互いの拳はその拳を交え。
決着の果てにその未来を託す。
だが、託す筈の願いは共に歩む道へと変異する。
それは女神が示した可能性。
私達がソーディアンズへの強襲作戦を仕掛ける間にもそれぞれの戦いは続いていた。
アルクトスの奪還に成功した地球防衛軍であったが、逆に侵略せんとギシン・ガルラ連合が転移し交戦。
迷いの中にあったガルファもまた地球防衛軍と共に対処している。
転移に巻き込まれた外宇宙組と合流を済ませているので悪い様にはならないだろう。
一方、地球ではアルジャーノン騒動は終結し落ち着いたかに思えたが動きを見せていなかったオウストラル島にて異変が起きた為、地球で待機していた極東のスーパーロボット軍団と復帰したロンド・ベル組、シャッフル同盟が現地で戦い続けていたゲリラ一味と合流。
この島にも修羅の一軍や島の遺跡群を荒らす複合企業GAIL、L5戦役で決着を付けた筈の妖魔帝国までもが乱戦を続けているとの事。
太陽と月が廻り遇い始めているのか?
また火星では極冠遺跡を砦に火星の後継者とアマルガムがボソンジャンプに成り代わるシステムを開発している事が判明し元ナデシコクルーとプリベンター組、ミスリル、スペースナイツ、EDFが集結し対処している。
ちなみにアキト、ユリカ夫妻の死亡(公式上の)に火星の後継者が関係している事もある為、元ナデシコクルー達も躍起になっている点も見受けられる。
旧リガ・ミリティアの面々は国際警察機構とアルビオン隊&ドラグナーチームらと共に謎の軍勢によるアイドネウス島への防衛線に回っているので動く事が出来ずにいた。
もしもの展開も考えられるので島に在住している各方面の有望な博士達には避難する様にブルーロータス経由で通達してある。
そして前回の空白事件で転移してきたメンバーはそれぞれの方面の戦いに振り分けられている。
この結果、各所各所で引き起こされた戦いにより鋼龍戦隊はいつものメンバーでソーディアンズに乗り込む結果となったであります。
ちなみにホルトゥスのメンバーも各所に送り込んでいるので後々情報を聞く事にする。
BF団の皆様は引き続き、最近になってこの世界に入り込み始めたクロノの構成員らしき集団と戦闘中。
皆様…かなり楽しそうで何よりです。
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ダガーの解析が終了するまで鋼龍戦隊にSTXチームの参加の件と補充パイロットのハリスとケイロンの紹介を行った。
二人の戦闘能力に関してはカーウァイ中佐からのお墨付きを頂いているので即戦力として期待出来ると説明。
私ことハスミはケイロンとの仲に関してエクセレン少尉に根掘り葉掘り聞かれそうになったが…
カーウァイ中佐とテンペスト少佐の笑ってない笑みと禍々しい後光オーラが漂っていたので早々に退散。
カイ少佐の呆れ顔を他所にタスクとコウタはその光景に対し『色々とおっかねえ。』とボソボソ話していた。
ケイロンは自身から滲み出る闘気を自在に制御する修行を行っているのでフォルカ達からは特に何も言われていない様子だ。
更にケイロンの説明不足発言が原因で色々と修羅場になった事は次の機会に話します。
ハリスさんはリシュウ博士と先祖絡みの因縁込みな話し合い。
長年培った因縁はすぐに緩和する訳ではない、これはハリスさんとリシュウ博士が決着を着けるべき事。
私は口出しする事は出来ない。
こうして戦う前から色んな意味で精神的に疲れました。
そんなやり取りの中でテスラ研並びにGGGの協力もありソーディアンズ・ダガーの解析は終了。
だが、転移が出来るのは一度きりと言う博打。
それに記された転移座標を利用し鋼龍戦隊は一気にソーディアンへと乗り込む形となった。
最初はカチーナ中尉の提案で中枢に転移と言う案も出ていたが…
フォルカ達曰く中枢区域である『奥の院』は調査されていない場所との事で情報がない以上。
下手な転移は出来ないと却下された。
タスク曰く下手に転移したら妖怪ぬりかべ状態になり兼ねない。
記憶の底でそれに近い状態になった原作での某指パッチンの人が思い浮かんだ。
そこでソーディアンの先端中央にある空洞区域に転移する事となった。
本来はそこで戦う筈だったマグナスの部隊との決着はランタオ島で終了済みなので前進あるのみ。
一気に奥の院がある中枢区域に向かう事が出来る。
私は念の為にホルトゥスのメンバーと連絡を取ってアサキムとツィーネの両名を呼び寄せて置いた。
こっちで正確な座標を送っておいたので後はスフィアの力を使えば次元力で転移位は出来ますし。
特に何もなければ問題はないだろうが…どうも胸騒ぎがして落ち着かない。
「各機に告ぐ、敵修羅神を迎撃しつつ中枢区域へ正面突破する!!」
転移後、テツヤ艦長の指示で各機は出撃を開始し部隊を展開。
現れた烈級修羅神を迎撃し遺跡と化した居住区画を突破する事となった。
艦長からエクリプスとエザフォスの使用許可は取ってあるので他の面々と一緒に最初からフルボッコ祭りと洒落込んでますが…
後々が色々と面倒なので力をセーブしつつ行動する事にしました。
烈級修羅神程度なら鋼龍戦隊の敵ではないので某太鼓のキャラの如く『フルコンボだ、ド〇!』の勢いで蹴散らしている。
中でも神化したヤルダバオトとビレフォール、ライトニングとエターナル、Gコンパチカイザーが参戦しているのだ。
今回の戦いの物語の中核を担う人物達が倒れない限りは大丈夫だろう。
「中枢区画はこの先だ。」
フォルカとフェルナンドの案内で私達は中枢区域へ向かって移動。
そして奥の院を守護する転空魔城ではフォルカ達の因縁の相手が待ち構えていた。
「…アルティス兄さん。」
「フォルカ、こうなる事は予測できた筈だ。」
超級修羅神マルディクトを中心に烈級修羅神の部隊が奥の院への道を守護する様に展開していた。
「来たな…フォルカ、フェルナンド。」
マルディクトの操者、閃光のアルティスが答えた。
「フォルカ、フェルナンド、そして地球人達よ…この先へ往くことはまかりならぬ。」
「それでも往くと答えれば?」
「修羅王と閃光の名において、お前達に制裁を下す。」
「制裁ね、まるで神様気取りじゃないか?」
「もはや退けぬ所まで彼奴らを追い詰めたと見える。」
「それでも我々は進まなければならない。」
アルティスの言葉にゼンガー、ハリス、ケイロン、エルザムが答える。
「退けませんか?」
「退けぬ、お前達にはお前達の理がある様に…我らには我らの理がある。」
「つまり、互いの拳で決着を着けろと言う事でよろしいですか?(どう足掻いても彼らは退かない、これは互いの信念のぶつかり合い。」
「その通りだ。」
ハスミはアルティスに質問するが却下され戦うしかないと肯定した。
「そいつを俺達に押し付けよってか!」
「マサキ、ああ言う手合いは拳でしか自分を語れないのよ。」
「ハスミ…」
「それはある意味で不器用なのかもしれない。」
「不器用にも限度ってもんがあるだろ。」
「確かにそうね、それでも彼らと語るには彼らの流儀に…しかないでしょうね。」
「つまり、奴らの流儀通りに戦うしかねえって事かよ?」
「…力には力で示さなければならない時もある。」
かつて惑星セフィーロの旅路で私が念神エクリプスに認められた様に。
マサキがラ・ギアスで風の精霊サイフィスと心を通わせた様に。
他者に力を借りるとは何かを示さなければならない。
その存在すらも動かす大きな在り方を。
「何だか暫く会わない内にハスミちゃんってばボスみたいな事を…」
「きっと悟りを開きましたの。」
「ふふっ…そうね、相手の流儀に合わせるのって中々出来ないことよ?」
毎度お馴染みのシリアスブレイカーなブロウニング義姉妹からの突っ込み。
「フォルカ、フェルナンド、周囲の敵は俺達が抑える…お前達は戦うべき相手を。」
「キョウスケ、済まない。」
「例え雑魚が群がろうとも向かってくるならば全て叩き潰す。」
フォルカ、フェルナンドの両名はアルティスのマルディクトを。
鋼龍戦隊は残りの烈級修羅神の大軍を相手にする事となった。
「…(さてと、私は奴の出現に注意しないとね…変震のアルコとやらの。」
私は戦闘の合間に山羊の眼とアカシックレコードをフルに使用し奴の姿を監視した。
個人的に奴だけは許せない。
奴のお陰で放置で済んだ事件まで穿り返されたし。
ただで楽になれると思わない事ね。
>>>>>>
一方その頃、地球の某所。
天臨社のCEOのオフィスでは…
「初めまして、ビアン・ゾルダーク博士。」
「そちらが天臨社のCEO…ショウリ・オオマ氏で宜しいですかな?」
「博士の名声はこちらにも届いていますよ。」
「世辞はいい、そちらの要件を聞きたい。」
大海原を見渡せる天臨社の本社ビルが佇む六角島。
その最上階に位置するCEOのオフィスにてビアンとショウリは皮作りの豪勢なソファーに腰掛け話し合っていた。
軽い世話話を他所に二人は本題に入った。
「博士が推測する様に我々も滅亡した故郷からこの世界に転移してきました。」
「ふむ、やはりアシュラヤーの言葉通りか。」
「我々も故郷を滅ぼした存在と戦う為に日々ここで牙を研いでいると言う訳です。」
「それでご依頼とは?」
「博士に我々の牙を見て頂きたいのです。」
「牙を?」
「はい、そして博士からの見解とご指摘を願えればと思いまして…」
ショウリからの依頼。
それは故郷を滅ぼした存在に対抗する為の牙をより鋭くするもの。
それを聞いたビアンは少し考えてから話を再開した。
「受ける前に聞きたい事がある。」
「何でしょうか?」
「その牙は復讐の道具か?」
「博士の言う通り、その解釈も間違っていないでしょう。」
「…」
「ですが、我々に今一度生きる道を示してくれたアシュラヤーの為にも明日を見てみたいのです。」
「そう…ですか。」
彼らも何かの所業を犯した者。
だが、アシュラヤーと出会い新たな在り方へ変えたのだろう。
可能性の未来を見定める為に。
「力を貸そう。」
「博士、では…?」
「先ずはそちらの牙を見せて貰いたい。」
「ご協力に感謝します。」
天臨社とビアン博士との内密の取引。
それは次の大戦で巻き起こる奇跡の前触れ。
******
戻ってソーディアンでの戦いであるが…
フォルカとフェルナンドは無事アルティスを倒して力を示した。
その最中にアルティスの命を狙うアルコの姿もあったが、展開していた鋼龍戦隊に阻まれた。
尚、奇襲を仕掛けたアルコを仕留めたのはハスミである。
こうして奥の院までの道が開けた事により進攻する鋼龍戦隊。
その道中で修羅の将軍の一人メイシスと自由戦士を語るアリオンの姿もあったが、彼女らを引き留め姿を現したアルカイド。
前世とは異なり彼は奥の院と言う闘技場でフォルカとの一騎打ちを望んだ。
神化したラハ・エクスティムとヤルダバオトの闘気が衝突し合う。
それは修羅界二千年の歴史の中で最も誇れる戦いであっただろう。
「…」
「混じりたかったですか?」
「いや、戦うべき相手の好敵手を奪うほど自惚れてなどいない。」
「…でしょうね。」
「ふ、お前はいつも俺の意を汲んでくれる。」
「貴方の傍に居ると告げましたから。」
向こう側の修羅兵士と同様にその戦いを静観する鋼龍戦隊。
その戦いの中で同じように静観していたケイロンとハスミも戦いの行く末を見届けていた。
そして…
「見事だ…」
「アルカイド・ナアシュ。」
「フォルカ・アルバーグよ……貴様こそが次代を継ぐに相応しい。」
「…修羅王。」
「皆も聞け!余の代で古き修羅の掟は最後となる……これよりはフォルカ・アルバーグが次代の修羅の王!!」
「…」
「修羅の民達よ、これよりの修羅界は修羅王フォルカの掟が掟となる…!!」
告げる事を告げ終わったアルカイドはラハ・エクスティムと共に死と言う眠りに着いた。
新王となったフォルカ達の前に反逆者ミザルが立ちはだかるが鋼龍戦隊と共に打ち倒した。
野心だけでは真の王に勝利する事など到底不可能である。
同時にミザルに協力していたデュミナス一派との戦いも始まり、ラウル達の決戦が始まった。
一度は倒したもののティス、デスピニス、ラリアーの生命エネルギーを受け取り再度戦う事となってしまう。
もう一度動きを止める為に戦う鋼龍戦隊。
その最中にホルトゥスからの援軍として現れたアサキムのシュロウガとツィーネのカオス・カペル。
彼らの助力もありラージとミズホの救出に成功しライトニングへと引き渡された。
戦いは熾烈を極めてデュミナスの姿はプロートン、デウテロン、トリトンの三形態に至った後、初期のプロートンへと姿を戻した。
「デュミナス!」
「私は過ちを…」
ラウルが止めを刺すのを止めてデュミナスに説得の言葉をかけた。
「その過ちは何だ?」
「過ち…私が生まれた事…それこそが過ち…」
「お前が生まれた意味、それを今理解した!」
「では、私は何になれば良かったのですか?」
「母親として…あの三人の親になれば良かったんだ。」
ロサの持つ魔法にて生命エネルギーを分け与えられたティスらが再度復帰しデュミナスへ説得の言葉を掛けた。
「デュミナス様。」
「もうやめてください。」
「僕達が戦う必要なんてなかったんです。」
「貴方達…」
自身の生み出した子供達の言葉に耳を傾けた。
「私は何て事を……この染み出る液体は一体?」
「それは涙、悲しい時や嬉しい時に出るものです。」
「これが涙?」
「…姿は違っても貴方は人です。」
「そう…か。」
ロサに涙の意味を教えて貰い、デュミナスは再度自分が人であり続ける事を再認識した。
そしてデュミナスは三人の子と共に戦闘を放棄した。
ソーディアンでの戦いが終わりを告げるかと思ったが…
突如、空間が歪んだ。
同時にそれぞれが別の空間へと転移させられた。
戦いを続ける鋼龍戦隊とは異なる空間に飛ばされたSTXチーム。
それはとある意思が引きずり込んだ闘技場だった。
「…」
「ハスミ、どうやら僕達は…」
「はい、招かれたみたいです。」
ハスミとハリスのやり取りに周囲に居たメンバーが答えた。
「招かれただと?」
「一体誰が…」
「この気配はもしや…!」
「…アサキム。」
「ツィーネ、気を付けるんだ。」
テンペスト、カーウァイ、ケイロン、ツィーネ、アサキムがそれぞれ言葉を告げた。
「ハスミ、来るよ!」
ロサが索敵しその気配の存在が姿を現した。
「これ以上はお前達の好きにさせない…バアル!」
バアルと言う発言にそれぞれが臨戦態勢を取った。
=続=
それは視ていた。
それは待っていた。
それは襲ってきた。
次回、幻影のエトランゼ・第五十七話 『的殺《テキサツ》』
変異の先に忍び寄る影。
その姿は己の記憶の底に。