた後からの活動と思われます。」
「ふむ、奴らの目的は判らず仕舞いか…」
サイデリアルによる異世界侵略。
その過程でセフィーロと同盟を結んでいる国家三国、王制度から共和国体制に切り替わったペンタゴナワールド、惑星アースト、アースティア、アララ王国、エドン王国が次々とサイデリアルによって侵略された。
そちら側への転移も抑えられている事もあり、手出しが出来ずにいた。
例え救援を出せたとしても、こちら側の戦乱が収まった訳ではないのでどうしようもない。
事情を知る者達でなら感づいたであろう。
彼らの目的が『レイライン』と『ターミナルベース』の設置、ある理由からの『霊子結界』の確立なのだから…
「だが、得られた情報も多い…我々は引き続きラマリス討伐の任に。」
会議スペースに入る緊急通信。
レイカー司令からである。
「会議中の所申し訳ない、至急鋼龍戦隊の出撃準備を急がせて貰いたい。」
「レイカー司令、一体何が?」
「国際警察機構本部・梁山泊にラマリスが出現し……サイデリアルが現れた。」
=続=