それはうねりを上げて濁流となり。
全てを濁す。
交わりの時は近づく。
第五十八話 『流転《ルテン》』
修羅の乱と呼ばれる戦いから数日後。
フォルカ達は生き残った修羅の民達を引き連れて転移の旅路を選んだ。
闘争によって戦乱を引き込んだ自分達がもう一度闘争と言う道からではない方法で交渉する事が出来る様にと選んだ道らしい。
転空魔城にて別れを惜しむ鋼龍戦隊の一行。
ショウコは『もう会えないのかな?』と惜しむ声を上げたが…
私ことハスミは『次元震が続く以上はどこかで再会出来るかもしれない。』と告げた。
それは不確かな慰めであるが、いつか再会出来るかもしれないとショウコはその別れを受け入れた。
修羅達が去った後の事である。
ジャータとガーネット夫妻の間に男女の双子が誕生した。
アレキサンドライトから名を取ってアレクとサンドラと言う名が付けられた。
アズマ研究所にて祝いの席が設けられ、色々とお祝いの品をそれぞれが持参していた。
シャイン王女から夫婦へ新しい住居の提供など度肝を抜く祝い品もあった。
デュミナス一派は連合政府へソーディアンに関する技術情報の提供と惑星アルクトスの復興に協力する事を条件に罪状を軽減。
保護観察の後にラウル達が立ち上げた会社に就職する予定である。
逆にアイドネウス島は謎の勢力によって島全体の機能が全損。
新たに大統領直轄の精鋭部隊の設立とその配備基地が建設される事となった。
今は主だった行動はされていないが、いずれ頭角を現すだろう。
この流れも止める事は出来ない。
封印戦争で引き起こされる戦乱は無限力によって提示された勢力が存在しなければならないからだ。
全くもって面倒な相手を残してくれたものである。
だが、修羅の乱後に移住先を求めてやってきたバーム星の人々との諍いを止められた事が救いだ。
和平交渉の場に選ばれたのは火星。
開拓惑星となった火星にも居住出来る土地が残っていた為の処置である。
後々、コロニーなどにも植民出来る様にコロニー連合とも会談が進んでいる。
例の如く、Aのシナリオな和平交渉の場でオルバンとゲロイヤーの二名による策略で毒殺されそうになったリオン大元帥。
リオン大元帥に盛られた毒物に関しては護衛を兼ねて国際警察機構から出向していた私とロサで除去した。
セフィーロの魔法騎士を甘く見ないで欲しい。
この毒物に関しても詰めが甘いのか地球に存在しない毒物を使用した為に奴らの首を絞める事となった。
立場が悪くなったオルバンとゲロイヤーは逃走を図ろうとしていたが、援軍としてアクセル中尉とシャッフル同盟の方々に国際警察機構のエキスパートが網を張っていたので後の祭りである。
反逆者オルバンとの密約でバーム星人らの戦力を取り入れようとしていたベガ星連合軍も奇襲を仕掛けてきたが…
内緒で控えさせていたバーチャロンメンバーにある程度仕留めて貰った。
色々と片付けた後、オルバンとゲロイヤーは反乱分子勢力と共に投獄。
リオン大元帥は毒物を処理したものの身体への安全を考慮して療養の形を取った。
後任としてリオン大元帥のご子息であるリヒテル氏が代役となった。
その妹であるエリカと一矢が急接近したのもあり、シスコンオーラが滲み出ていたのは気にしない事にする。
一方、地球の方では修羅の乱後に犯罪組織による事件が勃発。
舞人の誕生日の日には下らない理由で観光客に被害を与えていた犯罪組織の一つであるピンク・キャットなどが例である。
同時に地球へ飛来していたデアンドゾルと呼ばれる種族によって地球が滅亡の危機に瀕した。
だが、デアンドゾルの意思は自我に目覚めており…少ない期間だが交流していた炎らダグオンの面々によって解決された。
前の戦いで目覚めたソムニウム達もこれに対して様子見をしていたが、無事に終わった事を察して去って行った。
で、勝手に地球に飛来した宇宙警察機構に関してはデアンドゾルに関する注意喚起を怠った為に地球政府からクレームを受ける事となった。
国連事務総長であるロゼ代表からの案で地球圏に宇宙警察機構の地球支部を設立し対応出来る形をもぎ取った。
これにより地球に関して情報を持つエクスカイザーらが支部へ就任する形となった。
ロゼ代表は隙あらばとこれを狙っていたらしい。
流石、私のお婆様の親友兼ライバルです。
そして一か月後…
リュウセイはテスラ研の訓練エリアでART-1の戦闘データを取る為にキョウスケ中尉と模擬戦をする事となった。
だが、二人は突如発生した次元震によって転移。
同時刻、移動中だったマサキ一行もまた転移に巻き込まれ…
三名は惑星エリアへ飛ばされる事となった。
そして浅草に出現したマッドネットによって操られたAnti・DCのAM部隊とコンパチブルカイザーとGサンダーゲートが交戦。
援軍として伊豆基地からATXチームが介入したが、コンパチブルカイザーとソウルゲイン、ペルゼイン・リヒカイトが次元震による転移に巻き込まれた。
この三名は流れ通りにEFへ飛ばされる形となった。
ちなみに私はと言うと…
「と、言う訳でちょっとEFに行ってきます。」
別のエリアで敵部隊と交戦中にロサとケイロンにハリスと共に次元震に巻き込まれてEFへ転移する事となってしまった。
念の為、ホルトゥスからの援軍もSTXチームの救援に回せる様にしたのでお義父さん達の安全は確保している。
私が鋼龍戦隊から去るカウントダウンは始まった。
私はただその歩みを止めずに進むだけだ。
=続=
変異した事象と新たな異邦人。
そして失った記憶と欠片。
悲劇を転じて喜劇と化す。
次回、幻影のエトランゼ・第五十九話 『虹路《レインボーロード》』
それは新たな出会いと新たな奇跡。